presented by hanamura ginza
はやいもので、まもなく 6 月ですね。
東京では梅雨入りを前にして、
梅雨の走りのような雨の日が多くなりました。
湿度もあり、雨が降るたびに気温も高くなっているようで
少し前まで敬遠していた冷たい飲み物を
手に取るようになりました。
それでも季節の変わり目どきは胃腸も弱まり、
食あたりなども多いので、
冷たいものの取りすぎには気を付けていきたいところですね。
胃腸が弱っているときにぴったりの食べ物といえば、
今日お話しする「大根」です。
大根には、でんぷんやたんぱく質、脂肪の消化を助ける酵素、
「ジアスターゼ」が多く含まれています。
このジアスターゼは腸の働きを整える効果もあるようです。
また、大根は衣服などに付いてしまった血液のしみも落とすことができます。
これもたんぱく質を分解する「ジアスターゼ」の効果です。
昔から、演技がヘタな役者のことを「大根役者」と呼びますが、
これは、生でも煮ても、どのように調理しても消化が良くて食あたりしない大根の特性をあてはめ、
何をやっても当たらない役者という意味合いで付けられたようです。
大根は、遠い昔から日本で食されてきた食べ物のひとつで、
世界中でも日本ほど大根を栽培している国はなく、
世界の大根の生産量と消費量の約 90 %を日本が占めているようです。
その大根の起源は、地中海地方といわれています。
紀元前 2700~2200 年ごろの古代エジプトでは、
ピラミッドを建設する労働者のための食用にされていたと記録に残されています。
日本に伝えられた正確な年代は分からないようですが、
弥生時代には日本で栽培されていたようです。
文献では奈良時代に成立した『日本書紀』に於朋泥(おほね)
と記載されてあるのが最初で、
のちに「すずしろ」という名前で春の七草のひとつともされました。
江戸時代には、各地でさまざまな大根がつくられるようになり、
江戸時代後期に記された農書、『成形図説(せいけいずせつ)』には、
23 品種の大根が記載されています。
また、「大根役者」という呼び方も、
この時代に歌舞伎からでた言葉で、
当たり芸のある名優に比べ、当たり芸のない未熟な役者という意味合いで、
付けられたようです。
ちなみに、「まんが日本昔話」では、大根が多く登場します。
「まんが日本昔話」は、室町時代から江戸時代ころに考案された昔話をもとにつくられたものですが、
大根が時には主役に、ときには脇役にというように
さまざまな場面で登場します。
質素な家屋の囲炉裏にのせられた鍋に、
ぐつぐつと煮えられた大根を取り、
美味しそうにほふほふとほおばる人物といった場面が印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
昔話には、現代のように食料が十分ではなかったためか、
食べ物が題材になったお話しが多くあります。
その中でも印象に残る大根の場面からは、
いかに大根が重宝されてきたのかが窺えます。
大根は薬用としても用いられたことから、
無病息災の意味合いで着物の意匠にも用いられています。
上の写真は大正時代ごろに作られた和更紗からお仕立て替えした半巾帯です。
段縞に大根の文様が規則正しく並べられた意匠が面白く小粋な雰囲気です。
大根を身につけて元気に次の季節を迎えたいですね。
※上の写真の「段縞に大根文様 和更紗 半巾帯」は 5 月 31 (土)から
花邑 銀座店で開催する「半巾の帯展」でご紹介する商品です。
●花邑 銀座店のブログ、「花邑の帯あそび」次回の更新は 6 月 5 日(木)
予定です。
※仕入れのため、 6 月 5 日(木)のブログはお休みします。たいへん申しわけございません。
次回の更新は、 6 月 12 日(木)予定です。( 6 月 4 日 )
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