長いコト山登りやってますが、アカンタレなので豪雪エリアの冬山にはほとんど突撃したことなく、幸いと言うか、恥ずかしながらと言うか、雪崩に襲われた経験はゴザイマセン。
一度だけ黒部の側壁を登りに行ったコトがあって、登れればそのルートの冬期初登攀だったが、夏なら数時間のアプローチ、冬は黒部川の河原の深いラッセルとなり、壁に取り付くまでに1日以上、結局3ピッチ程登った所で時間切れギブアップ。
黒部の豪雪はスゴイ、登っている時も壁に引っ掛かった雪が頻繁にバサッと落ちて来て、壁から引き剥がされそうになる。チリ雪崩もバカに出来ません。あんなンがもっと沢山、ドカッと落ちてきたらオワリです。
積雪期の黒部はキレイな雪山とは程遠い鉛色の世界、近付いてはダメ、と思い知らされた4日間だったが、5月の剣沢・二股でも一晩でテント半分埋まったコトあったし、12月西穂独標からの帰り、泊った坂巻温泉の駐車場では、愛車も一晩で半分埋まっていた。
とにかく、中部山岳地帯の降雪、直ぐ豪雪になりアッと言う間に全て埋まってしまう。雪はコワいものなのだ。
19日、今年5回目の信州・雪山通い、いつのもペースで栂池に着くと、定宿のママさん「今週はズッと雪マークですよぅ」
「ところで先週末、雪崩の事故あったンですよねぇ」
「ああアレね、あまり大きく出なかったンですよぅ、新聞の端にチョコッと載っただけ、前の女子大生の時は大騒ぎだったのに ・ ・ ・ 、亡くなった人、電波でるヤツ持ってて、それで埋まってルとこ判ったそうですよ」
立入禁止の標識の横を、板かついで登っていく集団、全員ガイジン。先週、立入禁止エリアで雪崩事故あったばかりなのに。
馬の背の入り口で、パトロールのオニイチャンが林の中へ入っていくボーダーを眼で追っていた。
「追いかけンでエエのン?」
「イヤ、あれは ・ ・ ・ 」
立入禁止でも管理エリア外、自己責任でどうぞ、という所と、下に林道などがあるので絶対ダメ、と言う所があるそうだ。
先週の事故、ネットで見たニュースの動画では、馬の背の尾根の南側、ゴンドラの下辺りを捜索している様子が写っていて、そこは林道の上、5年前の雪崩の発生地点(?)、絶対ダメな所。
「先週の雪崩事故、あそこやったン?」
「イヤ、逆です、丁度この裏です、この下崖になってて、雪庇が出てて、そこを直接飛び降りて雪庇が崩れてやられたンです、フツーは鵯側へ廻り込んでから入るンですけどねぇ」
「それやったら自殺やン」、思わず言ってしまった。
要するに馬の背の尾根の北側の谷を下って、チャンピオンゲレンデ横の堰堤へ出る、と言うコースで、情報がネットで流れているので、皆さんドンドン行くらしい。他にも色々あって、そう言うコースを案内するガイドもいるそうだ。しかし、あんなヤブだらけのトコ滑って、何が楽しいのだろう。
「まぁ北側なら、雪崩があってもそう言う情報を知ってルのだけが死ぬだけですけど、南側は下に林道ありますからねぇ、絶対に止めさせないと」
「そうやねぇ、まぁ大変やろけどガンバって」
死んだボーダーと一緒に滑っていた女性は婚約者だったそうだ。400m流されていて、中々見つからず、捜索を打ち切ろうとした時にビーコンが反応したらしい。
なんとまぁ、バックカントリーは惨いモンです。
上から下まで5回往復してこの日はオワリ。
20日、下の方だけ晴れている。取りあえず自然園辺りまで行くことにする。
緑の服はアンケートの人。年齢、スキーの経験、どこから来たのかを聞かれ、ドリンク券を頂いた。
ゲレンデは大学生の集団だらけ。N体育大学、K教育大学、H県立大学。
そしてKN女子大。女子を取ったら神戸のアホボンの学校。恥ずかしながらワタクシの母校。
だから、この女子大生サン達、ワタクシの後輩?、ナンカ近い想いがしてニヤニヤ、ピチピチの彼女達を眺めていたら、睨み返された、トホホ。
11時過ぎ、林道は圧雪されていた。近くでは10人近い集団、バックカントリーの講習会らしい。
林道を歩いていると、ナント、圧雪車がやって来た。後ろの引きずっているホウキは林道一杯の巾、谷側へ避けようとすると足元が崩れていく、ヤバい。
圧雪車の運チャン、ギリギリ山側へ寄って交わして行った。
自然園の山小屋はまだ冬眠中。
12時半、シールを外して老倒木と記念撮影。
南俣の谷を見降ろす。
緩斜面の深い新雪は快適なスキーにはならない。
ゲレンデへ戻る手前の数100mを只ひたすら彷徨う。
13時半、ゲレンデへ戻りこの日も無事オシマイ。
21日も鉛色のゲレンデ。
大学生が色々テスト(?)受けてます。
栂の森のリフトまで来ると、パトロールの集団が沢山のカンバンを担ぎあげていた。 新しく設置された看板。
写真を撮っていると、一昨日お話ししたパトロールがやって来て、コンニチワ。この看板は馬の背のコースに沿って8枚立てたそうだ。
しかし、彼らのその作業と前後してゴンドラで登り返していると、その下をまたもや滑っている無法者が見えた。
「いくらやってもキリないンですよぅ」
「ホンマになぁ、ああ言うのが起こした雪崩で下の林道で誰か死んで、殺人罪で裁判でも起きンと判らんのかも知れンねぇ、アホなコトしよんの外人ばっかりなン?」
「イヤ、外人は半分位です」
「見つけたら笛、吹いたりしてンのン?」
「エエ、笛は持ってますけど、逃げられそうな時は吹かないでソッと近付いたりして」
「大変やねェ、しかし笛吹きまくったり、ギャーギャー言って取り締まるしかないでェ、まぁガンバって」
その後も馬の背コースを滑り返していると、ツインチップのファットなロッカーの板を履いた、多分ハクジン一人、周りを覗いながら南側の林に入って行くのを見た。そこは林道の上、絶対に立入禁止の危険エリア。ホントにまァ、何と言う事か。
しかし、あんな木ィだらけの斜面、それ避けながら滑って何が楽しいのだろう。 振り返ると南俣の谷が見えた。
シール貼って1時半も登ると、あんなイイ斜面があるのに。雪崩誘発しても誰にも迷惑掛けへんのに。ホンマ、アホっチャう。
馬の背を6往復して、この日も無事終了。