蒼ざめた馬の “一人ブラブラ、儚く、はてしなく”

山とスキー、車と旅、そして一人の生活

高額療養費の謎

2020-08-09 23:56:40 | 信州安曇野での出来事

今年3月初め、ワタクシは栂池スキー場の最上部で、急に動けなくなり、定宿には何とか戻り着いたが、広間に倒れたワタクシを見た宿の人達は、躊躇なく救急車を呼び、安曇野からドクターヘリに乗せ換えられ、信州大病院へ運ばれた。

ワタクシの容態を見て、多くは脳卒中と思ったそうで、ドクターヘリ乗っていた美人アスリートの様な女医からは、これからは寝たきりになりますよ、と断言された。

しかし信大病院での検査の結果、頚椎硬膜外出血腫とか言う症状で、頸の血管から出血し、それが頸の運動神経を圧迫し、動けなくなったと言うハナシだった。何しろ血圧が200以上で、その日は降圧剤を点滴され、翌朝はフツーに動けるようになった。
結局、異常個所は脳でなく頸で、しかも寝たきりにはならなかった。

集中治療室で一晩過ごした翌朝、ワタクシは脳神経外科の医師から、自分の症状を説明され、数日の入院が必要だと言われた。ワタクシにとっては初めての入院だった。
そして医師は、高額療養費の請求を、後日して下さい、と言った。その手続きはケースワーカーがするので、依頼してください、とのこと。
看護士のオバサンは、かなりの高額になります、このベッドだって、1日7万円掛かりますから、と補足した。集中治療室のベッドには、いくつものセンサーやモニターが繋がっていて、いかにも高そうだった。
しかし入院早々イキナリお金のハナシ、少しオドロいた。まぁコッチは無職の年金受給者、病院代が少しでも安くなるならアリガタイ。

集中治療室から一般病室に移ると直ぐ、医療福祉支援センターのオネエサンがやって来て、高額療養費の軽減制度の説明を受け、それを利用するには“限度額適用認定証”が必要で、「私が市役所に交付の申請をし、発行されたら持ってきます」、と言われた。
翌日オネエサンから認定証を受け取った。ワタクシは申請書に住所、氏名を書いただけだった。

3/13退院した。入院期間は10日だった。入院費支払総額は7万強だった。これが高額療養に当たるのか。
診療費の明細を見ると、総医療費は555千となっていて、負担率30%で患者負担が7万強。
どういう計算でそうなるのかもサッパリ判らなかったが、そもそも大した額ではない。しかしホントに、更にそれから軽減されるのか。

入院中は頸に保護用カラーを巻いていた。車の事故などでムチ打ちになった人達が着けいているヤツだ。
それは病院経由で手配されるモノではなく、業者から直で購入するようになっていた。22千程の請求書が付いていて、退院後支払処理をしたが、健康保険で手続すると7割が還付される、となっていて、4/17市役所へ支給申請した。
その時、高額療養費はどうなるのか、訊いて見た。3月の入院だったから、5月末に書類が送られる、との回答だった。
しかし何も送られてこなかった。

6月末になっても何も届かず、7月末、“限度額適用認定証”の有効期限が7月末なので、必要ならば更新せよ、との文書が届いた。
ン?、“限度額適用認定証”なるものが、今後も必要なのか。そもそもこれは、高額療養費の軽減制度を利用するのに必要なモノだと、医療福祉支援センターのオネエサンから聞いていた。つまり高額療養費の軽減制度を利用すれば、もう必要はない。
しかしまだ高額療養費は軽減されていない。と、言うか、結局アレは一体、どうなったのか。もう忘れかけていた。

いずれにせよ、市役所に聞くしかない。
8/6、市役所の入口には男性職員2名が待ち構えて、体温を測り、マスクを渡された。

担当のオネエサンに訊くと、市役所から支給の連絡がなければ、負担額が限度額を越えていないからで、支払総額7万には食事代が含まれていたのでは、と言って、限度額の表を見せた。
限度額は所得によって定められていて、年金生活者のワタクシは57.6千だった。

家へ戻って、診療費の明細を確認してオドロいた。ワタクシの負担額はナント、限度額ピッタリの57.6千だった。
これはどういうことか。偶然の一致なのか、それとも恣意的にその金額にしたのか。
しかし恣意的となると、高額療養になる手前で抑えてくれたのか、それとも高額療養ギリギリまでボッタくられたのか。

しかしまぁ、国立大の病院で入院費を恣意的に決める事などあり得ない。ワタクシはナント下衆な勘繰りをしたのか、あぁナサケナイ。

そもそも何年も、イヤ何十年も、歯医者以外に病院とのお付き合いはなく、何かでチョコっと診て貰っても、3割負担で、病院ではロクにお金は払っていない。
今回は初めての入院、とは言え手術もなく、何日間か寝ているだけだ。大して掛からないだろう、と思っていた。
しかし、初日に高額療養費とその軽減制度のハナシを聞いて、“限度額適用認定証”を受け取り、何かケチることに気持ちが行ってしまった。

そして最終的には、高額療養費が出る程の治療ではなかった。一体、ワタクシは何がしたかったのか、世間はワタクシに何をさせたかったのか。

 8/8、まだ梅雨が明けきっていないような景色。