アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

『アイヌ民族副読本』問題を考える市民の集いパート2 報告1

2012-07-20 08:06:56 | インポート
休日の16日の14時からにもかかわらず、100名ほど入る会場がいっぱいになり、それほどに関心が高く、皆がアイヌ民族の教育に関する危機感をもった熱い集会となりました。

前回に書いたように、推進機構が編集委員会も開かずに3月27日に「修整」通知を全国に発送した後、執筆者らが要望し、6月11日、7月1日、16日の3回の編集委員会を開催。第3回目が16日の午前に開かれ、推進機構側が「執筆者に相談せずに決めたのは認識が甘かった」と陳謝し、従来の記述に戻すことにしたことが報告されました。
(道新では、「市町村教委などに対し、撤回の文書を送る考えを明らかにした」とありますが、執筆関係者によると、推進機構側は「撤回」の文言を避けた、と)。

また、8月1日推進機構の評議会、2日に理事会があり、推進機構側はすでに新編集委員10名を決めているという情報をもとに追求したが、先方は否定。しかし、2日の理事会で新たな編集委員会を作る方向を出し、全く新たな「副読本」を作成する可能性は消えていません。

興味深い報告に、振興機構が一昨年に実施した副読本に対するアンケート結果がありました。詳しくは、後日に「考える会」が今回の報告集を作成するというので、それにアンケート結果も掲載するよう要望しましたから、それが出てからもう少し正確に紹介できると思います。アンケート内容と編集委員の分析は編集委員のお一人の石黒文紀さんから以下の通り(要点筆者)。

推進機構は、道内の小中学校1897校、教育委員会180、そして道外の公立学校100校の合計2177にアンケートを送付し、回収できたのは38,8%。

約4割の回答の中で、「授業で活用している」が46%、「読み物として配布」が30,8%、「教室や図書室で閲覧」が12%。なんと約9割が副読本を何らかの形で活用していることがわかる。

また、現在の副読本が「活用しやすい」が72,4%(10年前は40%)、対して、「使いにくい」は3,2%。「どちらでもない」が23,1%(但し、内容はいいし写真もいいが文章がちょっと難しいというもの)。アンケート結果としては大半が現在の副読本をよく評価していることになるのに、推進機構側は「使いにくい」の3,2%を取り上げて全面的に変えようと考えているのだ。

記述式の回答部分を見ても大半が無条件にいいと感想がかかれており、道外の人々は100%全面的に支持してくれているし、道外では各小中学校に一冊のみの配布に留まっているが、全学年分の希望を書いている人もいる。

まとめとして、学校現場から圧倒的に要求されるのは、現在の副読本にさらに新たな要素を加えて発行すべきだというのが8割以上しめているので、今後の編集方針に反映させるべきだ。それと、なぜ活用できないかというと教師の知識不足が10%、圧倒的に多いのは時間不足が7割近くある。これらの改良がアンケートを生かすことになるとかんがえる。


推進機構が行ったアンケートで回収率4割とは言え、これだけ高評価の結果が出ているのに全面改訂を行う意味が分からない。今までの副読本を継承しつつ、より良いものを作るためにも編集委員をそのままにするか、継続性を考えて半数以上を残すかするべきだとわたしは思います。

ところで、推進機構では「アイヌ文化活動アドバイザー派遣」というのがあり、推進機構が事前に委嘱しているアドバイザーを地域の要請によって派遣し支援する制度があります。
(詳細は推進機構へ→ http://www.frpac.or.jp/ser/adviser.html )
現在の編集委員のメンバーもアドバイザーとして委嘱されていたのが、どういうわけか何の連絡もなく今年度は外されていたとのこと。徹底的に排除しようということなのでしょうか。




15日は道北の教会の交流デーで稚内教会の礼拝奉仕に行き、夜は名寄で会議。翌日、札幌で「考える会」の集会に出て帰宅。走行距離730k。留萌から稚内の海岸通を走ると見事な利尻富士が迎えてくれます。
写真の右端にある大きな花はエゾニュー。アイヌ民族がこの茎を使って「ヘニュード」という楽器を作っています。松浦武四郎が書いた絵の中にも出てきます(チレカレツと書いていますが、以下のWEBページで絵が閲覧できます→
http://gazo.library.city.sapporo.jp/shiryouDetail/shiryouDetail.php?listId=7&recId=528&pageId=17&thumPageNo=2)。
アボリジニ民族のディジュリドゥと同じような楽器です。