蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

’12年もスキーは儲からない

2012-02-29 22:20:11 | 山とスキーでブラブラ

意識して見ているからかも知れないが、今年のスキー場には老人が多い様な気がする。

団塊の世代、とか言われる奴等が、定年後も数年、会社にしがみついた後、完璧にクビになって、何もすることがなくて、スキーに憶えのある数%が戻って来ているから、かも知れない。

彼ら団塊は、学生の時はワタクシの先輩、会社に入ってからはワタクシの上司だった。
いつも、「こうあるべき、あああるべき」、「こうすべき、ああすべき」と、セコセコ言いながら、セカセカ動き廻っていた。
前にやってみてダメだった事が判っていても、せずにはおれない人達。
それなりに教養はあっても、何か薄っぺらい印象の人達。
春夏秋冬、元気で、朝昼晩、勇ましく攻撃的な人達。
還暦を過ぎて、稼がなくても生活に困らないのに、働かずにはおれない人達。
決して好々爺になれない人達。(全てではありませんよ、念のため、団塊より年上にもそんなヤツいたし)

しかしダンカイ様も、定年を過ぎて5年も経つと、企業も飼ってはおけない。
で、放り出されて、家庭からも疎まれたダンカイ様の数%がスキーにお越しになっているのか。
ただ、ゲレンデで大人しくして頂いておれば、山へ入ると見なくて済むのでいいが、最近流行りのパックカントリーとかで、上がって来られると困る。彼らは山スキーでも、「こうあるべき、あああるべき」、「こうすべき、ああすべき」と言い出すだろう。
ホンマ、カナん話ですワ、オウジョウしまっせ。(でも、無視すりゃイイだけ、ですけどネ)

但し、ダンカイ様の数%は、昨年まで来ていて原発事故でもう来なくなったハクジンより、まだまだ少ない、と思う。
スキー場のお客サンは今年、更に減っている様に思う。’12年もスキーは儲からない様だ。

上の方のリフトの運転開始は遅くなり、栂森カフェテリアの食事メニュウ終了は早くなった様だ。
お客さんがいないンだから当然。

このリフトに乗ったのは30年以上前だ。20年程前から椅子も外され停まっている。056

ここの右側のリフトが動いているのを10年ほど前から見た事はない。060

ボーダーも大して滑っていない。067

確かにゲレンデに人はいない。057

だからリフトも沢山動かさなくてイイし、食堂も上のゲレンデにまで設ける必要はない。
それがホントの信州山ろくの、冬の景色かも知れない。

鐘鳴丘ゲレンデの北側にズラ~ッと並ぶ宿泊設備。
その中の一つ、シャレた山小屋の様な、欧風スキーロッジ感覚の宿屋、昨年までは人が出入りしていた様に記憶しているが、今年は雪に埋まっている。人の出入りもない。

定宿の主人に聞いてみた。
「あぁ、あれね、JR東日本がやってたホテルですよ、ズッと赤字で、JRもあんなンだから、いつまでも維持できなくて、今年からヤメ、廃業ですよ」
「で、放ったらかしですか」
「イヤ、村で買うみたい、安く払い下げてくれるみたい、炊事が出来る部屋もあって、住宅にするらしいよ、ここへ移り住もうとする若い人たちに貸し出すみたい」
つまり、村営住宅だ。
へぇ~、エエやん、都会の鉄筋コンクリートの無機質な市営住宅とは違う。ナンセ見た目は欧風スキーロッジなのだ。それを村営住宅にする小谷村、やりますなぁ。

しかし、いずれにせよ、以前の様にスキーは儲からない、それでイイと思う。

リフトが停まれば歩いて登ればイイ。
山の上にカフェテリアがなくても、喰いモンは担いで上がればイイ。
村の人達はスキーで稼がず、昔からやっている山とタンボの仕事をすればイイ。
都会の絵の具に染まらなくて、イイ。

それでイイ、と思いますけどねぇ。


雨の自然園と貫禄の山小屋

2012-02-28 17:01:41 | 山とスキーでブラブラ

老人が雪降ろしで屋根から落ちたり、夕張の美術館を押し潰したり、今年の豪雪のニュースは尽きないが、白馬、栂池周辺はいつもより少ない。昨年より積雪量は1m程度少ないはずだ。

23日は予報通り朝から雨。この辺りでは雪になるのでは、と思っていたが雨だった。前夜は屋根雪の落ちる音が、あちこちから聞こえた。
朝食時、定宿の食堂から見える、ボードを抱えた若者たちの行き来が、さすがにこの日は少なかった。

しばらく部屋でウトウトしていたが、とりあえず自然園辺りまで行くことにした。

11時過ぎ、林道には圧雪車のキャタピラーの後が続いていた。082

後ろの整地する装置を上げたまま進んで行った様だ。何故(?)、まぁエエけど。

これは大阪の大学の小屋。今年は入口の扉が見えている。083

ロープウェイの自然園駅は作業中。開店準備(?)、少し早い様な気がするが、余計なお世話。

栂池ヒュッテと栂池山荘。084

昨年まではもっと雪に埋まっていて、こんなに大きな建屋だとは思えなかった。

その隣の古い山小屋。085

086 凄い風格、見事な貫禄。隣はビジターセンター。

振り返ると、雨の自然園。087

貫禄の山小屋は昔の栂池ヒュッテだった。088 当然これも例年はもっと埋まっている。

089_3 鐘を鳴らして見た。意外と大きな音でビックリ。

090 新しい小屋の先には、またもや古びた小屋があった。今まで気づかなかった。

094_2 昨年まではほぼ全て、埋まっていたのかも。

093_2 何の小屋?避難小屋?それともトイレ?

その横にはケッタイな構造物が。096 これは何?

自然園の小屋巡りも飽きてきたので、ここから戻ることにした。

この下は、緩急が著しい斜面が続く。今年は雪が少ない為か、まさに段々になっている。少し滑れば直ぐ平坦を歩く様な感じの繰り返しで、ツマラナイ。

シラビソの森の中で、ウサギが前を横切った。雪より白さが目立つ野ウサギ。公園などで飼われている白ウサギより白い。野生は美しい。そして、軽快に走り去った。

13時過ぎ、栂の森カフェテリア着。例年より少ない積雪の中、雨に降られながらの散歩だった。


’12.2.22.の記録:白馬乗鞍岳

2012-02-28 11:22:59 | 山とスキーでブラブラ

今年5回目の信州・雪山通い、久しぶりの好天。

ケンタッキーのオジサンも朝からガンバっている。068

ワタクシも乗鞍までガンバることにする。と言っても、標高差、たった800mですけど。

林道では、既に先行者がセカセカ進んで行く。

ワタクシもシール貼って9:20出発。069

直ぐボード抱えた若者がツボ脚でスタスタと、続いてハクジンの若者3人が追い抜いて行く。
革のブーツに細目の板の、小太り中年テレマーカーもスイスイ追い抜いて行く。

成城大小屋の台地からの白馬三山070

と、小蓮華~白馬乗鞍。071

天狗原への斜面に3~4人、その下にハクジンの若者らしき3人が見える。

天狗原へ登りきる手前まで来て、下の方から外国語が聞こえてきた。上も下もガイジンだらけ(?)

振り返ると、スゴイ勢いで登って来る二人。
直ぐ追い付かれ、うち一人が「ha~i!」
「ハ~イ、どちらまで?」
「No Japanease sorry」
ワタクシ、乗鞍頂上を指し、「あのピーク?」
「Ye~s」
「ミィ ツゥ」
「Yea~h」、と言ってストックを差し出して来た。
ワタクシ、それに自分のストックをカチン、と合わせ、これでボクタチは同士(?)。

天狗原は無風。072

天狗原のカミサンにお参りしていたら、先程のフレンドリィのハクジンが近付いて来た。
「イッツ テンプル」
「Temple?」

ン?カミサンを祭っている祠なので、シュラインだった。言いなおそうとして、見ると、彼は神妙に手を合わせていた。
まぁエエか、いずれアホなニホンジンがいた、と気付くだけだ。

しばらくしてもう一人のハクジンが現れ、またもや3人組となって登りはじめた。

1月は埋まっていなかった、頂上手前で左折して南方向へ向かう谷の部分、ほぼ埋まって雪庇状の崖は無くなっていたが、小さな窪みが残っていて、その上をトラバースする斜面が急で、非常に硬い雪面。
ハクジンの一人は板を脱いで、キックステップで通過した様子。次のハクジンは少し上へ迂回して板を履いたまま登って行く。
ワタクシ、エッジを喰い込まそうと蹴り気味に板を押しつけていたら、いきなり板が外れた。そしてそのままズズズと窪みの底へ、ああナサケナ。
またTLTの誤解放(?)、しかし解放はされていない。雪を噛ましたまま、踏み込んだのかも知れない。つまり装着未完(?)フゥ~ゥ。
3人目のハクジンが、ワタクシがずり落ちた地点で何かガシガシやっている。あのデカイのが落ちて来られたら大変。急いで窪みの反対側へ上がり、そこからまたシール登高再開。
3人目も板を脱いで登って行った。

頂上への緩斜面で、ハクジン3人組の横を通過する時、例のフレンドリィと眼があうと、彼はワタクシに向かってサムアップしてきた。

12:20頂上ケルン着。073

時々強い風が吹くが、いつもの厳しさはない。
ハクジン3人組はケルンには来なかった、船越の頭まで行くのだろうか。

頭上には飛行機。074

雪倉岳~朝日岳方面。075

グルッと振り返って妙高方面。076

ホントにイイ天気だ。

今回は南側の斜面を下ることにする。

滑り出しはモナカ気味で、滑りにくい。自然園が真下に見え、ターンの度に表面の硬い雪(つまりモナカの皮?)がバラバラ、ボロボロ落ちていき、正直、コワイ。

078

なんとか自然園着、13:00。079

ナント、この天気のイイ日に、自然園には誰もいなかった。と言うより、いた形跡もなし。あるのは小動物の足跡だけ。

080

しばらく、ボォーっと自然園を独り占め。081

そのまま南俣方面へ下り、ハンノ木コースのリフト乗り場へ14時前到着、無事オシマイ。


ヘンな天気のスキー場

2012-02-18 21:51:58 | 山とスキーでブラブラ

スッキリ晴れることは少なく、逆に降っても積もらず、今年、定宿での朝食時の会話は、「今日もヘンな天気ですねェ」
「今朝も降ってたけど、積もったのはチョットだけだったし、小谷村の北の方じゃ5mも積もっているらしいけど」

栂池スキー場の積雪量はまだ3mに達していない。白馬はさらに少なく、栂池で降っていても白馬では晴間の時が多々あるらしい。チョットしか離れていないのに。ホントにヘンな天気。

信州スキー場通い4回目、14日の中央道は度々、濃霧で速度規制。
しかし、定宿の駐車場まで、道に雪はほとんどなし。

ゲレンデも上部はキリが出て、ホワイトアウト状態がしばしば。

初日は500km運転して来て、さすがシンドイ。栂森~ハンノ木~鐘鳴丘を2往復して、カフェテリアで休憩していたら、右ブーツの内側足首ヒンジのリベットが外れかけていた。
今年でもう8年目、シェルの劣化を含め、そろそろどこか悪くなる、と思っていたが遂に壊れた。
取りあえず、はめ直して、裏側の伸びている部分を50円玉で広げ直したが、馬背上部の緩い尾根の斜面を滑って、北面の急斜面に入る所でチェックしたら無くなっていた。

Imgp2924 Imgp2921
ゴミを出してしまった。アルミ製の様だったので、いずれアルミナに戻る(?)はずだからイイか。

ダメモトで、ゴンドラ中間駅のチューナップショップに、「これ、ここで治りません?」
あっさり「部品ないからダメです」

まぁ、無くても、外側のカント調整のネジとカカト部の固定と、バックル2ケで、そこそこ位置は維持できているハズなので、直ぐに全てイカレル事はないハズ。
しかし、乗鞍へ登るのはヤメ、どうせ天気も悪いし、明日と明後日はゲレンデでオトナシクしておく事にする。

翌15日、鐘鳴丘は学生(?)だらけ。Imgp2922

神戸のKN女子大、岐阜の〇?大、金沢の◎▽大、若いオネエチャンばかり。オニイチャンもいた様だが、どうでもイイ。

日体大が集団でスキー教室をしている、と定宿の女将さんが言っていた。彼らの依頼で夜はナイターを延長しているらしい。
そう言えば白樺ゲレンデで10人程数グループの集団に、インストラクターが二人程付いて、レッスンしていた。
ここのスキースクールのユニフォームを着ていないのが、スキー教室してエエのン?、と思って見ていたが、ナルホド、スキーのセンセの上部組織の息のかかったのがやってた訳か。
体育教師になるのだから、スキーが好き嫌いに関わらず、最低3級(?)はとらないといけないそうだ。体育のセンセも大変だぁ。

上から下まで5往復してオワリ、宿に戻る。

定宿近所のツララの館。Imgp2927 もう少しで下まで届きます。その前にガラガラと崩れたらどうするンだろう。家主は宿か忙しくて、雪下ろしが出来ないらしい。

翌16日、相変わらず学生だらけ。Imgp2928

女子大生サン達に続いて上のリフトへ。Imgp2931

ゴンドラ中間駅の前は大混雑。Imgp2934

鐘鳴丘の緩い大斜面は女子大生サン達だけのモノ。Imgp2935

白馬方面もスッキリしない天気。Imgp2932

翌17日はもう滑らず、早目に宿を出て神戸に戻り、山の店へブーツの修理を依頼。

修理代は¥1,050.-、納期は来週月曜日。と、いう事はまた来週も火曜から行ける訳だ。

来週は乗鞍へ登らないと。ゲレンデの女子大生サン達の周りをウロついていてばかり、ではいけません。


冬山とスキー場の老人達

2012-02-12 21:22:39 | 山とスキーでブラブラ

信州・栂池通いを始めた4年前、定宿となった民宿は、ほぼ貸し切り状態だった。
ワタクシが通う火曜~金曜に、スキー場で遊んでいる人は、まず、いない。
当然だ、バブルの頃の、若者はネコもシャクシもスキー、というおバカのブームは去り、昨今スキーは儲からない。

その翌年、定宿では毎週、老夫婦と一緒だった。駐車場には福岡ナンバーのSUVが止められていた。
「あの人達も福岡から通われてるンですね、ボクより遠くから、大変ですね」と、定宿の女将さんに言うと、「違うのよぉ、ズットなのよぉ、3月までズッ~と」
「へぇ、下宿みたいなモンですね」
「そうよ、大変なのよ」
毎晩、違う食事を出さないといけないのが大変、そう言う雰囲気だった。
「去年まで別のトコで泊ってたらしいよ、何かあったのかどうか、こっちへ移って来たみたい」、宿のご主人はそう言っていた。「でもまぁ、春までズッとお客さんがいて、エエですやン」

次の年もそのご夫婦は "下宿 " されていた。
「それやったら、もうこちらでお葬式まで出してあげたらどうです?案外直ぐやったりして、イヒヒ」
「もぉ~、口の悪いィ」

そのご夫婦のダンナさんとは、お風呂や食堂で会う度、色々お話しする様になった。

どうやら、ワタクシより10歳以上年長らしい。夏はゴルフを楽しんでおられる、好々爺だった。
奥さまは膝が悪いらしく、ピンク系のスキーウエアを纏いながらも、階段は後ろ向きで下っておられた。
こんなンでスキー、出来ンの?、スキーちゅうより車椅子、いるやン。余計なお世話です、口悪くてスイマセン。

しかし、この老ご夫婦を、定宿の外で見掛けることはなかった。
見掛ける、と言ってもゲレンデでは皆さん、ゴークルと、人によっては覆面までしている訳で、余程ハデな服装の人物しか判別できない。
判るのは、素ッピンをさらけ出している食堂で休憩している時。
しかし、ワタクシが一日一度、休憩する栂の森のカフェテリアでは見掛けなかった。下の方で滑っておられたのだろうか。

そして、3月下旬、来年またお会いしましょうネ、と別れたが、その翌年、つまり昨年、その老夫婦はいなかった。

定宿は、毎年1月下旬に幼稚園児が、3月上旬は小中学生が、恒例行事で貸し切ってしまう。その時期、老夫婦がいると色々不都合なコトもあるらしい。当然、ワタクシもその週はご遠慮している。
そう言う事で、3月までの連泊は断ったらしい。まぁ、妥当な判断かも知れない。

しかし、昨年は適度に同宿者がいて、2月終わりは大学生が占拠したりで、ワタクシの貸し切りは数えるほどだった。

今年はまだ3回しか通っていないが、2回は貸し切り、1回は同宿者がいたが、これが老夫婦一組と、お一人様のお爺さんが二人。( ワタクシはまだ、オジイサンに限りなく近いオッチャンだと思ってます )

老夫婦は滋賀から来られたそうで、信州までのドライブは中々大変、と感じられた様子。
「へぇ~、神戸からですか、大変だったでしょう、何時間ぐらい掛ります?」
「6時間チョットです、毎年、ほぼ毎週、通ってます」
「エエッ!ほぼ毎週!?」
そんなに驚かれることではないンですけど。

お一人様のお爺さん達とは、夜、食堂で色々とおしゃべり。呑み屋状態になった。
お一人は63歳、名古屋でやっていた住宅関連の商売をたたんだので、またスキーをやり出したとのこと。
「商売やっとった頃は忙しゅうて、スキーなんかロクに出来んかったもんでねぇ」、多少ムリなことでも引き受ける、懐の深い現場のオヤッサン、そんな雰囲気がまだ残る好々爺だった。( この人はワタクシの4歳年長、お爺さんと呼ぶには失礼かも)
もうお一人は浜松の70歳、数年前までスキーは未経験。
「まだ、スクールに入って教えてもろとるもんでねぇ、下の方でしか滑れン」、大きな笑い声が楽しい好々爺だった。

「そやけど、スクールの若い女のセンセになろたら、直ぐウマなるンとちゃいますのン」
「へぇ~、スクールにはそんな若い女のセンセ、おるン?ンなら、今度はそうしょうかなぁ、歳いった言うても、コレに興味なくなったらオワリだでぇ」、と言って小指を立てた。
ワタクシ、調子に乗って、「そう言えば、今日、ゴンドラの中間駅におった係員、メッチャ可愛くて、アイドルみたいでしたよゥ」
「へぇ~そう、ワシ、明日帰る前にゴンドラ、乗ってみよオ」
「ワシも乗ってみよオ」
完璧な呑み屋状態だった。

そう言えば今年、栂の森のカフェテリアでも、老人をよく見かける。

昨年まで、特に1月から2月の初めに掛けて、栂の森のカフェテリアはハクジンばかりだった。ワタクシ以外、ハクジンが数グループいるだけ、ということが多かった。
しかも、店のスタッフも、名札を見るとガイジン。
そこは、もうニホンではなくなっていた。別にそれでもいいけど。
ゲレンデでは時々、学校のスキーイベントの小学生、女子高校生の集団を見掛ける事もあったが、その人達は上までやって来ない。
試験休みでやって来る大学生は2月後半から、春休みの家族連れが現れるのは3月後半だ。

そして今年、原発事故の影響がまだ続いているのか、ハクジンは減って、何故かニホンのロウジンが眼に付く。
夫婦もいれば、ジジイの二人連れやジジババ入り乱れたグループ、色々。
お一人様のジイサン、出て行く姿をフト見ると、使い馴らしたテレマークブーツを履いていた。

そこそこのスピードでゴンドラ中間駅まで滑って来て、ゴーグルを外した顔は、皺だらけのジジイだった。この人、馬の背のコブをワタクシ以上に上手くこなしながら滑っておられた。

ご老人はカフェテリアとゲレンデだけではない。

1月18日、白馬乗鞍から天狗原へ降りて、更にその下の斜面に行こうとした時、へたり込んで休んでいる二人連れがいて、挨拶してよく見たら老夫婦だった。よくここまで登って来られましたねぇ、と言う感じのお二人だった。
その後、林道から谷に降りて、ゴンドラの駅へ出る手前の森の中、スノーシューで歩いておられたのもロウジンだった。老修行僧のような感じだった。

これからも、こんな雪遊びをする老人は増えるのだろうか。

さんざんコース外はダメ、と言われているのに、パンツずり降ろしたデザインのウェア着て、立入禁止の深雪に飛び込んでいくおバカボーダーより、マナーはマシなハズ、なので、見ている限りは、ホッとする。

しかし、ご老人と言っても、定宿で偶々同宿した好々爺ばかりではない。

いつも怒っているかのように不機嫌で、周りを威喝するかの様なコワオモテのジジイは沢山いる。街では漫然運転のヒドイ運転で、ワタクシを不機嫌にしている、ジジイもいる。アクセルとブレーキを踏み間違えて、80半ばでヒトゴロシとなったジジイもいる。
ワタクシより4~5歳上の、学校では先輩、会社では上司だったダンカイの世代の彼らは、いつも眉間に皺、寄せて「ああせなアカン、こうせんとイカン」と、ヒステリックに叫んでいた。
彼らももう少し経ったら、怒れる老人になるのだろう。そう言えば、彼らは昔、怒れる若者だった。

スキー場では、そんな恐ろしいジジイにぶつけられない様、気をつけないといけない。
緑内障の"ケ"があって、視野が狭くなっているのに、放置していたため、交通事故を起こすジジイが多いらしい。

ゴンドラ中間駅まで降りて来て、また乗ろうとしていた時、脱いだワタクシの板と立てかけてあるポートの狭い隙間を、ガツガツガツと横切ろうとしたジジイがいた。
ワタクシは咄嗟に自分の板を引き込め、ジジイがお通り頂ける様にスペースを作った。ジジイはそういうワタクシの好意に挨拶する事もなく、前を通り過ぎいて行った。
このジジイ、多分周りが見えていなかった、と思う。
こう言うのが滑って来てぶつけられたら大変だ。歳いってても重い。その運動エネルギーは大きい。大ケガする。

来週も火曜日からまた栂池だ。老人は相変わらず雪山で遊んでいるのだろうか。
ぶつけられない様、老人には近付かない方がイイかも。