3月22日の天気、晴れから曇り、気温は高目になるとの予報。
陽が照って、締まった雪面が適度な柔かさに融けて、最高の斜面が待ち構えている、ハズだ。
しかし、定宿のご主人に、「天狗原~乗鞍方面へ行けるトコまで」、と告げて出ようとすると、「風が出て来たみたい、ハンノ木のリフトは動いてルと思うけど」
宿を出て歩いていると、SUVが停まって、「コンニチワ」
窓から覗く、サングラスとロマンスグレイの紳士は、昨日3回目の遭遇をした、安曇野は松川の写真家さんだった。
今日は午後、松本で用があるからゲレンデをチョコっと滑るだけ、だそうだ。
「では、また」
駐車場を歩いていると、また呼び止められた。川崎のYサンだった。
「ゴンドラ、リフト、上の方は全部、風で停まってルよゥ」
もう帰るそうだ。まだ早いし下を走って高速代を浮かすとか。
「では、また」
ゴンドラを中間駅で降りて、次のリフトが終わると、もうその上のリフトは停まっていた。
眼下のゲレンデに、中間駅からシールで登ってきたと思われる3人組が見える。
上から、でかいザックを背負って、安定したターンで降りて来るのが一人。3人組は彼(?)と少し話してからご休憩。
10時前、ワタクシもここから歩きましょ。
キツイ風の中、リフト1本分登って10時半過ぎ。リフト番のオニイチャンがボードで滑って来て「コンニチワ」、一応一つ一つチェックしているそうだ。
時々スノーモービルのパトロールが追い越して行く。シール登高の後続はなし。3人組はもう引き返したのか。
栂の森に続くゲレンデには、風で吹き飛ばされた枝が散乱。
かなり太い枝も落ちている。
これ、どうやって片付けるのだろう。圧雪車でグチャグチャと踏み砕いてオワリなのかしら。
圧雪されたマッサラなゲレンデの真ん中をシールで登る行為、痛快なのか、おバカなのか。
リフト降り場から南俣の谷へ行きましょ。
このリフト、レトロなシングルチェア、10何年前から動いているのを見た事がない。降り場の支柱は腐食している。大勢でドカっと急に踏みつけられ、崩れ落ちる事などないはずだから、まぁエエか。
11時15分、南俣の谷、風がキツイ。微かに射していた陽はどこかへ消えた。
30分程登ったが、地吹雪が普通に吹雪きだして、ここでギブアップ。
吹き飛ばされた枝が散乱する中を滑り下りる。
黒装束のボーダーとスキーヤーも、3人下ってきた。彼らもリフト番(?)
リフトは停まったまま、ゴンドラ中間駅付近も閑散としている。その下のリフトも停まっていた。要するに全リフトが停まっていた。
まだ13時前だか、戻って酒呑むしかないか、と思って定宿の前まで来ると、鐘鳴る丘のリフトが動き出した。
しばらくここで遊んで時間つぶしする事にした。
リフト番のオジサン、「今日は風邪でもうムチャクチャ、ダメですワ」
4回滑って終わりにした。
この日は麓もスゴイ風だったそうだ。
毎回、帰りに地酒を買う、酒屋のオバサンの話では、白馬では宴会場の屋根が飛び、神城では電柱が何本か倒れ、一時停電、電話不通になったとの事。
「でも、冷たい風じゃなかったンてすよ。これ今日ウチの畑へ行く途中で摘んだの、初物よぉ」、夕食にはフキノトウの天ぷらが添えられていた。
青臭い苦味は春の訪れ、美味かった。