ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

次なる覇者は

2012-10-12 15:56:00 | 社会・政治・一般
この地球という名の惑星に生きる生物で、永遠の繁栄を誇ったものはいない。

一億年以上にわたって地上を闊歩した恐竜でさえ絶滅を避け得なかった。もちろん古代から数億年の歳月を生き延びた生物もいる。海底にひっそりと暮らすシーラカンスが有名だが、彼らを覇者とはいうまい。むしろ敗残者に近い。それでも彼らは生き延びた。

どちらかといえば、身体の構造が単純な生き物のほうが、生き延びる可能性は高いようだ。そうなると、やはり昆虫類が生存期間が飛びぬけて長い。なにしろ5億年以上昔からトンボやゴキブリの原型ともいうべき生き物が存在している。

もちろん、原型から様々な進化を得て種類は増えただろうが、自然淘汰もあり絶滅したものもあったのだろう。それでも今日まで生き延びているのだから、その生存能力の高さには驚かされる。

ところで我々人類と称する哺乳類はどうだろう。類人猿から原人に至る道のりは長く、その過程もすべて解明されたわけでもない。現時点で分かっているのは、その進化の過程は一本道ではなく、多くの失われた岐路があり、絶滅した種もかなりあるということだ。

その歴史は地球の歴史のなかでは、ほんの一瞬ともいっていいほど短く、わずかに1000万年に満たない。つまり急激に進化したともいえる。人類がこの地球上で大いに繁栄を享受できたのは、雑食性であると同時に、すぐれて環境適応力が高かったからだ。でも、それだけでは適者生存の戦いを勝ち抜けない。

人類は個体としては決して強者ではない。鋭い爪も、獰猛な牙もなく、駆ける速さは遅い部類に入るうえに、力も弱い。にもかかわらず、地球上の至る所で生息できたのは、集団戦闘に長けていたことが大きい。

これは音声によるコミュニケーション能力の発達と深く結びついているようだ。元々は樹林帯で生息していたようだが、アフリカ大地溝帯の亀裂の広がりに伴い、樹林帯から草原に追いやられたがゆえに、四足歩行から直立二足歩行へ移行を強いられたことが要因とされている。

直立歩行により背筋を伸ばし、視野を広げて警戒する範囲を広げた結果、音声を発する能力が発達し、結果的にコミュニケーション能力を高めたらしいとの説には、かなりの説得力があった。

以前は旧原人たるネアンタール人から現人類であるクロマニヨン人へと一本道で進化したと思われていたが、現在では幾つかの亜種が確認されており、そのなかで声帯の部位が拡大していた、すなわち音声発生能力が高かった現行人類が進化の競争を勝ち抜いたと考えられるようになっている。

この音声によるコミュニケーションが、集団戦闘で活用されて狩猟能力の高さにつながったとされている。また歩行から解放された二本の腕に道具(武器)を持たせることにより、その戦闘力は飛躍的に拡大したことも大きい。

道具の使用は、結果的に知能の向上を必要とし、得られた知識、経験を音声を通じて集団に広めることで人類は文明を築いたと言っていい。これは他の生物にはみられない、きわめて特異な能力であると同時に、人類を地球上至る所に生息させる原動力ともなった。

だが、果たしていつまで人類の繁栄は続くのだろうか。

繰り返すが、永遠の繁栄などあり得ない。私は楽天的気質の持ち主であり、暢気でさえある。しかし、この楽天家の私でさえ、現行人類の行く末には悲観的にならざるを得ない。

次なる地球の覇者の交替があるとしたら、その引き金は氷河期の到来だと私はにらんでいる。忘れちゃいけないのは、地質学的にみて地球の現在は比較的寒い時代であり、氷河期と氷河期の間の寒さの緩んだ時期にあたることだ。

雑食性とはいえ、人類はその食料の大半を農作物に頼っている。氷河期の到来は、大半の農作物を人類から奪ってしまう。加えて人口の増大と、水資源の不足、化石燃料の枯渇と問題は山積している。

民主党政権は安易に原発0政策を決めたようだが、果たしてそれでいいのか。私は現在の原子力発電のシステムを欠陥が多すぎると以前から批判的であったが、その一方で逼迫するエネルギー供給に必要なものである現実は認識している。

人間はエネルギーを多量に消費することにより文明を築いてきた。そのエネルギー政策を安易な感情論だけで決めていいのか。少なくとも代替エネルギーに目処がつくまでは、現行の発電システムを維持すべきであろう。

結局のところ、人類は地球の覇者の地位を失うとしたら、外的環境の激変だけでなく、自らの愚かさによるのではないか。

少なくても日本は、自らの将来に暗い影を投げかける愚かな決定を下したと、私は判じています。

追記 この記事は9月初めに書き終えてあったのですが、その後野田内閣は2030年までの原発全廃を決定。ところが、経済界をはじめ反発が多く、あわてて見直しを図っている模様。この政権が、いかに民意を分かっていないかが良く分かります。
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