今から20年くらい前だが、週刊ヤング・ジャンプ誌で人気を博したギャグ漫画に「ナマケモノが見てた」があった。リアルな動物に擬した主人公(コアラ)たちの通う学校でのドタバタ漫画であり、けっこう人気があった。
しかし、この漫画を終えた後、作者である村上たかしはスランプに陥った。いくつか作品を描いたが、どれも「ナマケモノ・・・」に遠く及ばなかった。格別絵が上手いわけでもなく、ストーリー作りに目新しさがあるわけでもないため、私は一発屋で終わるのかと思っていた。
その村上たかしが苦難のすえに書き出した漫画が表題の作品だ。
不慮の事故で両親を亡くした女の子を引き取った祖父は、おじいちゃんでありながらパパ役を務める。だから「ぱじ」と女の子は呼ぶ。女の子に寂しい思いをさせないため、「ぱじ」は陰に日向に奮闘する。そんな四コマ漫画だった。
ギャグ漫画で一世を風靡した村上たかしの新境地であったが、私はその舞台設定があまりに出来すぎで、ほとんど読む気をなくした漫画でもあった。無理やり泣かされるかのような展開が予想出来たため、連載が終わるまで読まなかった。
連載終了後、単行本化されて、ようやく読む気になった。結論から言うと、無理に感動を引き出すような不自然なことはせず、抑えの利いたストーリーに感心した。
死ぬ直前まで、幼い我が娘を心配した母親のエピソードには、ほろりとさせられるが、なにより最後まで「ぱじ」の死の場面を描かなかったことに感動した。
「ぱじ」は自分が、女の子が大人になるまで生きてはいないことを自覚していた。だから女の子に長寿のカメを残した。「ぱじ」と女の子を優しく見守ってきた近所の人たちに祝福されながら、大きくなった女の子は結婚式を迎える。
女の子は、結婚式でのヴァージンロードにカメを連れて歩く。「ぱじ」の思い出を胸に、ゆっくりゆっくり歩く。「ぱじ」がカメに託した願いを、見守るみんなが知っていた。
暖かい家庭を築いた女の子は、やがて老いを迎える。孫達に囲まれながら、せがまれて老女は「ぱじ」の話を聞かせる。暖かい陽だまりのような「ぱじ」の思い出話を。
多分、古本屋でしか売ってないと思いますが、機会がありましたら是非どうぞ。
しかし、この漫画を終えた後、作者である村上たかしはスランプに陥った。いくつか作品を描いたが、どれも「ナマケモノ・・・」に遠く及ばなかった。格別絵が上手いわけでもなく、ストーリー作りに目新しさがあるわけでもないため、私は一発屋で終わるのかと思っていた。
その村上たかしが苦難のすえに書き出した漫画が表題の作品だ。
不慮の事故で両親を亡くした女の子を引き取った祖父は、おじいちゃんでありながらパパ役を務める。だから「ぱじ」と女の子は呼ぶ。女の子に寂しい思いをさせないため、「ぱじ」は陰に日向に奮闘する。そんな四コマ漫画だった。
ギャグ漫画で一世を風靡した村上たかしの新境地であったが、私はその舞台設定があまりに出来すぎで、ほとんど読む気をなくした漫画でもあった。無理やり泣かされるかのような展開が予想出来たため、連載が終わるまで読まなかった。
連載終了後、単行本化されて、ようやく読む気になった。結論から言うと、無理に感動を引き出すような不自然なことはせず、抑えの利いたストーリーに感心した。
死ぬ直前まで、幼い我が娘を心配した母親のエピソードには、ほろりとさせられるが、なにより最後まで「ぱじ」の死の場面を描かなかったことに感動した。
「ぱじ」は自分が、女の子が大人になるまで生きてはいないことを自覚していた。だから女の子に長寿のカメを残した。「ぱじ」と女の子を優しく見守ってきた近所の人たちに祝福されながら、大きくなった女の子は結婚式を迎える。
女の子は、結婚式でのヴァージンロードにカメを連れて歩く。「ぱじ」の思い出を胸に、ゆっくりゆっくり歩く。「ぱじ」がカメに託した願いを、見守るみんなが知っていた。
暖かい家庭を築いた女の子は、やがて老いを迎える。孫達に囲まれながら、せがまれて老女は「ぱじ」の話を聞かせる。暖かい陽だまりのような「ぱじ」の思い出話を。
多分、古本屋でしか売ってないと思いますが、機会がありましたら是非どうぞ。