蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

雪の稜線とゲレンデの黄葉

2017-10-29 11:53:34 | 車でブラブラ

この山小屋の玄関扉、車庫扉と車庫の間仕切り引き戸は、信州・小川村の建具屋さんの作品。
ワタクシの構想に沿って、その建具屋さんを引っ張ってきたのは設計事務所だったが、工務店は大手サッシュメーカーの汎用品を使いたかったらしい。
しかし、アルミに木目をプリントした工業製品は、この山小屋にはそぐわないし、快適、安全、安心を最優先するマジョリティが採用し、都会には溢れている、ハリボテ、ニセモノ、マガイモノを付ける趣味は、ワタクシにはない。

そして地元の木工品が納まったが、何しろ木材、特に暴露部は晴雨、寒暖による反り返り、伸縮はアタリマエ。
7月初めの雨続きで、玄関扉が遂にフヤけ、最後までスゥ~っと閉まらなくなった。枠との滑りが良くなるように、スキーワックスを塗ったりもしたが、結局は陽があたって、乾燥して縮むまで3日掛かった。
その後、今年の夏は断続的に雨続き、10月も長いアキサメ前線と台風、ズッと扉は閉める最後が引っ掛かっていた。
同じ暴露部の車庫扉は、幅2.5mの両開きなので、戸枠にあたることはないが、雨続きは扉が反って、カンヌキが抜きにくくなる。まぁユルイよりキツイ方が安心ではあるが。

そして雨がやっと止んで、安曇野の平地に陽が射してきても、燕の稜線には雲、ガスが掛っている日が多く、周りの景色は以前営業で走り廻っていた、中・四国地方の片田舎と変わらない。ワタクシはホントに信州に移住してきたのか。

そらぁ、話しちゃうやんケ、と巻き舌で悪態つき続けていた先日、ふと見上げると、ナント雪を被っている燕岳の稜線が見えるではないか。
そう言えば、FM長野では浅間山、八ヶ岳、駒ケ岳などが、雪を被っていたとのリスナー報告が流れていた。

27日、久しぶりに栂池まで行ってみることにした。丁度お米も切れかかっている。ついでに定宿で買って帰りますか。 

 森から出ると、雪をまとった爺ケ岳から白馬三山が見えた。

 姫川源流の黄葉の先に姿を出す白馬岳~小蓮華。

 鐘の鳴る丘の先にも白馬岳~小蓮華。

 金曜日の昼過ぎ、誰も乗っていないゴンドラが周回している。

 馬の背コース上部はもう落葉して、黄葉の上にグレィの頂。

 杓子岳が寒々として厳しそう、なかなかイイ感じ。

その後定宿へ寄ると、誰もおらず物音もしない。玄関は空いていたので、大旦那だけがいて、奥で作業しているような雰囲気だったが、3度呼んでも出てこなかったので、帰ることにした。

松川畔の酒屋へ寄ると、雪中埋蔵の生原酒が並んでいて、当然お買い上げ。
お米は買えなかったが、お酒は買って帰る。

雪山通いまで、後2ヶ月となった。

 


森の恵み

2017-10-20 23:42:05 | 信州安曇野での出来事

安曇野のこの地はそもそもアカマツの森だったそうで、その後、養蚕の目的でクヌギも植えられたとか。
昔、この地ではお蚕サマにクワではなく、クヌギの葉を食わせていたらしい。

よってここに山小屋を立てるには、アカマツとクヌギを除去しないといけない。そして除去した木々はどこへいくのか。

アカマツは前の地主の費用負担で伐採し、パルプとして引き取られた。
クヌギはこの山小屋を建てた工務店の社員が、薪ストーブ用として引き取って行った。

残ったのは土くれにまみれた切り株。
これらはワタクシが何らかの方法でこの地に戻すことにしていた。それがこの木々の伐採の原因を作った、ニンゲンの責任であるような気がしたのだ。雪が積もるまではヒマやし。

庭の北西隅に積み上げられた切り株は、どれもこれもゴツくデカい。
5月頃から塊から細い根を少しずつ引き出し、燃やした。それは勢いよく燃え上がり、ワタクシのシラガまでチリチリにした。
しかし中々はかどらない。雨も降るし、他にも色々するコトあるし。

 7月初め、雨続きの後、久しぶりに塊から引き出し燃やす。 

 それは勢いよく燃え始め、豪快に燃え上がった。

「オッ、良い感じで燃えてますねぇ」、隣のMサンが様子を見に来た。ワタクシはシラガを焦がさないよう注意していた。

 しかし一番近くの木を焦がしてしまった。

「まぁこの程度なら枯れないとは思うが・・・」、Мさんは慰めるように言った。この木はクリらしい。
山小屋建築の犠牲となった木々を地に戻そうとして、他の木を枯らしたのではシャレにならない。

クリは残った葉っぱで、何とか光合成を行い、夏を乗り切った。 

 そして9月の終わり、根元に実が落ちていた。虫にも喰われておらず、食べれるらしい。

この時期になると、火バサミを片手にクリを拾いながら散歩している人が出没するらしい。皮が硬く、剥くのが大変だから、ホイルに包んで焚火に放り込んでおくのがイイ、とМさんは教えてくれた。

 そして見上げるともう一つ、森の恵み。