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高齢の糖尿病患者で、うつ病重症度と合併症リスクが有意に関連

2016年02月27日 17時43分21秒 | 医療情報
高齢の糖尿病患者で、うつ病重症度と合併症リスクが有意に関連
4,000人を超える東京女子医科大学の高齢患者を横断的に解析
HealthDay News2016年2月26日 (金)配信 一般内科疾患内分泌・代謝疾患精神科疾患

 高齢の糖尿病患者では、うつ病の重症度と糖尿病合併症の併発が有意に関連することが、東京女子医科大学糖尿病センターの患者を横断的に調査したDIACET研究の解析でわかった。高齢糖尿病患者の3人に1人が軽度~重度のうつ病を合併していることも判明したという。詳細は「Journal of Diabetes and its Complications」オンライン版に2月4日掲載された。

 同センターでは、2012年10月に、8,000人を超える外来通院または入院患者を対象に、自己記入式の質問票を用いて糖尿病診療の実態を調査する前向き研究DIACET(Diabetes Study from the Center of Tokyo Women’s Medical University)を開始した。今回、同センターの石澤香野氏らは、糖尿病とうつ病の関連性について着目。加齢により身体機能の低下がみられる高齢の糖尿病患者を対象に、うつ病の重症度と糖尿病合併症の併発との関連を検討した。DIACET研究の解析結果を論文化したのは今回が初めてだという。

 対象は、65歳以上の糖尿病患者4,283人。平均年齢は73歳で、女性が約39%、1型糖尿病患者は約4%だった。自己記入式の質問票には、年齢や性、糖尿病罹病期間などの基本情報のほか、細小血管障害である網膜症や腎症、末梢神経障害あるいは自律神経症状による自覚症状や、大血管障害(心疾患や脳卒中、壊疽)による通院の頻度、さらには過去1年以内の入院の有無などが含まれていた。うつ病の評価には、患者健康質問票(PHQ)-9を用いた。

 その結果、PHQ-9スコアによると、5~9ポイントの軽度のうつ病患者が858人、10ポイント以上の中等度~重度のうつ病患者が476人と、対象患者の30.6%が軽度~重度のうつ病を合併していることがわかった。

 また、うつ病が重症化するに伴って細小血管障害を併発するリスクが上昇し、透析の必要性、大血管障害による通院頻度や入院率が増加していた。年齢や性、降圧薬や脂質異常症治療薬の服用の有無、喫煙状態、HbA1c値などにより補正した多変量ロジスティック回帰分析でも、うつ病の重症度は、壊疽による通院以外の糖尿病合併症リスクとそれぞれ有意に関連していた。

 研究著者の1人である同センターの馬場園哲也氏は、HealthDayの取材に応じ、「今回の横断研究で、うつ病とさまざまな糖尿病合併症との関連が認められたが、両者の因果関係については今後、前向きな検討が必要である。糖尿病専門医は、実地臨床のなかで高齢糖尿病患者のうつ症状を把握し、精神科医と連携するなど,適切な介入を行う必要性がある」とコメントしている

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