ヌマンタの書斎

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ローグ・ワン

2016-12-22 12:16:00 | 映画

戦争に於いて、なにより重要なものは情報である。

その情報が欲しいが故に、古来より人間たちは努力と苦労を重ねてきた。その情報を体系的に整理し、より効果的に活用できたがゆえに、人間は地上の覇者となり得た。

地球に関する限り、これが出来る生き物は、他にはいない。知能の高いイルカやシャチは、より良い餌場、育児の場所などを、その発する音声で、仲間に伝えることが出来るが、それを次世代に引き継がせるのは難しい。なぜなら、それを知るものが死んだ場合に、その知識を残す手段がないからだ。

ミツバチは、開花した花の場所、蜜の量などをフェロモンと動作により仲間に伝えることが出来る。しかも、この能力は遺伝子に刻まれたものであるらしく、次世代に引き継がれる。しかし、その情報量は限られており、発展した例は見つかっていない。

その点、人間は明瞭な言語により、複雑な情報を伝えることが出来る。その上、文字を残すことで、次世代に引き継がせることが出来る。これは、現時点では人類だけが持つ優位性であろう。

もっとも、その情報を適切に活かせるかどうかは、出してと、受けて、双方の知性が問われる。

その一例が、太平洋戦争の初戦の真珠湾攻撃だ。実はアメリカ側は日本軍の暗号を解読済みで、真珠湾を攻撃されることは知っていた。しかし、アメリカ政府上層部が、日本軍を見下していて、あれほどの被害が出ることを予測していなかったのが、真珠湾攻撃成功の実情だ。

もっとも、真珠湾攻撃を卑怯な不意打ちだと広報して、それまで戦争に否定的だったアメリカの大衆を煽動して、いっきに参戦ムードを高めた手腕はさすがである。

ちなみに、情報の使い方、その重要性を分かっていなかった在アメリカの日本大使館では、前夜にパーティーを開いていて、呑み過ぎて寝坊し、日本からの開戦通告の連絡暗号文の解読が遅れ、結果的に不意打ちになった。もちろん、アメリカ側はその暗号連絡を解読済みである。

そして外務省は、戦後長らくこの失態を隠していて、この寝坊した外務省の役人たちを叙勲までして退職させている。判明したのは、アメリカ側の公文書公開により、アメリカの戦史研究者の発表による。どうやら、日本の役所は不利な情報を隠匿する重要性はよ~~~く、承知していたようだ。

ところで、表題の映画では、スターウォーズにおいて、何故に反乱軍がデススターの弱点や設計図といった重要な情報をなぜ持っていたのかという謎を解き明かしてくれる。

シナリオ的には納得の作品であった。ネタバレになるので書かないけど、情報が如何に重要かをよく分かっているアメリカならばのシナリオだと思う。反乱軍の勝利は一日にしてならず。多大な犠牲が必要であったことが良く分かる作品です。年末年始のお楽しみとして、是非どうぞ。


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kinkacho)
2016-12-22 12:48:58
ヌマンタさん、こんにちは。
このスピンオフ作品は、見事にエピソード4に繋げて、かつツッコミどころをフォローしてましたね。
最初から全員に死亡フラグが立っていたのはわかってましたが残念でした。
希望のバトンリレー、見事でした。
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Unknown (ヌマンタ)
2016-12-26 10:13:39
kinkachoさん、おはよございます。確かに、エピソード4へと見事につながりました。象絶なエンディングでしたが、これはこれで見事です。年末はこれといった映画がないので、突出して目立ちますね、これ。
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Unknown (ごみつ)
2016-12-26 19:33:19
こんばんは!

私も見てきました!
思ってた以上に物凄く良くてびっくりしました。私、「フォースの覚醒」よりこっちの方が好きかも。
特にラストの戦闘シーンは、口あんぐりっていうくらい見事でした。

また気持ちを落ち着かせてから記事にしてみます。久しぶりでパンフも買ったのでじっくり読んでみようと思ってます。( ^^) _旦~~
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Unknown (ヌマンタ)
2016-12-28 13:11:02
ごみつさん、こんにちは。私も意外というか、想定外の喜びでした。てっきり「フォースの覚醒」と同様な作品だと思い込んでいたので、望外の嬉しさでした。
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Unknown (セレンディピティ)
2017-01-12 09:20:58
おはようございます。
スターウォーズにはあまり思い入れがないので、見ようかどうしようか迷ってましたが...
私も思いのほか、楽しめました。
このあともう一度エピソード4を見て、感慨もひとしおでした。^^

もったいないほどの潔さでしたが、それがかえって余韻を高めてくれたように思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-12 12:53:44
セレンディビティさん、こんにちは。本作品に登場したキャラクターたちは、他の作品にも出演させたいほど、好印象を残しました。しかし、潔いほどに見事なエンディングでその可能性を消してしまったことが、殊更本作の価値を高めたと思います。
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Unknown (青蛙堂)
2017-05-11 02:46:43
知人の子供にプレゼントに持ってゆき、一緒に視聴をしました。
複雑な気分ですねぇ…いや、ヌマンタさんの記事を観なければプレゼントに入れなかった。怪獣映画を数本まとめて渡すのに、キングコングが発売されてないから入れたようなもので。

私は最初のスターウォーズと以後の三本目までしか観たことがない。で、あれはスペースオペラでした。しかしこれは…
間違いなく傑作と思います。思いますが、そもそも子供や少年に夢を与える宇宙冒険活劇が、かなりリアルな戦争映画になっていた。
ヒロインの父への射殺命令、設計図の送信の為に無数の兵士が死ぬなど、実に戦争を遂行するに当たっての非情さが出てました。
辛口が好きですから満足てす。
ただ小学生に見せるにはなぁ…。
子供の玩具を大人が取り上げてしまったような後味の悪さが、シンゴジラの時と同様に感じました。

ところで不思議なのです。
これ最初のスターウォーズの前日談ですよね?
エヒソード0な訳だ。
ところがエヒソード4の前日談という。
私は1~3までしか観ていないので、4のプレストーリーならば、記憶に繋がる訳がないのですが。不思議であります。
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Unknown (青蛙堂)
2017-05-11 02:51:24
連投失礼します。
不思議ついでに。そもそもエヒソード3で、タースベーダーは死んでませんでしたっけ?
4のプレストーリーならば、死んでる彼がなんで出てくるのだろう?
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Unknown (ヌマンタ)
2017-05-11 13:08:07
青蛙堂さん、こんにちは。ルークが主人公のスターウォーズはエピソード4,5,6です。その父のアナキンが主人公なのが4以降ですが、製作されたのは、売れ線の4が最初でした。つまり時代が前後しているのです。だから、「ローグワン」はエピソード4のプレストーリーで正しいのですよ。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-05-11 14:22:41
>その父のアナキンが主人公なのが4以降ですが

訂正、1,2,3及び7でした。ちなみに「ローグワン」はスピンアウトした作品との位置づけです。
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