フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月22日(水) 晴れのち曇り

2017-02-23 13:03:37 | Weblog

8時、起床。

一階の雨戸を開けると、なつが挨拶に来た(昨夜も室内にお泊りだったが、明け方に出て行った)。

今日は少し雲が出ているが、寒くはない。

トースト、麻婆豆腐、サラダ、紅茶の朝食。麻婆豆腐は昨日の夕飯の残りだが、「マーボ屋」でテイクアウトしたもの。

食後、タミフルを一錠飲み、残り一錠(今日の夕食後)となる。長かった5日間も今日で終わる。

昼食は妻が買って来たお鮨(千代田鮨)。

実は、インフルエンザと診断された先週の土曜日のお昼も鮨のつもりだったが、食欲がまったくなくなり、1つも食べられなかった。

今日は完食した。間違いなく食欲は健康のバロメータである。

そして夕食はハンバーグ、サラダ、味噌汁、ご飯。

普通に完食。

そしてデザートは林檎のムース(ユーハイム)。

食後にタミフルの最後の一錠を飲む。終わった。明日からは自由の身だ。

蟄居中で体の運動ができない私は頭の体操で気分転換をはかっていた。コンピューター相手の将棋である。「きのあ将棋」というネット上のサイトがあり、そこで一番強いレベルの「細野さん」がけっこう楽しませてくれた。つまり勝ったり負けたりということである。昔の将棋ソフトは弱すぎて話にならなかった。今の最強の将棋ソフトは強すぎる。「きのあ将棋」は私にはちょうどいい相手である。コンピューターらしいところと、人間臭いところが適度にミックスされているのだ。

一局、紹介しよう。(ここから先は将棋を知らない人にはチンプンカンプンです。)

私が後手だが、便宜上、私の陣が手前に表示されている。

局面は私が「●6五歩」と飛車取りに歩を打ったところ。形成判断は、駒割りは私の桂損で持ち駒の歩も一枚しかないが、相手が私の陣内に打った角の動きは封じており、飛車の侵入を防いで、持ち駒の角を有効に使ってジワジワ行けばこちらがよくなっていくだろうという読みである。とりあえず相手は飛車を3四に動かすか(これには●3五歩と打つ)、8四に動かすがだろう(これには●6二角と打ちこむ)。

ところが相手は飛車を逃げずに、○5六桂と飛車取りに打ってきた。全然こちらの読みにない手だった。飛車取りだが、「筋の悪い手」と思った。普通の(人間の)感覚にはない手である。飛車を横に逃げるのは角で銀をとられてしまうから問題外。一つ飛車を引くのも飛車の頭に歩を打たれるからダメ。飛車を一つ上がる手は(当初はこれでかわせると思った)、○5八銀と打たれて面倒なことになる。

なので●6四歩、○6八桂成と飛車を取り合うことにした。飛車を渡すのは嫌だが、打った桂がそっぽへ行ってくれる。

次に角で銀を取られると防御不能になるので、ここでの一手が重要である。私は銀に紐を付けながら、●3六飛と王手に打った。

これに対して相手は○3三歩ではなく、○3四歩と中合いの歩を打ってきた。有段者の手である。●同飛と取ればそこで○3三歩と受け、飛車を元の場所に引けば、そこで○5八成桂とじりっと寄せてくる手や、それを省いて、いきなり○6七飛と王手銀取りに打つ手もある。一歩を犠牲に先手をとろうという中合いの歩である。この歩は取れない。

○3四歩に対して、私が●4四歩と伸ばし、そのために生じた空間(4五)に相手が銀を打ってきた局面。●4四歩は●5四角と打つ手や、●4三銀といきなり打ち込む手を見ている。○4五銀は●5四角を防ぎ、○3四歩を守り、同時に飛車取りという一石三鳥の手。

私はかまわず●5四角と打つ。王手銀取りであるから、相手は○同銀と取る一手。

そこで●同歩として3枚の歩が4段目に並んだ。スクラムトライを狙っているような布陣だ。詰めろではないが、何か駒が入れば一挙に詰ましますよ、駒を渡す攻めはしにくいでしょ、ということだ。

相手は○4五角と飛車取りに打ってきた。これは一瞬「ぬるい。ありがたい」と思った。飛車を取る手が王手ではないからだ。だが、すぐに飛車を取るのではなく、○3九飛、●3八歩、○4七金(!)、●同玉、○3五角、●同玉、3八飛成と迫る筋がある(ただしいますぐは駒不足)。駒を渡さずに攻めるとすれば、●6三歩成だが(続いて●5三歩成)、じっと○5八成桂と寄られて、次の○6七飛がめちゃめちゃきつい。ゆっくりはしていられない局面なのだ。

●4三銀と打ちこんで、○2二玉と寄られた局面。●4三銀に○同金なら、●同歩成、○同玉の後、●4四金、○同玉、●5五金として角を取ってしまう手が成立するだろう(ただしその先を緻密に読んでいるわけではない。これで有利というのは勘である)。

 

○2二玉と寄る手には、●3四銀不成と引く。角に当てながら、相手の玉頭に攻めかかろうという手である。ここで単純に角で飛車を取る手には●同玉で、●2三銀成、○同玉、●2四銀、○2二銀、●2二角の詰めろがかかる。もちろん何か受けるだろうが、●2四歩で攻めは続くだろう(ただし緻密には読めていない)。

相手は○3九飛、●3八歩と形を決めてきた。

前図から、○3六角、●同玉、○5六飛、●4六角(!)、○6六角成(?)と進んだ。私の●4六角は攻防の一手。王手を防ぎながら、相手の玉頭に狙いを定めている。○6六角成は蟄居していた角が銀を取りながら世に出るという後手待望の一手だが、実は敗着だった(しかしこの時点では私はまだそのことに気づいていない)。

私の玉には○3八飛成以下の詰めろがかかっている。相手の玉を詰ますか、詰めろ逃れの詰めろをかけるしかない。

●2三銀成、○同玉、●2四歩と進む。玉が引けば頭から金銀を打って簡単な詰みであるから、次は○3三玉と寄る一手。さて、そこでどうしよう。三筋には歩は打てない(二歩)・・・と考えながらの●2四歩だったのだが、相手は○3三玉とは指さずに「投了」したからびっくりした。

最初、プログラムのバグではないかと思ったほどである。コンピューターの将棋も人間と同じように最後の最後まで指さずに投了するが、それは残り3手とかの簡単な詰みの場合である。この局面でそんな詰みはないはず・・・と思って局面を冷静に眺めると、○3三玉と寄る手には、●3四銀(!)、○同玉、●3五銀、○3三玉、●2三金までの詰みがあるではないか!3四には歩は打てないが、銀なら打てるのだ。それもただの銀捨てだ。銀をただ捨てて、相手の玉を呼び込んで、2六の銀を3五に攻め駒として参加させるという妙手順だ。●2三銀成りから数えると9手詰だ。○6六角成の時点では後手はこの9手詰の筋に気づいていなかったということである。その意味ではこの「きのあ将棋」はそれほど終盤が強くない。プロに勝つようなソフトは滅茶苦茶に詰みを読む力が強いのだが、私の相手としては「きのあ将棋」くらいの終盤力でちょうどいい。しかし、最後は私の気づいていない詰み筋(○2四歩からなら7手詰だ)に気づいて、あっさり「投了」してくれたのである。私がその筋に気づいていないかもしれないということは考えないのだろう。ここが人間とは違うところだ。人間なら相手のミスに期待して○3三玉と寄って、●3四銀と打たれた時点で「投了」するだろう。

ちなみに画面左下のグラフはコンピューターによる形成判断を示すもので、これでは中盤から私がどんどん劣勢になり、ほとんど必敗の局面になったが、最後の最後で一発大逆転で私が勝ったということになる。これも私の感覚とは違う。最後は私の攻防の一手(●4六角)が詰めろであることに相手が気づかなかったため(私も気づいたいなかったのだが)、一発大逆転のように見えるだけで、中盤以降もずっと難しい局面が続いていたように思う。