アトピーの赤ちゃん、全身にステロイド塗ると卵アレルギー発症率減少…「湿疹ゼロ維持重要」
2023年4月25日 (火)配信読売新聞
アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに、ステロイドの塗り薬を使って早期に積極的な治療をすると、卵アレルギーになる割合が減少したとの研究成果を、国立成育医療研究センター(東京都)などのチームが発表した。
食物アレルギーは、体内に入った異物を除く免疫の働きが、特定の食べ物に過剰に反応しておきる。食べるだけでなく、アトピー性皮膚炎などでバリア機能が低下した皮膚から取り込まれることも発症原因になるとされる。湿疹治療で発症を抑えられると考えられてきたが、科学的に証明されていなかったという。
チームは、生後7~13週にアトピーと診断された乳児650人を二つのグループに分けて調査。ステロイドの塗り薬を湿疹が出た部分だけに塗る「標準的治療」では、生後28週で卵の粉末を食べさせると41・9%がアレルギー反応を示した。一方、湿疹が見えない部位も含めて全身に塗り薬を使う「積極的治療」では31・4%にとどまり、発症率は4分の3に減少した。
チームは、医療現場では症状に応じてステロイドの強さや使用期間を調整する必要があるとしている。
卵を食べて発症するケースでは、離乳食の開始早期から摂取すると8割が予防できると報告されている。山本貴和子・同センター室長は「湿疹ゼロの維持と、早めに口から食べることが食物アレルギー発症予防に重要だ」と話している。
成田雅美・杏林大主任教授(小児アレルギー)の話 「弱った肌を保護すれば食物アレルギーが減る可能性があることを示した世界初の研究で、意義は大きい」
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