ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「成りあがり」 矢沢永吉

2007-06-23 12:53:27 | 
多分、70年代から80年代にかけて、不良少年たちのバイブル(聖典)だったのではないかい。

実のところ、私は和製ロックという奴が、あまり好きではなかった。なんか消化不良というか、猿真似という印象があり、まだ日本独特の叙情漂うフォーク・ソングのほうが印象が良かった。ちなみに欧米のロック・ミュージックは大好きだったから、船舶崇拝との非難は甘んじて受けたい。だからキャロルというロックバンドがあるのは知っていたが、積極的に聴こうと思ったことはない。ただし、曲自体はけっこう知っていた。

当時、日曜日の原宿の歩行者天国で踊る「竹の子族」なるものが流行っていたが、上の妹のアホたれがこれにハマッていた。あれは田舎者が上京してやるものだと思っていたが、妹は楽しいよ~♪と意に介せず楽しんでいた。そのうちロックを好きになったようで、服装も一変してローラー族になっていた。家で聴く音楽もロカビリーやら、和製ロックになっていた。

狭い家ゆえに、妹がノリノリで聴くキャロルの歌は、否が応でも耳に入った。どこがイイのだ?

そう思っていたが、キャロルは解散。その後、雑誌GOROを中心にやたらと矢沢永吉の記事があがるようになった。ソロとして再デビューしたようで、記事を読むとやたら面白い。インタビューの聞き手は、コピーライターの糸井重里だ。このインタビューを糸井がまとめたのが表題の本だ。

買っちゃいまいしたよ、すぐに。この本に書かれた永ちゃんのセリフは、長く矢沢語録として語り継がれたと思う。ただし、不良のお兄ちゃんたち限定。日頃、本など読まないヤンキーのお兄ちゃんが、金出して買った本のランク一位じゃないかい。多分、日活のヤクザ映画を観た後で、肩をいからせて映画館を出てくるおっちゃんたちと同じだとも思う。

それにしても、凄いインタビューだ。矢沢永吉の半生を語った自伝であると同時に、自慢話でもある。ところが嫌味はなく、その率直な熱い想いが、伝染するかのように圧唐ウれてしまう。この本を読んで、「よっしゃ、俺だって!」と熱い想いをたぎらせた若者は少なくないと思うゾ。

著名人のインタビューをまとめた本は、多くの場合ファン限定か、広告方針先行であるせいか、つまらないものが多く、とても再読する気にはなれない。しかし、この本は悪くない。若い頃の熱い野心とか、鬱屈した野望なんかを思い起こさせる。醒めてしまった40代の私すら、ちょっぴり熱くなりました。
コメント (6)
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