噛みつき評論 ブログ版

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主義主張より優先すべきもの

2022-06-18 20:27:27 | マスメディア
 最近中国であった話である。飲食店で4人の女性が食事をしていた。そこへ数人の男が入ってきて1人が女性に触ろうとした。女性はそれを払ったところ、男は逆上し、女性4人を店外に引きずり出し暴行加えた。女性2人は入院するほどの怪我を負った。これを助けようとした男は誰もいなかったということが中国で問題になっているという。もしかしたら周囲にいた男たちは平和主義者ばかりで暴力はいけないと思っていたのかもしれないが、そんな理由は世界に通用しない。

 フィンランドとスウェーデンは長年の中立政策を破棄しNATOへの加盟を決定した。またその前にはウクライナへの軍事支援を実施した。ロシアがならず者であることが明確になったことを受けて旗幟を鮮明にしたわけである。またスウェーデンでは原発の維持に国民の84%が賛成だという。両国の現実的・合理的な対応が私には羨ましく感じる。1人当たり国民所得が世界のトップクラスであることも合理的判断ができる結果だろう。日本はエネルギー価格の高騰のために貿易赤字を続けているが、まだほとんどの原発は停止したままであり、電力不足が懸念される上、電気料金も世界有数の高さになった。産業弱体化の理由のひとつである。

 日本はウクライナに対して援助をしているが、軍事支援は拒否している。ウクライナが何にもまして軍事支援を必要としているにもかかわらずである。東部戦線ではロシアとの火力差が10~15倍になるという。軍事支援の遅れがウクライナの敗北につながる。前にも述べたがロシアの軍事侵略を許すことは戦後営々と築かれた国際秩序の危機を意味するから、あらゆる手段を用いて、何としてもロシアの野望を阻止しなくてはならない。しかし日本では軍事支援に反対する意見が強い。恐らく「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して…」という憲法前文の理念、を愚かにも信じているためであろう。しかしいま暴れているロシアは平和を愛する国ではない。前文にある理念の前提はすでにないのである。

 中国の飲食店での例で言うと、日本の行動は女性への暴行を直接止めることはできないが、女性が怪我をしたら治療費を出しましょう、亡くなったら葬式代を出しましょう、ということである。目前の暴力に対抗できるのは実力だけで、カネではない。日本では理念や主義主張という言い訳が通用するが、世界からみればただの偽善、卑怯と映るだろう。とても武士道の国とは思えないに違いない。湾岸戦争のとき、各国が軍を派遣して血を流す中、日本はカネだけを出して世界の顰蹙を買った。それを繰り返すのだろうか。

 フィンランドとスウェーデンの対応は大いに参考になる。両国とも平和を望んだ結果の判断である。NATOという集団的安全保障と軍事予算の増加によって平和を実現しようとするものである。平和のための当然の、最適の選択だと思うが、日本ではそうはいかない。必要最小限度の戦力、専守防衛などと言ってきたが、それでは相手を戦争の誘惑に駆り立てるだろう。核を持つ、ならず者独裁国家が3つも周囲にあり、しかも敵対関係になりそうである。

 また、他国が侵略してきたとき、戦うかという問いに対し「戦う」が国民の15%しかいない国である日本は特殊な国である。自国を防衛する気概を持たない者が85%程もいるというのは情けない。現実の認識が異常であるとしか思えない。このような認識を生み出したのは左派勢力の長年にわたる努力の結果であろう。とくにマスメディアが左寄りであったことが大きく影響していると思う。

 日本の防衛問題に関する空想的な認識は軍事的な安全保障だけでなく、エネルギー安全保障や食料安全保障にも悪影響を与えている。左派勢力の膨大な努力が日本の軍事的リスクを増大させたのは確かだろう。彼らがそれを正しいと思ってやっていることがまた厄介な点である。情勢への正しい認識は実に重要であり、それを誤れば致命的な結果を招くことがある。

医師の女性の胸舐め事件ーわからんものはわからんでよい

2022-06-04 20:30:58 | マスメディア
 もしウクライナの人々が最高裁まで争ったこの事件を知ったら、日本はなんと平和な国なんだと驚くことだろう。

 2016年8月に起きた事件である。手術直後の女性患者の胸を舐めたとして、医師が準強制わいせつ罪に問われ、一審の東京地裁で無罪とされたが、二審東京高裁では懲役2年の有罪判決を受けた。そしてこの2月18日、最高裁は高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻した。主な争点は女性患者が訴えたことが事実か、あるいは術後の麻酔から覚める過程で生じる譫妄(せんもう)によるものかと、乳房から検出された医師のDNAが舐めたことによるものか、あるいは会話や触診などによるものなのか、の2点である。また医師は左手で女性の胸の衣服を持ち上げながらを右手で自慰行為をしたというが、これは控訴審では公訴事実から外された。女性の主張が不自然だと判断されたのだろう。

 検察側、弁護側、判事などの関係者が大勢集まって4回にわたって医師がオッパイを舐めたかどうかを厳密に審理を行うことになった。しかし、大勢の偉い人たちが集まって何年も審理してもわからないことはいくらでもある。それを「あてもの」のように、あるいは勘違いや思い込みのためであっても結論を出すのが裁判所である。当然ながら判決は高い確率で間違いが起こる。証明するのに十分ではない材料だけで結論を出すのだから必然的にそうなってしまう。悪いことに、裁判の判決には権威がつけられているから間違いが正しいことにされてしまう。

 これは大変な制度上の不正義である。いくら調べてもわからないものは世に存在する。それを「わからん」と言えないから、ウソをつかざるを得なくなる。ウソが日常茶飯事の国なら知らないが、日本では裁判のウソは困る。この不条理を改めるには「わからん」という判決を出せるようにすればよいだけのことである。

 「疑わしきは罰せず」あるいは「疑わしきは被告人の利益に」という言葉があるが、これは正しい判断ができない場合を想定した上のことである。そして冤罪を出すよりは被告の逃げ得を許す方がマシという考えでもあるのだろう。検察にとっては聞きたくない言葉だろうけど。

 この裁判に関して医師側にも女性患者側にも支援組織が結成され、事件は科学的な真相解明から離れ、政治的なゲームの様相を帯びている。しかし当事者の医師にとっては影響はまことに深刻である。約6年間、被告のままで、仕事や社会的立場、信用などを大きく毀損することになった。今度の最高裁の差し戻しでさらに苦難の年月を重ねることになった。無罪の判決を出すこともできたと思うが、最高裁は判断から逃げた。裁判の長時間化はどうでもいいらしい。

 対して女性の方はどうか。彼女はDVDや動画に20以上出演していて、いずれも性的刺激が強そうな題名のものばかりであるという。こちらの受けたダメージは医師と比較にならないと思われる。

 わからんことをわかったことにして有罪判決を出せば、冤罪の可能性はとても高くなる。明らかな不正義が権威ある筈の裁判所で行われることになる。ウソをつかざるを得ないシステム、最悪である。

軍事援助できる日本へ

2022-04-17 22:15:54 | マスメディア
 1755年11月1日、ポルトガルのリスボンで、巨大地震が発生した。死者は最大10万人に達したとも言われ、街は壊滅した。啓蒙思想家ヴォルテールはこの罪のない子供まで被災した惨状を見て、神が慈悲深いわけがないと主張した。神による無差別攻撃であり、慈悲深い神などいないというわけである。その後、神はいなくなったが、世界は幾多の戦乱を経験した結果、国連などの仕組みが秩序と安定をもたらしたと考えられてきた。

 その世界の秩序がロシアのウクライナ侵略と無差別攻撃によって破綻の危機を迎えた。いまどきスターリンやヒトラーのような独裁者が現れ、国家が組織的に集団殺戮をするような事態を世界は予想もしなかったが、今、現実となり、国連が全く役に立たないことも明らかになった。そしてあろうことか、プーチン率いるロシアは国連の安全保障理事会の常任理事国であり、世界秩序に責任を持つべき立場の国である。凶悪な暴力団に治安を頼んでいたようなものだ。

 ロシアの蛮行が成功すればそれは隣国の領土を奪うだけに終わらない。長年築き上げられてきた世界秩序の破壊であり、混乱の時代を迎えるかもしれない。西側諸国が強い反応を示したのは当然である。ドイツは当初ヘルメット5千個の供与でお茶を濁していたが、途中で方針を変え小型兵器の供与に応じた。さらにベーアボック外相は「ウクライナが軍需品をさらに必要としていることは明らかだ。とりわけ重火器だ」、「言い訳を探している場合ではない」と発言した。

 ベーアボック外相は緑の党の党首から外相になった人で、きれいな女性である。緑の党は環境問題が専門だから、その人と重火器とはしっくりこない。しかしベーアボック外相の発言の背景には正確な現状認識があるのだと思う。プーチンに勝たせないためにはあらゆることをしなければならないという認識である。環境問題よりずっと優先すべきことであると。実に賢い人だと思う。もし立憲民主党や社民党がウクライナへの重火器供与を言い出すことは考えられない。過去のボケた現状認識の誤りをどう説明するのだろうか。

 ロシアは秩序の破壊者であり、西側諸国はそれを防ぐために結束している。気の毒だが犠牲になっているのはウクライナである。西側諸国を結束させているのは秩序の破壊がどれだけ恐ろしいものであるかが分かっているからである。スウェーデンやフィンランドまでNATO加盟や軍事援助に向かっている。多くの国が軍事援助をする一方、破壊者の登場に対応して自国の防衛費を増加させている。ウクライナは韓国にまで「防空システムと航空機、戦車、装甲車両、ミサイル発射装置、弾薬が必要だ」と武器の供与を申し出ている。またウクライナ外相はこう発言した。「欲しいものは3つ、兵器、兵器、兵器」

 日本は大きな経済規模がありながら、「人道援助」が中心であり、軍事援助は一切ない。防弾チョッキが精一杯である。平和憲法を盾にして、いつまでもこんな綺麗事で通るだろうか。国によっては弁解にしか思わないだろう。こういう姿勢を恥ずかしくさえ思う。ことは急を要する。ロシアにウクライナ東部の占領を許せば世界秩序は危機に瀕する。憲法も大事であるが、国の危機より大事なわけはない。「国破れて憲法9条あり」では困るのである。

 その気になれば赤軍派のハイジャック事件のように「超法規的措置」もあるし、使途に制約をつけない資金援助もある。第三国に資金を渡し、それで兵器を供与してもらうこともできる。日本がそこまでやれば世界の結束をさらにロシアに示すことになろう。ウクライナの東部戦線はいま天王山であり、侵略者達を追い払うことがもっとも望ましい解決である。またウクライナの苦難を一日でも早く終わらせることも重要である。このまま人道援助だけで終われば、カネだけで済ませたイラクのクエート侵攻のときと同じ非難を浴びるかもしれない。

 日本周辺には台湾問題や尖閣問題がある。「天は自ら助くる者を助く」というが、戦争になったらあなたは戦うか、という問いに、戦うと答える者が世界最低の15%しかいない日本に他国が助けに来てくれるだろうか。ウクライナに軍事援助をせず、世界秩序が破壊され、やがて日本が侵略の危機を迎えたとき、どの国が親身になって軍事援助に応じてくれるであろうか。

世紀の危険人物

2022-04-03 23:18:48 | マスメディア
 病気を経験するまでは健康の有難さはわからない。健康を失うと、健康さえあれば何もいらないとまで思う。平和や自由も同じであろう。ひと月あまり前、マリウポリでは美しい街並みを散策する親子の姿は日常の風景であった。それがロシア軍によって建物は居住者ごと破壊され、廃墟のような街が残された。僅かな手荷物と子供たちを連れ、あるいは猫や犬を抱き避難した人々の姿は冷静には見られない。納得できるような理由などなく、理不尽という言葉では言い尽くせない。

 ロシアの蛮行をほとんどの人が予想できなかった。プーチンの行動は合理的に予想できないものであったからだろう。行動が合理的に予測できない人をかつては狂人と呼んだ。附属池田小事件の宅間守、京都アニメーション放火殺人事件の青葉真司、大阪心療内科クリニック放火事件の谷本盛雄らの犯行は常人の理解できるものではない。予測不可能であるから、未然に防止することは極めて困難である。もし彼らの凶器が刃物やガソリンでなく、核兵器であったらと思うとぞっとする。

 プーチンは頭がおかしくなっているとか言われているが本当のことはわからない。しかしウクライナ侵攻を見ていると、少なくとも正常な判断力を失っているように見える。民間人に対する無差別攻撃などの残虐性は西側諸国の団結を一層強め、孤立化を招くと思われ、合理性があるとは思えない。ロシア兵の残虐性には歴史的な定評があるのでプーチンひとりのためとは思えないが、世界中が注視する中でそんなことをやればどうなるかの予測はつくだろう。プーチンが命令しているのなら、彼はサイコパスのような、共感能力を欠いた人間かもしれない。

 ウクライナ危機は、プーチンのような独裁者がおかしくなったときには人類の存亡にかかわるような核戦争が起きる可能性のあることを示している。青葉真司や谷本盛雄らの行為と同様、理解できない行動の可能性がないとは言えない。

 西側諸国の団結の強さはロシアの蛮行と残虐性の反映と見られるが、多くの国が経済的不利益より制裁を優先したこと、ポーランドなど周辺国のウクライナ難民に対する協力姿勢が強く印象に残った。逆にロシアに対する制裁に消極的な国は中国や北朝鮮などの独裁国が目立つ。それぞれの国益があるのだろうが、それは西側諸国も同じである。独裁国は政治的な正当性や道義を気にする必要がないし、自由や民主主義を守る動機もないからであろう。

 社会は将来予想される危険に対してどれくらいの注意を払うべきだろうか。大雑把であるが、危険の重大性とその起きる確率を掛け合わせたものと考えてよい。例えば、四国の伊方原子力発電所は9万年前の阿蘇山噴火レベルの噴火があれば危険だとして運転差し止めの仮処分を認めた広島地裁の決定はあまりにも確率を高く評価している例である。民主主義の先進国は大統領などが単独で重大決定をしにくいため安定性が高く、核を保有していても大きな危険はない。しかし独裁国は文字通り独裁者の意志がそのまま通りやすいから極端な行動を起こしやすく、今回もプーチンが脅したように核使用の確率は比較的高い。

 運悪く、日本は核を保有する三つの独裁国家に囲まれている。これらの国の独裁者が一人でもおかしくなったとき、核攻撃する相手は日本のような核非保有国である可能性が高い。おかしくなってとしても反撃されるのは嫌だろうから。3ヵ国もあるのだからその確率は低くない。

安全保障の目覚め・・・ようやく

2022-03-20 23:35:11 | マスメディア
 数ある戦争の中で、ウクライナとロシアほど善と悪が明確なものは珍しい。ロシアの悪は圧倒的である。あからさまな残虐性が世界を団結させ、自国を不利に導いている。それはともかく、ロシアのためにウクライナは大変な災難に見舞われている。ロシアの蛮行を素早く止める手段を世界は持っていない。今、ロシアの野望を強く押しとどめているのはウクライナ国民の抵抗だと思われる。その姿は尊敬を集めるし、人の心をも打つ。もしウクライナ国民が簡単にあきらめてしまっていたら、世界の支援は得られなかったであろう。

 毎日新聞と社会調査研究センターが19日に実施した全国世論調査によると、ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、日本の安全保障が脅かされる不安を感じるかと尋ねたところ、「強い不安」は46%、「ある程度の不安」は41%で、合わせて87%が不安を感じるであった。日本政府がロシアに経済制裁を科したことについては、「妥当だ」が59%で、「もっと強い制裁を科すべきだ」が30%であった。防弾チョッキなどを提供したことについては、「妥当だ」が61%、「もっと積極的な軍事支援を検討すべきだ」は22%であった。中国が台湾に軍事侵攻する不安を感じるかとの質問では、「強い不安」が56%、「ある程度の不安」は33%で、合計で89%が不安を感じていた。米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」の議論については、「議論すべきだ」は57%で、「議論すべきではない」の32%を上回った。

 ロシアのウクライナ侵攻によって、安全保障に関する世論は大きく転換したように見える。ようやく現実がまともに見えるようになったわけで喜ばしい。だが、その裏にはウクライナの膨大な犠牲者と苦難があることを忘れてはならない。一方、防弾チョッキなどの提供に反対した共産党やゼレンスキー大統領の国会演説に反対した立憲民主党のように、いまだに現実が見えない人達もいる。長年、憲法9条を信奉したり、非武装中立を主張してきた人たちも今回は考えを改めざるを得ないと思う。それにも漏れる人たちが少々は出るだろうが、それは頭の構造が違うのだとあきらめるしかない。

 ロシアの侵攻が成功すれば国際秩序はひっくり返る。中国も勢いづくだろう。何としてもプーチンの野望をくじかなければならない。それにはウクライナが軍事的に有利になることが最も有効であろう。国内では寄付の動きがあるが、寄付を平和目的に限るという意向が目立つ。難民の救援も大事だが、難民を生み出す戦乱を止めることを優先するべきだ。ウクライナに勝利させることが最優先だと思う。戦争に加担したくないなどときれいごとを言っていては根本の解決にはならない。寄付をするならば、武器の購入などウクライナ政府が自由に使える資金としてするのが効果的である。

 スウェーデンやフィンランドはウクライナに軍事援助し、国防費の増額やNATOの参加をも検討するらしい。軍事の増強はドイツやポーランドでも計画されているという。ロシアのために彼らも目が覚めたわけである。日本は快適な眠りを長期間むさぼってきてためか、目覚めも悪そうである。核シェアリングについての立憲民主党の質問に、岸田首相は核シェアリングの議論さえもしないと答えている…いまだに。

 「もし戦争が起こったら国のために戦うか」(2017-2020)、という調査データがある。「はい」と答えた割合は13.2%から96.4%まであるが、日本はその最低の13.2%、最高の96.4%はベトナムであり、中国は88.6%である。ベトナム国民の士気の高さは、大きな犠牲を伴ったが、ベトナム戦争で実証された。ウクライナでロシアが苦戦し、いまだに侵略の野望が達せられない理由のひとつはウクライナ国民の士気が高いことであろう。これが将来の強力な戦争抑止力にもなる。戦争が泥沼化しそうな国には侵略したくないのである。さて日本はどうか。士気は最低の、世界でもっとも侵略しやすい国に見えるかもしれない。

 国のために戦わないという国民が多い日本であるが、それに呼応するようにウクライナに降伏を勧める論者達もいる。しかし降伏はそれほど生易しいものではない。日本が米国に降伏した後の経過は例外的に恵まれたものであったので、降伏を安易に考えているのではないだろうか。古代のように負けた国の男は全員が殺され、女は全員が奴隷となる、といったようにはならなくても、なにしろ相手はロシアなのである。他国に隷属する悲惨さはロシアの周囲の国は知っていると思う。

世紀のならず者

2022-03-06 23:03:39 | マスメディア
 20世紀最大のならず者と言えば、それはヒットラーであろう。では21世紀のそれは誰かというと、最有力候補がプーチンであることは誰もが納得しよう。しかし、ウクライナに対する蛮行はプーチンだけの問題かと言うとそうではない。かつてレーガン米国大統領はソ連を「悪の帝国」と呼んだ。また第二次世界大戦では日本の無条件降伏直前に一方的に侵攻し、千島を奪い取るだけでなく、民間人の帰還船まで沈め、約60万人を強制的に連れ帰りシベリアで過酷な労働を強いた(約1割が死亡)。当時としても卑怯の極である。これはスターリンの時代であるが、個人の問題だけでなく国としての特性も無視すべきではないと思う。むろん非の大部分はプーチンに帰すると思うが。

 プーチンがウクライナにしたような武力による侵略は100年前なら他の国でもやっていた。人命や戦争に対する考え方が現代とは異なっていて、問題の解決手段として今よりも気軽に戦争を用いられた。しかし現代は違う。少なくとも我々の多くは違うと思っていた。人命は重くなり、人道的な配慮もされるようになった。少なくともまともな国においては自分の国益のために人の住む他国の都市を破壊するなどとても許容されることではないと思っていた。この常識があるので、ロシアがまさか侵攻するとは予想しなかったのだろう。プーチンのロシアは世界の常識から大きく外れた、非常識の国であることが明確になった。

 それにしても軍事施設だけ攻撃すると明白なウソをつき、住民の避難を止めながら、意図的に人が居住する住宅を攻撃するような者は明確な殺人者である。街が破壊され、民間人の死者が多数発生したが、同時に、その何倍かの家族を失う人たちもいるのである。このような非道が世界に知られ、世界の反ロシアの結束を招いたわけであるが、これはプーチンの読み違いかもしれない。おそらく彼の感覚ではその戦術は通常のことで「非道」ではないのだろう。彼我の「常識」の大きな乖離がみられる。プーチンの得意技はウソと毒殺と自作自演だ言われるがそれだけではとても足りない。冷酷非情、それに圧倒的な強者が弱者を武力で攻撃するという最高の卑怯さ。戦力比が10:1ということは大人が幼児に暴行するのに等しい。これだけでも極めて不愉快であり、ムカつく。

 百万人を超えるウクライナからの難民をポーランドなど周辺国は受け入れている。大きな負担となる筈だが、積極的に手を差し伸べているようである。不満は聞こえてこない。同じ隣国でもこれほども違うのかと思う。天使と悪魔ほどの違いである。背景には共にロシアの圧政に長年苦しめられてきたという思いがあるのかもしれない。

 もし今回のロシアの企てが成功したならば、軍事的侵略の成功例となり、同様のことを企んでいる中国などの背中を押すことになる。それは秩序の崩壊を招き、世界が不安定になると言われている。これは何としても避けたいことであり、そのためには世界がプーチンの足を引っ張る必要がある。ウクライナへの支援もそのひとつであろう。失敗させなければ我々にも影響が及ぶ可能性がある。プーチンの成功は暴力団が警察に勝利するようなものである。

 既に穀物やエネルギー価格の高騰などにより世界中の消費者が損失を受けている。フィンランドやエネルギーの弱みを持つドイツまでもが武器援助を決め、中立国スイスでさえ制裁を決めた。国内法により武器援助ができない日本は国際秩序の維持に貢献しない国と看做されるかもしれない。金だけ払って失望を招いた湾岸戦争のときのように。

 中国や北朝鮮も常識側とは言えない。多様性を尊重する人たちがいるが、こういう「多様性」は実に困ったことである。しかもこれら3国はそろって核を持っている。物理的に抑えようとすると核を使う世界大戦の危機を覚悟しなければならない。奇妙なことにこの3国は共産主義の国または共産主義であった国である。かつて共産主義者は「資本主義国は領土を拡張しようとする帝国主義の宿命を負っている」と批判していたが、皮肉なことにその宿命はこれら共産主義国やかつての共産主義国の属性となった。そしてそろって核を保有しているだけに、世界の将来に暗雲を投げかけている。これらの国の独裁者が狂ったとき、世界には有効な対抗手段がないのである。核の廃絶は望ましいことだが、すぐに実現しそうにない。その前に、不安定な独裁国家が核を保有することの危険を取り除くことが優先される。

 ウクライナ大使館の公式ツイッターに義援金の振込先が載っている。また国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)や日本赤十字社でも扱っている。

抑止力の意味を理解できない日本

2022-02-20 21:27:42 | マスメディア
 ウクライナでは隣国ロシアの脅威を受け、多数の国民が志願兵に応募しているという。これはロシアに対する立派な抑止力になる。軍事的に優勢であっても、占領後うまく統治できるとは限らない。旧ソ連はアフガニスタンに侵攻した後、支配をあきらめて撤退した。アメリカのベトナム戦争も同じ、泥沼化すれば手がつけられない。

 逆もある。2015年、安全保障関連法案が可決されそうになったとき、過激に反対したシールズという団体がある。最近のことだが、立憲民主党からこのシールズに資金が流れていたことがバレて大騒ぎになった。当時、シールズは抑止力を高める安全保障関連法案に反対し、「では中国に攻めてこられたらどうするのか」という問いに「僕らは中国兵と仲良くなって一緒に酒を飲む」と言っていた。中国にとってこんなありがたい話はない。

 だが、これは戦争の抑止ではなく呼び込みである。また中国兵が槍や刀でも持って攻めて来るとでも思っているのだろうか。前線で中国兵の姿を見る前に砲弾で殺られてしまうだろう。なんというおめでたい認識なのか。中学生でももう少しマシであろう。こういう連中に立憲民主党は援助しているのである。立憲民主党の頭も同程度と思えてくる。社民党も同様だが長期衰退は当然の結果である。ただそのスピードが遅い。

 今回のロシアのウクライナに対する戦略を見てもなお「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」できると考える人たちは認知能力がおかしいと思う。北朝鮮による拉致、中国による尖閣問題などの影響のためか、少しづつ左派の支持は落ちてきて、今は支持者の多くが高年齢層である。しかし敵基地攻撃能力保有に半数以上が反対しているという世論調査もあるように、そのスピードが断然遅すぎる。国際関係の変化のスピードについていけていない。

 日本の防衛予算はこの二十数年ほとんど変わらず、中国との差が数倍に開くまで放置していた原因はこの世論とそれを支えてきた左派メディアにある。安全保障関連法案などを通そうと思うと内閣支持率の低下を覚悟しないといけない状態が続いてきた。彼らのおかげで日本は抑止力の低い、攻撃されやすい脆弱な国になったわけである。彼らは平和の敵とも言える。軍備の増強は一朝一夕にはできないから、長期的な視点が重要なのである。1~2回目と3回目のワクチン接種と同様、とにかく遅いのが日本の特技となった。遅れることの不利益は明確なのにである。

 オウムが崩壊したとき、信者になっていたものを外部に連れ戻してオウムの実体を知らせて説明しても、洗脳は容易に解けなかったという。長期間、宗教やイデオロギーを叩き込まれると頭は染め上がり、元に戻るのは簡単ではないことを示している。オウムの世界観ほど過激ではないが、左派メディアの世界観も一種の洗脳の結果と考えられる。そう考えなければなぜ世界の歴史、国際関係の歴史をまともに理解できないのか、その説明がつかない。洗脳の影響とすべてが遅いという日本の特質、どちらも変化を抑制する意味があるが、それらが日本を危険な方向へと導いていると思われる。

平和を望むなら核武装を

2022-02-06 22:55:35 | マスメディア
 最近の世論調査によると、日本が敵基地攻撃能力を保有することに反対の国民は半数を超えるという。彼らは日本が他国から攻撃されることはあり得ないと考えているとしか思えない。ロシアがウクライナとの国境近くに10万ともいわれる兵力を展開し、今にも攻撃しそうな情勢である。また中国は軍事能力を急速に拡大し、武力による台湾統一も辞さないと公言している。敵基地攻撃能力に反対する人々はこれらを対岸の火事としか見ていないのだろうか。あるいはすぐに降伏してチベットやウィグルのような道を選ぶとでもいうのだろうか。平和は何よりも大事である。従って平和を脅かすものは例えそれが千分の一の確率であろうが防ぐ必要がある。百年に一度の地震や津波に備えるなら、他国の攻撃の抑止に努力するのは当然である。

 勢力圏の拡大を目指す大国が日本の隣に二つもある。ロシアはクリミアやグルジアに侵攻し、中国はチベットやウィグルを支配下に治め、現在は台湾を狙っている。中国は尖閣付近にに毎年数百隻もの艦船を派遣している。将来、尖閣を奪取するという意図がなければ理解できない行動である。日常的に中国船が来るためにそれは小さなニュースにしかならず国民に強い反応を起こすことがない。それが中国の狙いだろう。ともかく、両国とも憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」できるような相手ではない。そして不運なことに両国とも日本の隣国なのである。こんなことは当たり前のことだが。

 このような国の侵略を受けたとき、戦争は否応なく始まる可能性が高い。戦争は悲惨であり何としても避けたいのは誰もが思うことだろう。これも当たり前のことだがここで重要な役割を果たすのが抑止力である。相手に侵略したら大損害を被ると思わせることが戦争を未然に防ぐ。敵基地攻撃能力がなければ相手国に損害を与えることはできないから、抑止力を低下させる。敵基地攻撃能力反対意見は戦争への道を促進する。強力な敵基地攻撃能力はそれだけ強力な抑止力になる。もっとも低コストで効果的なものは核攻撃能力である。これなら日本は戦争に巻き込まれる可能性はずっと低くなる。現在まで核保有国同士で戦争になったことはない。恐ろしくて抑制が働くからだろう。どの国も自国が焦土になるようなリスクを負わない。

 抑止力は平和にとって重要なものだが、日本ではそのわりに重視されてこなかったと思う。例えば鳩山由紀夫元首相は首相になってから沖縄の米軍基地問題の移設問題で躓いたとき「学ぶにつけ抑止力の重要さを知りました」という意味の発言をした。首相になって初めて抑止力の重要さを知ったという発言は、バカ正直だと思うが、首相として当然常識であることを知らかなったという認識が欠けている。よくもこんな人を首相に選んだものである。だが政権発足直後は圧倒的な国民支持率を誇っていた。礼賛したメディアの無能を示した例である。

 現在の国際環境は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」できる状況ではないという認識、侵略とそれに伴う戦争を防ぐには強い抑止力が必要だという認識、これらは至極当たり前のことであるが、残念なことに日本では軽視されてきたように思う。これには主として左翼のイデオロギーが大きな役割を果たしたと思う。核武装は未だに議論さえ自由にできない。日本は核の被害を受けた国であり、2度と核被害を受けたくない気持ちはわかる。しかし次に核被害を受けるならばそれは他国による核攻撃のためである。日本自身が核武装する核爆弾は日本には落ちない。それどころか強大な抑止力となって平和に貢献するだろう。

 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」という妄想、抑止力の軽視など、現実を正しく認識しない上での判断は間違うことが多い。防衛問題の間違いは国を滅ぼすこともある。他国による侵略の確率がどれくらいあるか、わからない。しかしわからないこそあらゆる可能性に備えなければならないことが防衛問題では必要である。主要メディアの妄想のような認識を変えることは今こそ必要だと思う。数十年間変えなかったほど頭が硬いだけに大変な難問であろうが。でなければ平和・平和といつも騒いでいるメディアが戦争への道を開いたという皮肉になりかねない。昔、ゾンビ映画にこんな場面があった。ゾンビが町中に現れているとき、警察に反対してゾンビの人権保護を叫んで行進するデモ隊がいる。やがて彼らは皆ゾンビに食べられてしまう。 

対比すると面白い 水支援、日本3t ニュージーランド250t

2022-01-23 21:31:18 | マスメディア
 フンガ・トンガ・フンガ・ハウパイ火山(なんとややこしい名前)の噴火の被害を支援するため各国の支援活動が始まった。支援物資を積んだニュージーランドの軍艦は1月21日にトンガの首都に到着、水250トンに加え、1日70トンの海水淡水化装置も積載しているという。これに対し日本は自衛隊輸送機を派遣し、22日に飲料水3トンを届けた。続いて2機に残りの飲料水などを積んで派遣するという。

 ニュージーランドは水、日本は飲料水となっており、違いがわからないが水を飲用に変えるのは難しいことではない。3トンに対して250トンと毎日70トンの淡水、どちらがありがたいか。そもそも水や砂利のような低価格で大量に使うものを数千キロ離れた地域に空輸することが馬鹿げている。そんなものは近隣の国に任せて食料など他のものを空輸するのが合理的である。税金だからコストと効果を考える人がいないのかと思う。ニュージーランドの支援と日本の支援、二つ並べて記事にすれば日本の間抜けた計画が際立つ。

 アフガニスタンの撤退作戦では日本は無能ぶりを世界に示した。直前の爆弾テロという不運もあったが初動の遅れが大きい。さらに現地採用を除く大使館員全員が早々と逃げてしまったことも恥ずかしい。一方、駐アフガン英国大使は最後まで残り、1万数千人の退避を指揮したとされ、帰国時は英雄扱いだったという。日本の役人の逃げ足が速いのは福島第一原発の事故時、真っ先逃げた4名の原子力保安院検査官以来見慣れたことである。危機に際して重要な立場にある者が我先に逃げるというのは敵前逃亡にも並ぶ大罪である。英国大使の行動と並べると、日本の教育にまで疑問が及ぶ。日本の対応と英国の対応、この二つも並べて記事にすると面白い。

 逆に、実に痛々しいことであるが、救助に向かった若者の勇敢さと責任感に心を打たれた出来事があった。1月5日、那須サファリパークで起きたトラの事故である。26歳の女性飼育員がトラに襲われた。悲鳴を聞いた20代の二人が助けようと中に入ったところ彼らも襲われ、22歳の女性飼育員は右手首から先を失うという実に気の毒なことになった。詳しいことはわからないが、二人には中に入らず、安全な場所で人を呼ぶなどの選択もあっただろう。危険を承知で仲間を助けようとした行為には本当に頭が下がる。

 これと対比するのはセウォル号の船長がいい。彼は乗客の姿に化けて、高校生の乗客を残して先に逃げた。しかも彼は危機に際して指揮をとるべき船長なのである。逃避行動も熟慮の上なのだろうからことさら悪質である。弁解の余地はない。

 セウォル号の船長は散々メディアに叩かれ、有罪にもなった。しかし那須サファリパークの勇敢な二人をメディアが称賛したのを見たことがない。メディアは称賛が嫌なのだろうか。報道のほとんどは人や組織に対する非難・誹謗である。メディアは責めたり非難するのが仕事だと考えているようだ。これには読者・視聴者にも責任がある。読者・視聴者は悪人が断罪されることに快感を覚える。悪人が資産や権力を持つ大物なら効果はより大きい。快感を与えられることはメディアが商売として成立する要素のひとつである。その結果、メディア報道は称賛より避難に傾斜する。

ご臨終近い社民党

2022-01-12 21:37:50 | マスメディア
 この夏、社民党は政党でなくなるかもしれない。公職選挙法などで政党として扱われるには所属する国会議員が5人以上か、直近の衆院選か最近2回の参院選で全国を通じた得票率が2%以上出なければならない。前回の参院選では2.09%であったが、昨年の衆院選では1.77%であり、夏の参院選で2%を超えるのは難しい情勢だ。

 社民党が今後どうなろうとどうでもいい、後は野となれ山となれである。興味を惹かれるのはこのような長い歴史を持った政党がいかに時代から取り残され、長い時間をかけて支持を失ってきたかという問題である。

 社民党の前身は日本社会党である。両者に共通する特徴は「なんでも反対」の党であり、とくに自衛隊には反対で、その考えは憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」に近い。
(指摘されているように「信義に信頼」ではなく「信義を信頼」の方が日本語として正しい)。

 現在の国際環境が「平和を愛する諸国民の公正と信義」を信頼し、非武装でよいと考える人はさすがに僅かとなった。よほどおめでたい人だけであろう。非武装中立は両党が掲げてきた主張であった。国際環境の変化と共に社民党の時代遅れの様相が明確になってきたわけである。しかし国際環境の変化がなくても国際政治はパワーポリティクスの世界であり、力が最重要の要素であることは歴史を見ればわかることである。この現実に目をつむり、非現実的な妄想を長期にわたって信じてきた現象は奇妙である。

 福島瑞穂氏は高校生時代、全国模試で一位をとったほどの秀才であり、国際社会の現実を理解できないのはまことに不思議である。また弁護士時代は韓国の元慰安婦に寄り添いアジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求事件の弁護を担当して日本政府に補償請求した。朝日の記事などを真に受けて、善意でのことかもしれないが、真偽を見抜く能力がいささか弱いようだ。

 ついでながら彼女の師匠格である土井たか子氏にも重要な象徴的なエピソードがある。1988年、拉致された石岡亨さんの手紙が有本恵子さんの両親に届いた。文字通り決死の手紙である。両親は土井たか子氏に手紙のことを訴えたものの土井氏は無視し、手紙のことを朝鮮総連に密告した。2か月後、石岡さんと有本さんは死亡したと北朝鮮から発表された。彼らの死と土井氏の密告とが無関係とは思えない。手紙を出したことによる処刑や口封じの可能性もある。土井氏は北朝鮮という国や友党である朝鮮労働党を正確に把握していたとは到底思えない。これも不思議である。これほどの大失態であるが左翼に甘いメディアは十分な報道をせず、あまり知られていない。

 福島氏や土井氏に見られる現実離れした妄想、狂ったとしか思えない現象認識はなぜ生じるのだろうか。それを左翼思想と簡単に片づけてしまっていいものとは思えないのである。若年者が一時期、様々な思想や宗教にかぶれることはよくある。けど社会の現実を見、経験を重ねるにしたがって多面的に見方もできるようになり、より正確に現状を認識できるようになる。福島氏や土井氏にはそれがなく、基本部分は一貫して変化がないようだ。永遠の若者というと聞こえがよいが、アスペルガーにも似た硬直的な精神特性ゆえなのだろう。個人のことならよいが、問題はそれが社会的影響力を持っていることである。

 オウムの世界観は妄想に基づくもので、それは凶悪な犯罪集団の基礎を形成した。妄想が現実認識を歪めた例である。社会党・社民党の防衛政策もそれに似ている。隣の人は平和を愛するいい人であり、戸締りなど必要ないと言い続けてきた。しかし戸を開けたままだと泥棒行為を誘う。戸を閉めることが泥棒や強盗行為を抑止する力になるという常識さえ理解できないのである。社会党・社民党は何十年もの年月をかけて日本の抑止力の足を引っ張ってきて、戦争の危険を高めたと言ってよい。それを可能にしたのはメディアの認識の愚かさであろう。共犯である。こんな有害な政党がいままで続いたことを反省しなければならない。

 思想と宗教につけ込まれやすい性格というのは存在する。こだわりの強い性格などがそうだろう。そして思想の自由、信教の自由としてそれらは強く保護されている。当初、警察がオウム捜査に腰が引けていたのは憲法上の信教の自由のためだった言われている。しかし、これらの自由権は社会の基本であり、制限することはとてもできない。宗教や思想に潜むこれらの危険を防止することができるのはマスメディアだけである。メディアが正確に認識し、応援などしないことである。メディアがアホでないことが必須条件となる。