3月31日、信州までの路面、路肩はおろか、道路周辺からも雪は消え去り、青木湖を過ぎると、雪解け真っ最中の穏やかな信州の景色となり、毎回9時半過ぎFMから流れていた、ゲレンデの積雪量情報は終わっていた。
信州でさえもうスキーシーズンはオシマイと言う事だ。
4月1日からはほとんどのリフトが営業終了、明日以降は鐘の鳴る丘からリフトを乗り継いで上へは行けない。
場内放送が、強風でゴンドラや上のリフトが休止している、と言っている。と言う事は、今年はもう、リフトで上へは行けない。
取りあえず上がってみる。小蓮華の稜線では豪快に雪煙が上がっている。ナルホド、上は風が強いらしい。
ここから上のリフトは止まっていた。
仕方なく、横へ乗り継でいく。雪がドンドン融けている。
チャンピオンゲレンデにはモーグルバーンが2本、小谷村のジュニアチームが、真っ直ぐに続く30コ以上のコブを飛び跳ねていく。
このゲレンデも明日からは滑れない。
風は中々弱まらず、下の方のリフトを20回ほど乗ったら飽きてきて、この日はオシマイ。
雪がスッカリなくなった午後の駐車場。
定宿での夕食時、大女将が「オトモダチからこれ、預かってます」、Sサンが前週末、CDに収めた写真を届けて下さったそうだ。2月に乗鞍から天狗原へ滑り降りるワタクシを撮って頂いていたのだ。アリガタイ。
4月1日、上へ登るには絶好のお天気。8時過ぎゴンドラの駅に行くと、ズラ~っと人が並んでいる。ゴンドラは8時半から運転になっていた。
栂の森でゴンドラから吐き出されたバックカントリーの皆さん、アタリマエの様に次々とロープウェイの方へ。まるで通勤電車の乗り換えのよう。
ワタクシ、その群れに溶け込めず、ゲレンデ最上部へのリフトへ。林道を歩くことにした。
しかしそのリフト、8時50分から運転と、下のリフト券売り場に掲示されていたのに、まだ動いていなかった。
「スイマセ~ン、もうチョット待って下さい」、係のオニイチャンが動かしたり止めたりしている。
すると精悍な青年が一人やって来て、係員にキップを求めた。
「240円です、消費税アップしてません」、係員のオニイチャン、一回券を持ってきて、「後3回、ベルが鳴って動いて、止まったら乗れます」
精悍な青年は、ロープウェイの切符は買ったが、どうやら9時の便に乗れず、次が30分後で、しかもウラヒヨへ行く(?)ので林道途中から上がれる(?)から、とか言っていたが、ワタクシ、状況よく判りません。
結局リフトが動き出したのは、9時を10分もまわっていた。
林道着、9時20分。
成城大小屋着、10時5分。
天狗原への登り、傾斜が徐々に緩くなり、トレースは真っ直ぐ付いている。
11時20分、天狗原着。ヘリで上がった手ブラのスキーヤー、ボーダーがくつろいでいる。
乗鞍の斜面を登っている“手ブラ”もいる。
ボードを抱えて登っているアベック、ワタクシのシール登高を見て、「ヘぇ~、そういう風にして登ってくんですかァ、それもキツイっスねぇ」
彼らはその後すぐ下って行った。
12時40分、頂上ケルン着。ナント、他に人がいた。2人組と3人組。その先の稜線にも数人いる。さすが4月になると皆さんケルンまで、更にその先まで来られるようだ。
水を飲もうとしていたら、少し離れた所にいた一人の紳士、「あぁ、どうもォ」と手を上げた。
Sサンではない、川崎のY氏でもない、昨年遭遇した青年でもない、「エェッと、どちらサマでしたっけ」
「宿で一緒だった ・ ・ ・ 」、そう言えば、定宿にはもう一人客がいて、フロと食堂で、挨拶だけはした。
「オトモダチの人と一緒に登って来たンですよ、ゴンドラで一緒になって、色々話ししていたら、貴方のコトになって、その人、きっと登って来ているハズだ、と言ってあっちの方へ捜しに行きましたよぅ」、と南の方を指した。どうやらSサンもテッペンにいるらしい。
この日は南面を自然園へ降りる予定だったから丁度良かった。
その旨、同宿だった紳士とそのお連れサン(?)に伝えて、南側へ進むと、小蓮華へ続く稜線を眺めている人ひとり、ウェアとザックの色からSサンだと判った。
「Sサ~ン」、Sサンは振り返って手を上げた。
早速、写真CDのお礼を言って、同宿だった紳士からSサンがいることを聞いた、と話したら、「あの人、貴方と同じ名前でしたよぅ、ゴンドラで話してたら、H山荘に泊ったと言ってたので、それじゃ神戸の〇?サンと言う人が泊ってなかったか、と訊いたら、ワタシも〇?ですって、岐阜から来たらしいです」、そう言えば定宿のH山荘駐車場には、岐阜ナンバーのワゴンが止まっていた。
「ヘェ~っ、世間は狭いちゅうか、ナンちゅうか、ホンマ、オモロイですねぇ」
ホントにエイプリルフールのウソのようなはなし。
すると、同宿だった紳士とケルンの横で話ししていた、もう一人の紳士がザザザ~っと滑って来て、「南側を滑ると聞いたので、ついて来ましたァ、連れてって下さい」
Sサンも一緒にどうですか、と誘ったが天狗原に来ている知人と合流するとの事。
それじゃ、下のカフェテリアで会いましょう、と南側の斜面を見降ろす。昨年は湿って重い雪で最悪だった。
しかし、今年は適度に締まっていて、まぁ快適。
「連れてって下さい」とついて来た紳士は、十日町のHサンと言う人、「サイコーですねぇ」と言いながら続く。
サイコーの斜面は続く。
稜線から下り降りたボーダーと、その仲間らしきボーダーが稜線にいて、無線で何やらやり取りしている。「あれアベック見たいですねぇ、稜線にいるの女の子見たいですよぅ、さっきからズッと稜線にいます」、Hサンは観察していたらしい。
「女の子、ビビっているンでしょうか?まぁどうでもエエけど」
Hサンの携帯が鳴ったので先に行く。
自然園へ到着、13時半。
その後、Hサンを南俣の谷へお連れして、14時10分栂の森のカフェテリア着。Sサンはいつもの席で休憩中。「岐阜の〇?サンはさっき下って行きましたよ」
その後、3人で30分程オシャベリ。
Hサンの話では、新潟の十日町と言っても、長野の方が近く山の道具等は松本で調達する事もあるとの事。また雪国だが山が小さいので、山スキーのスケールも小さいとか。
Sサンも親戚が十日町にいるそうで、どのルートがより近いとか、Hサンがアドバイスしていた。
いずれにせよ、お二人とも栂池へは日帰り。イイですねぇ。
次週、Sサンは蓮華温泉へ行ったりとかで、乗鞍や自然園には現れない。
「来年も生きとったら必ず、毎週神戸から通いますので、またお会いしましょう」と、お別れした。
エイプリルフールの日、快適でサイコーの一日だった。