ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

西日本の大雨に思うこと

2018-07-27 11:52:00 | 社会・政治・一般
梅雨といえば、シトシト雨であったのは昔話となってしまった。

近年の梅雨の雨は、シトシトどころか、ジャバジャバと降ることが珍しくない。それどころか轟々と降り注ぐ豪雨になってしまったのが、7月初旬に西日本を襲った未曾有の大雨であった。

台風直撃なら、まだ分る。しかし、当日の天気は、前線があるばかりで、あれほど凄まじい豪雨になるとは思わなかった。その後、詳細に調べたら、北と南に大変に強い高気圧があり、その狭間にあった低気圧が挟まれたが故により強い低気圧となった。

雨を含む雲は、気圧の高いところから低いところへと降りてくる。水分をたっぷりと含んだ雲は、西日本上空で次々と降りてきて大雨を降らせた。しかも、北にこれまた強い高気圧が居座っていたため、雲は通常よりも長くその場に止まり、結果的に山を崩し、堤防を決壊させるほどの大雨を降らせたようだ。

TVなどでも、ご高齢の方々がこんな大雨、記憶にないと応えるほどの大雨。まさに未曾有の大災害となったのも頷ける。

科学的な根拠のない風説は避けるべきだが、これは温暖化の影響ではないだろうか。

元来、日本列島は北極海から流れてくる寒流と、赤道上から流れてくる暖流の交差する位置にあるため、昔から降水量が異常に多い。中緯度地方にある地域としては、桁外れに降雪量、降雨量が多い。

それゆえに風雨に伴う災害が多い反面、その豊かな水資源で、耕地面積が少ないにも関わらず、農作物の豊富である。また寒流と暖流の交差する海域が、近海にあるがゆえに、豊富な漁獲量を誇る。

だからこそ、日本人は古来より天候など気象情報には敏感で、豊富な水を資源として活かすことと、その水による災害を避ける知恵を学ばざるを得なかった。

しかしながら、最近は古来より積み重ねられてきた知恵を遥かに凌駕するような、異常な大雨が珍しくなくなった。梅雨の雨は、どちらかといえば、亜熱帯地方のスコールに近くなっている。

もはや過去の経験からくる対策では不十分であることが、200名を超す死者により証明されてしまった。

化石燃料の燃焼により生じた二酸化炭素が大気中に増えたことによる温室効果が、地球を暖めており、それが降雨量の異常な増加により実証されている。未だこの温室効果ガスを減少させる有効な手段がない以上、今後もこのような過去に類例のない大雨が降ることは、ほぼ確実と思われる。

東日本大震災以降、日本は原子力発電を止めている為、火力発電に過剰に頼っている。つまり温室効果ガスを大量に発生しつづけている。

日本では反・原発はある種の信念的なものとなっているが、冷静によく考えてもらいたい。放射能の危険性を無視しろとは言わない。でも、現実には放射能で死ぬ人間よりも、温暖化による大雨で死んでしまう人のほうが多いのが実情ではないか。

なにも新しい原発を作れとは言わない。せめて一時的に原発を復活させて、その間に温室効果ガスの排出がより少ない火力発電所の建設ぐらい検討すべきではないだろうか。

前から書いているが、放射能廃棄物を安全に処理する技術がない以上、原子力発電は未完成の技術である。これ以上、同じものを作るべきとは思わない。しかし、古い火力発電所をフル稼働させている今の現状が良いことだとは、到底思えない。

温暖化は今後も続く。つまり今回のような大雨と災害は、世界各地で増えていくことは必然の結果となる。大雨で亡くなった人を悼むだけでなく、ろくにメンテナンスも出来ず、古い火力発電をフル稼働している日本の現状を考え直す契機として欲しいものです。
コメント (2)
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