花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

梅文様について

2010-02-02 | 文様について

presented by hanamura


明日は立春ですね。
しかし、春を迎えるとは思えないような
寒い日がつづいています。
ここ東京では昨晩、雪が降りました。
家の近所に咲いた梅の花には雪が積もり、
寒さに震えているように見えました。

梅の花は毎年まだまだ寒いこの季節に咲き、
春の訪れを一番に知らせてくれますね。

現在では、日本のいろいろな場所で見ることができる
梅の木の原産地は、みなさんもご存じのように、中国です。
日本には、奈良時代より少し前にもたらされました。
そして、当時の貴族たちはまるで競うように
自分の屋敷に梅の木を植えたようです。

紅色や白色、黄色、桃色などの
可愛らしい花を咲かせる梅は、
荒涼とした冬の大地に一際美しく映えます。
ほのかに香る甘い匂いも良いですね。
そして、しなるような枝ぶりも
味わいがあります。



昨日のような寒い日にも
花を咲かせるその姿からは、
けなげさと生命力を感じます。
まさに「絵になる」花なんですね。

また、他の花より先駆けて咲くことから、
吉祥とされ、
その文様は古代からさまざまな装飾品に
用いられてきました。

その中でも有名なものは、
江戸時代に活躍した絵師の尾形光琳が描いた
国宝「紅白梅図屏風」でしょう。
尾形光琳の最高傑作とされるこの作品には、
渦を巻いて末広がりに流れる水流が絵の中心に描かれ、
その流れを挟んで
紅梅と白梅が向かい合うように描かれています。

また、平安時代の大臣で学者でもあり、
漢詩人でもあった菅原道真は
梅の木をたいへん好んでいたようです。

そのことから、菅原道真を祭る天神信仰では、
梅の種の中に天神様が宿ると信じられ、
学問が栄える時に見事に咲くという言い伝えがあります。



もちろん梅は、着物や帯のモチーフにも多く登場し、
その種類も豊富です。
裏側から花を捉えた「裏梅」、
花びらを捻じらせて意匠化した「捻じり梅」、
枝を散らしたものを意匠化した「枝梅」、
氷の割れ目文様に梅を散らした「氷梅」、
そして尾形光琳の画風から意匠化した「光琳梅」
などがあります。

その種類の多さは、古代より梅を愛でてきた
日本人の姿を表しているのではないでしょうか。

※写真の梅文様の紅型名古屋帯と、小紋の着物は花邑銀座店にて取り扱っています。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は2月9日(火)予定です。


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