冬から春の、山とスキーが目的で安曇野に移住したのだが、夏から秋は当然、フツーの夏登山もするつもりだった。
何しろ燕岳の麓に住んでいて、中房温泉までミニバイクで1時間以内。烏川から常念、蝶まで行って、更にそのまま下れば横尾だし、沢渡駐車場へ車で行けば上高地まで2時間かからない。
ひと昔前まで夜行列車で、一晩かけて通っていた北アルプスは、数時間の距離にある。
しかしそう言うアリガタイ、ゼイタクな状況にいると、「まぁいつでも行けンねやから、セカセカせんでエエやン」と思ってしまい、フツーの登山は、結局1年半経っても出来ていない。
夜遅くまでダラダラ呑んで、ダラダラと時間は過ぎて行き、山は登るモノから眺めるモノになっていく。
「別に誰も困らンのだから、まぁそれでイイずら」、杣人のMさんは夕方、現場から軽トラで帰って来てそう言った。ダラダラでイイずら。
雨がちの9月がダラダラと終わって、晴がちの10月になり、雪が積もる前の白馬乗鞍へでも行ってみるか、フトそう思った。
ゴンドラは10月末まで動くとかで、それを使えば毎晩ダラダラ呑んで堕落した体力でもイケルだろう。
とは言え、相変わらずのダラダラで、気が付けば10/31、この後ゴンドラは11月下旬まで止まるらしい。
天候はパッとしないが、取りあえず行くことにした。
モタモタしていて、駐車場に着いたのが12時前。グリーンシーズンの駐車場は有料になっていて、停まっている車は10数台。天気も悪いし、ウィークディだし、そんなモンか。
積雪期はシーズンパスを持っているのでそのまま乗れるが、今日はキップを買わないといけない。取り合えず栂の森まで買う。ドンヨリした雰囲気なので、既に白馬乗鞍のテッペンは諦めている。
中間駅に赤いタレ幕が掛っている。アレは何の宣伝?。
池の側には何やら造形物が。グリーンシーズンの遊戯施設?、いずれにせよ明日から解体されるのだろう。
栂の森着12:40、他にだれもいない。
小雪がチラチラ。黄葉は終わり、枯れ野の山。
スキーシーズンで登るなら、ウラの森の中に入り、林道へショートカットするのだが、そんな夏道がないものか、取りあえずロープウェイ駅方向へ歩く。
すると“栂の森遊歩道”の看板。矢印は林道へのショートカットの方向。取り合えずその方向に入る。
しかし徐々にその方向から離れて行き、結局は元の道に戻りロープウエイの駅に出る。
ロープウエイが出る時間らしく、係のオネエサンが「乗りますかぁ~」、「イヤ、乗りませ~ン」、ロープウエイの下をくぐって栂の森ゲレンデの林道へ出る。
その後もショートカットの夏道はなく、栂の森ゲレンデとの合流点に出る。冬はここでシールを付け、登行がスタートする場所。近年はハクジンで賑わう場所。
林道をトボトボ歩く。
早大小屋付近でクマ出没注意の看板。
冬シーズンは、1回目のショートカットのカーブ。
冬の2回目のショートカット入口、谷が流れているだけで、踏み跡はない。
ゲレンデを見下ろす。雪がサラサラ降っている。
雪のサラサラ音の中、かすかにロープウエイの稼働音が聞こえる。
成城大小屋へのショートカットは谷が開けているが、踏み跡はない。
林道を廻り込んだ先に踏み跡があり、そこを登ると成城大小屋、14:10。小屋の前は湿地になっていた。
何も見えない天狗原方向。
小屋の東側に比較的新しいテラスがあって、林道を見下ろす。
ここにいてもツマラナイので、降る。雪は少し激しくなってきた。
途中でやっと、雪に覆われていない白馬乗鞍が見えた。
林道から栂の森ゲレンデへ出る斜面の、ぬかるんだ箇所でシリモチをついた。他にもスリップ跡がある。どこぞのおバカも、ここで尻もちをついたらしい。
栂の森ゲレンデを下る。
15時過ぎ、ゴンドラの駅に戻り、枯れ山の鵯峰を眺める。
標高差、たった250m程の登降、林道をトロトロ歩いただけなのに、何故かフラフラ。ナサケナイが、これが遅くまでダラダラ呑んで、ダラダラ過ごした証しなのだ。
ゴンドラからハンノ木コースを見下ろす。
鐘の鳴る丘と民宿街を見下ろす。この辺りも枯れ山だ。
駐車場に戻ると車は数台。近隣住民らしき女性が二人、犬と散歩をしていた。
定宿による元気もなく、そのまま帰る。
黄葉は見れず、雪をまとった稜線も見れず、天気は優れず、ホントに後1ヶ月程で雪は積もるのだろうか。まぁ雪さえ積もれば、それでイイずら。