読書な日々

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『ジークフリート』

2019年03月04日 | 舞台芸術
ワグナー『ジークフリート』(「ニーベルングの指輪」第2日、びわ湖ホール)

びわ湖ホールにワグナーの「ニーベルングの指輪」第2日『ジークフリート』を見に行った。今年で3年目になる。演出はミヒャエル・ハンペ、美術・衣装はヘニング・フォン・ギールケ、指揮は沼尻竜典のシリーズである。

神々の長ヴォータンの計略で英雄ジークムントは指輪奪還を計るが、非業の死を迎えた。戦乙女ワルキューレの一人ブリュンヒルデが、ジークムントの形見を宿していた妻ジークリンデを助けて、森の奥深くへ逃れさせた。彼女は森の中で瀕死の状態でいるところを、鍛冶屋の小人ミーメ(アルベリヒの弟)に助けられる。ジークリンデは男子を生んで息を引き取った。

ミーメがその赤子ジークフリートを立派な若者に育てた。ここからが今回の『ジークフリート』の内容になる。ジークフリートは父親の形見である宝剣を自ら鋳溶かして鍛え直す。それをもって、黄金の指輪と隠れ頭巾を守っている大蛇ファフナーのもとに行き、大蛇の胸に宝剣を突き刺して殺し、指輪と隠れ頭巾を取り上げる。そこに住む小鳥の教えと道案内によって、燃える岩山の頂上に眠るブリュンヒルデを眠りから目覚めさせ、妻とする。

ジークフリートは一癖も二癖もあるというような人物ではなく、まさにこの作品の大前提である「怖れを知らない」若者であり、英雄である。そんな人物が面白かろうはずがなく、最初から最後まで出ずっぱりでたいへんな役ではあるが、面白みのない登場人物である。

他方、鍛冶屋の小人ミーメと大蛇を見張っているアルベリヒはどちらもなんとかして指輪を奪回して、世界制覇を目指している、見るからに強悪そうな人物であり、時にはへつらい、時には威張り散らすという、人間の本性を体現したような役どころである。それをミーメ役の高橋淳とアルベリヒ役の大山大輔がじつに見事に演じていた。とくにアルベリヒ役の大山大輔は、序夜『ラインの黄金』でせっかくライン川から黄金を奪って魔の指輪を作ったのに、ヴォータンに奪われてしまった悔しさもあり、二度とヴォータンにはだまされないぞという悔しさ、憎しみ、いろんな情念が混ざりあった人物を素晴らしく演じていた。

幕の間に30分の休憩があって、終演まで5時間10分という長丁場が今年は体にこたえて、とにかく疲れた。とくに第三幕でジークフリートがブリュンヒルデを眠りから目覚めさせて以降のやりとりが退屈で退屈で仕方ない。延々と30分も何をやっているのかねー、早く終わらないかなと思いながら見ていた。最後には見ているのがしんどくなってきたほど。すっ飛ばしてほしい。

終演後、カミさんと二人疲れ果てて、近くのロイホに夕食にでかけた。来年は最後の『神々の黄昏』なんだが、どうしようかな~。ここまできたら最後まで見ないと悔しいしなー。

昨年の『ワルキューレ』の感想は、こちら

一昨年の『ラインの黄金』の感想は、こちら



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