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静かなパラダイス

暗くなるまでこの恋を…

2018年02月25日 | Weblog



映画「暗くなるまでこの恋を」(1969年・仏)
原題「La Sirène Du Mississippi」
原作:ウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウーリッチ名義も)
   「暗闇へのワルツ」
脚本・監督:フランソワ・トリュフォー
音楽:アントワーヌ・デュアメル
衣装:イヴ・サン=ローラン(ドヌーヴ)
出演:ジャン=ポール・ベルモンド カトリーヌ・ドヌーヴ
   ミシェル・ブーケ 他

究極の愛を描いたミステリー…この映画、今イチ面白くない。
ウィリアム・アイリッシュ原作では
「黒衣の花嫁」(1968年・仏/伊)の方がいい!



ウィリアム・アイリッシュ原作といえば
ヒッチコック「裏窓」(1954年・米)
ヒッチコック大好きのトリュフォーが追いかけるのも無理はない。
さまざまな映画の記憶をブチ込んではいるけど、
当時トリュフォーはまだ30代…円熟期はこれから。
早すぎる死(52歳)は惜しいというほかない!

この映画はフランスではコケて日本ではヒット。
理由は内容よりもベルモンドとドヌーヴが出ているからでしょう。



ストーリーは省略。(笑)
本日はヒッチコックのスゴさについて少々。

ヒッチコックはサイレント時代からイギリスやドイツの撮影所で
秩序とモラルのある緻密で厳格なスタジオワークをみっちり経験している。
セットや小道具などの美術、照明に撮影技術、録音に編集、衣装にメイク…
ここが超一流…予算をかけている…ベース(基礎)のレベルが高い!
“サスペンス” “スリラー” の巨匠と言われていますが、
映画を観ると、基調となる “格調の高さ” “美的センス” に驚かされる。
映画が一番の娯楽、映画産業が隆盛だった時代→ここ重要!



これがヒッチコック・フォロワーの追随を許さない要因でしょう。
仏ヌーベル・ヴァーグの監督たちは “頭でっかち” の “映画狂”
ヒッチコックのことは知識としてすべて知っている。
お金はないけど映画が撮りたい…
カメラを担いでパリの街に飛び出した下積み知らずの
映画狂の若者には真似ができない高い壁がある。



ヒッチコックの “上質な” ユーモア=笑いのセンス。
人間としての “余裕”=“遊び” がなければ出てこない。
“映画しかない” お金と気持ちに余裕のない若者には出せない味でしょう。

僕は生い立ちなども含めてトリュフォーが好きだし、
ヌーベル・ヴァーグの映画を好みますが、
そもそも出発点&バックグラウンドが異なる。
ヒッチコックと同じ土俵では語れない…そう感じます。