日々

穏やかな日々を

サリドマイドの催奇形性の作用解明

2019年10月10日 12時31分43秒 | 医療情報
サリドマイドの催奇形性の作用解明
東工大と東京医科大、ヒト培養細胞を使った実験でサリドマイドがp63を分解誘導
化学工業日報2019年10月9日 (水)配信 投薬に関わる問題

 東京医科大学と東京工業大学は医薬品の「サリドマイド」が胎児の手足などに奇形を引き起こすメカニズムを解明した。催奇形性という副作用がきっかけで同薬はいったん市場撤退したが、その後、血液がんへの効果が判明し、再認可された。近年分かってきたたんぱく質を分解誘導する同薬の作用メカニズムを別の創薬に生かす研究も盛んで、研究成果は安全性の高い新薬開発に役立つ。
 研究グループは以前、サリドマイドが酵素のセレブロンに結合し、通常は分解されないたんぱく質を分解することを突き止めていた。たとえばサリドマイド系化合物がセレブロンに結合するとGSPTIというたんぱく質を分解し、急性白血病に効果を示すことを見いだした。ただ、催奇形性に関するたんぱく質分解誘導は未解明だった。
 そこで研究陣は、手足や耳の発達を担うたんぱく質「p63」を研究している伊ミラノ大と国際共同研究を行い、ヒト培養細胞を使った実験でサリドマイドがp63を分解誘導することを見いだした。脊椎動物のモデル生物であるゼブラフィッシュを用いた解析でp63を分解誘導した結果、手足や耳の奇形が発生した。
 サリドマイド骨格を持つ医薬品は抗がん剤レブラミドやポマリストが登場し、年間1兆円を売り上げているという。ただ、催奇形性のない薬剤開発は困難だった。研究成果はp63の分解を誘導しないサリドマイド系新薬の開発につなげられる。
 研究成果は科学誌「ネイチャー・ケミカル・バイオロジー」に掲載される。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 静脈瘤のレーザー焼灼術、フ... | トップ | 急性白血病の治療 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

医療情報」カテゴリの最新記事