花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

「寅」=「虎」について

2010-01-12 | 文様について

presented by hanamura


新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

花邑 銀座店では、
棚に飾った干支人形を「牛」から「虎」にバトンタッチして、
新年のお客さまをお迎えしています。

このお人形は、昨年にひき続き、
帯の仕立て職人だった、
祖母の杉江いつえがつくったものです。

材料には、着物の素材としてもなじみ深い
絹の縮緬(ちりめん)が用いられています。

そのお尻にはしましまの尻尾、
お顔にはひげも付けられていて、
凝ったつくりになっています。
本来は凶暴な虎ですが、
愛嬌があってとても可愛らしいです。



「虎」は着物や帯の文様として用いられることも多いですね。
新年はじめての「花邑の帯あそび」では、
その「寅」=「虎」のお話しをしましょう。

虎は、着物や帯をはじめとして、
調度品やプロ野球のチームキャラクターなど
古来からさまざまなもののモチーフになり、
親しみ深く、とても人気のある動物ですが、
ご承知の通り、日本列島には生息していません。
遠い昔に、装飾品や仏教とともに
古代の中国からもたらされた動物なのです。

古代の中国では、
虎は「野獣の王」とされ、
悪霊を追い払う聖獣として、
崇拝されていました。

その中でも色の白い虎は、
遺伝子の特別変異で生まれるため、
生息数が少なく、白虎(びゃっこ)と呼ばれ
たいへん珍重されました。
そのためか、空想上の聖獣である龍や鳳凰と並んで
「四神図」にも登場します。

「四神図」とは、古代中国において東西南北を司る
神様を表した図です。
中国では東西南北それぞれの方角には
神様がいると考えられていたのです。
その四方向の神様を「四神」とよびます。

東を守るのは龍を表した青龍(せいりゅう)、
南を守るのは鳳凰を表した朱雀(すざく)、
北を守るのは亀に蛇が巻き付いた玄武(げんむ)、
そして西を守る聖獣が白虎なのです。

この四神図は、日本でも描かれてきました。
現在、東京都港区にある「虎ノ門」は、
江戸時代に、白虎が描かれていた場所だったので、
そう名づけられたようです。
当時その場所は江戸城からみて西に位置していたのです。

また、奈良で発掘された「亀虎(キトラ)古墳」には、
石棺内部の東西南北の壁に
この四神の図がそれぞれ描かれています。

その奈良は、今年で平城京遷都1,300年を迎えるので、
これから奈良に行かれる方も多いでしょう。
なかには「亀虎(キトラ)古墳」の白い虎を見に行かれる方も
いらっしゃるかもしれませんね。

亀虎古墳の虎はさぞかし立派と思われますが、
花邑銀座店にいる虎もかわいさでは負けません。
ぜひ会いにいらしてくださいね。


花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は1月19日(火)予定です。


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