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世紀の危険人物

2022-04-03 23:18:48 | マスメディア
 病気を経験するまでは健康の有難さはわからない。健康を失うと、健康さえあれば何もいらないとまで思う。平和や自由も同じであろう。ひと月あまり前、マリウポリでは美しい街並みを散策する親子の姿は日常の風景であった。それがロシア軍によって建物は居住者ごと破壊され、廃墟のような街が残された。僅かな手荷物と子供たちを連れ、あるいは猫や犬を抱き避難した人々の姿は冷静には見られない。納得できるような理由などなく、理不尽という言葉では言い尽くせない。

 ロシアの蛮行をほとんどの人が予想できなかった。プーチンの行動は合理的に予想できないものであったからだろう。行動が合理的に予測できない人をかつては狂人と呼んだ。附属池田小事件の宅間守、京都アニメーション放火殺人事件の青葉真司、大阪心療内科クリニック放火事件の谷本盛雄らの犯行は常人の理解できるものではない。予測不可能であるから、未然に防止することは極めて困難である。もし彼らの凶器が刃物やガソリンでなく、核兵器であったらと思うとぞっとする。

 プーチンは頭がおかしくなっているとか言われているが本当のことはわからない。しかしウクライナ侵攻を見ていると、少なくとも正常な判断力を失っているように見える。民間人に対する無差別攻撃などの残虐性は西側諸国の団結を一層強め、孤立化を招くと思われ、合理性があるとは思えない。ロシア兵の残虐性には歴史的な定評があるのでプーチンひとりのためとは思えないが、世界中が注視する中でそんなことをやればどうなるかの予測はつくだろう。プーチンが命令しているのなら、彼はサイコパスのような、共感能力を欠いた人間かもしれない。

 ウクライナ危機は、プーチンのような独裁者がおかしくなったときには人類の存亡にかかわるような核戦争が起きる可能性のあることを示している。青葉真司や谷本盛雄らの行為と同様、理解できない行動の可能性がないとは言えない。

 西側諸国の団結の強さはロシアの蛮行と残虐性の反映と見られるが、多くの国が経済的不利益より制裁を優先したこと、ポーランドなど周辺国のウクライナ難民に対する協力姿勢が強く印象に残った。逆にロシアに対する制裁に消極的な国は中国や北朝鮮などの独裁国が目立つ。それぞれの国益があるのだろうが、それは西側諸国も同じである。独裁国は政治的な正当性や道義を気にする必要がないし、自由や民主主義を守る動機もないからであろう。

 社会は将来予想される危険に対してどれくらいの注意を払うべきだろうか。大雑把であるが、危険の重大性とその起きる確率を掛け合わせたものと考えてよい。例えば、四国の伊方原子力発電所は9万年前の阿蘇山噴火レベルの噴火があれば危険だとして運転差し止めの仮処分を認めた広島地裁の決定はあまりにも確率を高く評価している例である。民主主義の先進国は大統領などが単独で重大決定をしにくいため安定性が高く、核を保有していても大きな危険はない。しかし独裁国は文字通り独裁者の意志がそのまま通りやすいから極端な行動を起こしやすく、今回もプーチンが脅したように核使用の確率は比較的高い。

 運悪く、日本は核を保有する三つの独裁国家に囲まれている。これらの国の独裁者が一人でもおかしくなったとき、核攻撃する相手は日本のような核非保有国である可能性が高い。おかしくなってとしても反撃されるのは嫌だろうから。3ヵ国もあるのだからその確率は低くない。


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