ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「ピグマリオ」 和田慎二

2006-04-13 09:46:57 | 
このマンガは長年月刊の少女漫画雑誌に連載されていたこともあり、男性にはあまり知られていないかもしれません。ですが、日本のファンタジーもののマンガでは、非常に優秀な作品だと思います。

題名から分かるように、ギリシャ神話をモチーフにしての冒険物語となっています。主人公に子供を設定していることや、わりと年齢層の若い人向けの雑誌での連載でしたが、大人の鑑賞眼にも十分耐え得る作品です。

魔物の魔法により石像と化した母を助けるため、少年クルトが竜の子供や占いの少女を旅の仲間にして冒険に出かけたのですが、いつのまにやら世界を救う旅になっていた・・・後日作者が当初とはかけ離れた内容になったとインタビューで答えてましたね。10年近い連載のうちに、作者にもいろいろ葛藤があったようですが、見事に最後はまとめました。

作者の和田慎二は「スケ番刑事」が有名ですが、少女漫画雑誌にしか描いていないせいか、案外知られていない感があります。最近は「ハリー・ポッターもの」や「ロード・オブ・ザ・リング」「ナルニア国物語」などファンタジーものが流行りですが、この作品も映画化されたら面白いかもしれません。
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セルティック優勝

2006-04-12 18:04:36 | スポーツ
スコットランド・一部リーグのセルティックがリーグ優勝しました。このリーグは実質、セルティックとレンジャーズの2強で争っているので、別に珍しくもない結果ですが、今回の優勝には中村俊輔が主力選手として活躍しているだけに嬉しいですね。

現在の日本代表チームは、間違いなく中村中心のチームですから、中村本人の調子がいいことは、チーム全体にいい影響を与えるので、ほんの少しだけ期待したいですね。ええ、ほんの少しです。

後2ヵ月後に控えたドイツ・ワールドカップですが、今回は予選リーグの組合せに恵まれず、おそらくは予選敗退でしょう。ブラジルは別格ですが、クロアチアは優勝のダークホースに上げてもおかしくない強豪です。オーストラリアは、チーム全体のレベルは日本とそう変わらないと思いますが、前線にキューエル、ヴィドッカという第一級のFWを揃えている。これは手強い、このアドバンテージは極めて大きい。

今後のアジア予選を考えると、次回からアジア予選に参加するオーストラリアですから、最低でも引き分けに持ち込んで欲しいものです。久保に期待する向きも多かろうと思いますが、案外あの手の大型チームは、大黒や佐藤のようなハシッコイFWを嫌がるので、ちょっとは期待しています。

日本のサッカーは、一対一では勝てないことを前提にチーム戦術で試合を進めることを長年やってきました。それはそれで、それなりの成果を挙げてきたののは確かです。でもその一方で、個人個人の技量を挙げることを怠ってきたのも事実です。一対一の技量で世界に通用する選手は、未だ中田、中村、小野、稲本ら数名でしょう。つまり現状では、いくら名監督を呼んでも、ワールドカップの上位に進むのは難しい。これが今の日本の現実です。

ですから、今回のドイツ大会では、今の日本代表チームがどこまで頑張れるかを見てみたいと思っています。実のところ、昨年までは若手が育っていないことを嘆いていたのですが、最近けっこう生きのイイ若手が出てきた。ル・マンの松井、レッヅの長谷部、サンフレッチェの佐藤寿らには、次回以降期待しています。FC東京の今野や、エスパルスの藤本にも注目しています。

さあ、今年も4年に一回の楽しみが待ってます。ワクワクしますね。
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「超古代文明謎解き講座」 W・H・スタイビングJr

2006-04-11 09:57:50 | 
正確には「スタイビング教授の超古代文明謎解き講座」 ウィリアム・H・スタイビングJRです。
ムー大陸とアトランティス大陸、どちらも物的証拠がない点は共通している。もっとも前者が結婚詐欺師の良く出来た作り話に過ぎないのに対し、賢人プラトンの叙述である後者の信頼度は極めて高い。

またエジプトのピラミッドと、中南米の神殿の間にアトランティスを置くと、なかなかに収まりがよく、私は20代まではアトランティス大陸の実在を、けっこう信じていました。ですから、アトランティスの存在を否定したこの本は、けっこう衝撃的でした。

しかし、この本を読んで目からうろこが落ちた思いをしたものです。何ゆえにプラトンはアトランティスを取り上げたのか。その意図するところを考えれば、プラトンの言わんとすることは明らかになる。言論の自由が保障された社会に生きる我々現代人が、見落としがちな当時の社会的事情。

プラトンの著述は、すべて残っているわけではないのですが、残されたものから類推して、プラトンが理想の政治について語っている場面でアトランティスを取り上げていることに著者スタイビング教授は注目しています。おそらくはプラトンは、当時のギリシアの政治権力者たちを批判したかったはずです。

しかし、政治権力を握るものを批判することは極めて危険な行為であるため、アトランティスという架空の理想像を取り上げることで、間接的に政権批判をしたのだとするスタイビング教授の見解には肯けるものがあります。

我々は過去の歴史をさかのぼって物事の解釈をする時、どうしても現代の常識で判断してしまいがちです。そのことのを改めて再認識させてくれた意味で、この本に出会えて良かったと思います。


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商品先物取引

2006-04-10 15:52:32 | 社会・政治・一般
4月になり、通勤電車に初々しい新入社員と思しき若者たちが目立つ。この時期になると、個人的には憂鬱な飛び込み営業が増える。

一番悩ましいのが、先物商品の飛び込み営業。私は商品先物市場の有用性は知っているつもりだし、そのリスク・ヘッジ機能を考えたら、市場経済には必要不可欠な仕組みだと言わざる得ない。

しかし、先物商品の飛び込み営業は、リスク・ヘッジではなく、投機的な(賭博的と言った方が適切でしょう)先物商品を売りつけに来る。確かに少ない手元資金で巨額な取引が可能な先物商品は、濡れ手に粟的な大もうけが可能な商品です。しかし、巨額な損失が発生する可能性も十分ある、極めて危険性の高い金融商品であるのも事実。

はっきり言って、一般消費者向けの金融商品ではない。賭博的商品だと言い切りたい、危険なものだと考えています。危険だからこそ大儲けの可能性も秘めているのですが、私に言わせれば大穴狙いの賭博と同じ。

長く続く不況のせいで、就職難が続いたせいか、若くてまじめそうな若者が、真剣な顔で一生懸命、先物商品の営業に訪れます。だいたいが、素気無く追い払うのですが、彼らの疲れた背中を見ていると、少し胸が痛む。おそらくは、彼らの大半が一年以内に仕事を変えるでしょう。とても耐え切れるものではない。

「投資は自己責任」とは正論ではありますが、商品先物取引はあまりに危険すぎる。素人への販売は規制したほうが良いと、私は考えています。一案ですが、その商品先物取引を営業している会社との取引で法的な自己破産に追い込まれた事件数くらいは、会社名を公表の上で公開してしかるべきです。可能なら自殺者の数も・・・と思いますが、これは難しいでしょう。

一生懸命な営業マンの姿勢にほだされて、商品先物取引に手を出す前に、過去になにがあったかを知る権利くらいあるはずなんですがね。危険な商品を売る自由を認めるなら、その危険性を知る権利だってあると私は考えています。
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「ウォッチャーズ」 ディーン・R・クーンツ

2006-04-09 16:32:05 | 
初めて読んだ時は、無性に犬が飼いたくなり、庭のない今の暮らしに不満を覚えたものです。犬好きなら、一度は読むべきだと確信してます。まあ、現実にこのような犬がいる訳ないのは分かっていますが、こんな犬がそばに居たらと夢想してしまいます。特に第一部の最後のページは、涙ものの一節です。

ただ、何回か繰り返し読み重ねるうちに、いつのまにか敵役である怪物に感情移入している自分に気が付いてしまいました。愛くるしい犬とは対照的に、見るからに恐ろしく醜い凶暴な怪物に育てられたゆえの苦悩。高度な知能を与えられたが故に、なおのこと強い憎悪と嫉妬を燃やして、更に凶暴化する敵役に、いつしか同情すら感じていました。

クーンツは、常にハッピー・エンドを用意しているがゆえに、物足りなさを感じることも間々あるのですが、この作品の敵役は見事でした。

余談ですが、この作品も映画化されて、レンタル・ビデオ屋によく置かれていますが、お勧め出来ません。はっきり言って駄作だからです。クーンツの作品は、映画化されたものは全て駄作といって良く、その点でS・キングに大きく差をつけられている気がします。ホラー小説はホラー映画には勝てないと、ホラー卒業を宣言したマキャモンは、このことをよく考えて欲しいものです。
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