~Southern trees bear storange fouits~
ビリー・ホリディの、この有名な曲を初めて聞いたのはハタチ前、‘70年頃。
その数年前ワタクシは高校生。我々学生の要求で、学生服と男子の頭髪が自由化され、生徒会の自治が確認された。
学生、若者の多くは、安全保障と言うか軍事面での米国追従に反対し、ベトナム反戦は大きな広がりを見せ、公民権運動と黒人差別撤廃は世界的に注目されていた。
奴隷が解放され、黒人の人権が確立されるのはアタリマエだ。
しかし、この曲を聴いてワタクシはオドロいた。
南部の木に生る“奇妙な果実”とは、リンチでコロされて吊るされた黒人のコトだったのだ。
これは黒人の奴隷解放、差別撤廃、人権確立とかなどで語られるのレベルの問題ではない。ヒトゴロシだ。
そんな犯罪があるなど、それまで知らなかった。
そもそも買ったドレイを殺してしまえば、働き手がいなくなって、飼い主は損をするだけ、そんなアホなことをハクジンはするのか。
しかしその後、映画でも、吊るされた黒人が見つかったとかの殺人事件が、話されるシーンがあり、やはり“奇妙な果実”の殺人はあったらしい。
ただ、そんなリンチ殺人事件はジャズの名曲と映画のみで見聞きしただけ、リアルタイムのニュースでは流れなかった。
ワタクシがリアルタイムで黒人の殺人事件を知ったのは、その10年ほど後だった。但しそれは、ハクジンによるリンチ殺人ではなく、警官による殺人事件だった。
その後警官による黒人の殺人事件は度々ではないが、1度や2度ではなく続いていた、と思う。
コロされた黒人は、暴動で騒いていたのではない。街に買い物に出で、警官にイチャもんを付けられ、騒ぎになってコロされた、と言う様な状況だったと記憶している。強盗や殺人の犯人として、逮捕サワギの中で事故死した訳ではなかったのだ。
警察とはそんなエグい惨殺をするものだと、ワタクシはすんなり理解した。
そもそも警察には、困ったときに交番へ駈け込めば助けてくれる、そんなイメージの優しいオマワリサンは、ほとんどいないらしい。
警察は、近所にヤバい輩がいると訴えても、守ることなどしないし、被害を受けた後になってから、その加害者を逮捕することがヤツ等の仕事なのだ。
そして普段は「コイツ、何か悪いことでもしよんのと違うか」と、 残酷な猜疑心を持って周りを監視している。そう言うノが警察のようだ。
高3の同級生そんなヤツがいた。
ヤツも「アイツ、〇✕△と違うか」と、異様な猜疑心でクラスメートを観察していた。多分そんな性格だったから、友達は少なかった。
ワタクシはそもそも仲間と集うのがイヤだったから、いつも一人でいた。ヤツは同類だと思ったのか、ワタクシに近付いて来た。ワタクシは強いて毛嫌いはせず、深い付き合いもしなかった。
結局ヤツは警察官になった。警察の学校を出たハズだから、再会したのは高校卒業後5~6年後だったと思う。ヤツは“ネズミ捕り”の集団の下っ端で、ワタクシの違反を揉み消した。
ワタクシは船室艤装品メーカーの経理で、毎日午後は銀行巡りをしていて、三ノ宮のダイエーの前で“ネヅミ捕り”に引っかかってしまった。ヤツはワタクシに気が付き、ワタクシの免許証に不審がある、と上司に耳打ちし、別のパトカーにワタクシを案内した。
パトカーに座るとヤツはヘルメットを脱ぎ、ワタクシに正対し、「オレや、オレや」と言った。ワタクシは「オオっ!おまえやったンかぁ」と応えた。ヤツが警察に就職したと、誰からも知らされていなかったが、警官になったヤツを見て、ヤッパリな、ナルホドな、と思った。
ワタクシが何キロ超過したのか、つまり減点と違反金がいくらなのか、そんなハナシは一切せず、チョこっとパトカーにいて、ヤツは免許証をワタクシに返し、ワタクシは銀行巡りを続けた。
同級生と再会した訳だが、その後呑みに行ったりすることはなかった。警察には何かの知り合いがいた方がイイ、とか言うアホがいるが、ワタクシは警察と付き合う気はない。
同級生とは言え、奥深い猜疑心で 人に対応するヤツとは付き合う気はないし、何と言っても国家権力の手先であり、武器を持ち、人を拘束するどころか、コロすことも出来るのだ。
そして黒人は途絶えることなく、警察にコロされている。
先月もコロされた。ワタクシが“奇妙な果実”の殺人を知ってからもう、50年も経っている。
自由と民主主義の国(?)のアメリカの警察は、いつまでこんな残酷で野蛮な犯罪を犯すのか。
10年ほど前から、こうした警察の残虐な犯罪行為に対して、非暴力的な市民的不服従を唱える抗議活動が、“Black Lives Matter”として始まったそうだ。
そして今回の抗議活動は国際的にも広がり、警察の予算や体制に対しても色々要求を出している(?)とか。まぁ、猜疑的な感情を減らせと要求してもどうしようもないし、しかしいつまでも「アイツ、何かワルいことでもするのでは」と疑われ、イチャンモンを付けられ、モメて暴行されコロされては堪らない。少しでもイイ方向に改善させるべきだ。
ウソかマコトか、フランスの警官は拳銃どころか武器を持っていないそうだ。警棒も硬いカシのコン棒ではないらしい。
6/17は梅雨突入前の好天。
神戸では近くに垂水警察署があった。周りでは白バイが頻繁に走っていた。そして信州移住1年前に、旧神明で捕まった。29キロ超過だった。それが今のところ、最後の交通違反だ。
安曇野へ来て最初に、車の車庫登録やナンバープレート変更で警察へは行った。しかしその後警察との付き合いはない。と言うか警察が近くにいない。
神戸より空いていて真っ直ぐな道が多いのに、軽トラはゆっくり走っている。それを追い抜く気もしない。
警察との接触がほぼ無い生活と言うのは、アリガタイ。