読書な日々

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フランスの農業

2009年06月23日 | 人文科学系
フランスの農業

日本の農業は耕作面積、農業人口、生活レベル、どんな面をとっても壊滅的な状態にある。歴代の自民党政権がアメリカの農業開放要求に屈して、農産物の自由化をおし進めてきた結果、大量の安い中国・米国の農産物によって日本の食卓は席巻されてしまったからだ。自給率30%なんて、中国やアメリカに喉元を締められているのと同じではないか。

他方、フランスも農業人口は減少して、労働人口に占める農業人口の割合は1960年の22%から2000年の3%と激減している。しかし一戸当たりの平均農地面積は1960年の17hから42hに増えているし、その多くは100h以上の企業経営のような農家の割合が増えている。その結果、フランスではほとんどの農産物が自給率100%を超えており、EU諸国の食料庫といっていいほどなのだ。とくにEUの全産出量のうちフランスが占める率は、小麦で36%、とうもろこしで40%、牛肉で22%、ワインで33%である。

まぁ、フランスの地図を見てもらえば分かるけれども、アルプス山脈とピレネー山脈というスイスとスペインとの国境線あたり以外には農耕ができないような土地はない。つまり国土のほとんどが農地に適している。だから100h以上の企業経営のようなことが可能なので、一律に日本と比較はできないが、それにしても農業を保護しようという政府の立場があればこそこれほどの農産物自給率になっていることは明らかだろう。

貿易摩擦を起こしている自動車や電化製品のために農業を切り捨てる日本の歴代政府とはまったく政策が違う結果が、この数字である。

パリから電車で30分もいくと、えんえんと小麦畑やワイン畑が広がっているのを見れば、フランスが農業国であるということはすぐ分かるが、やはり地方地方で特産の食べ物などもあって、旅行をするときはそれはそれで楽しい。

北だと生牡蠣にレモン汁をかけて食べるのがおいしい。ノルマンディーあたりだとリンゴの産地なので、リンゴから作ったシードルという酒や、これを蒸留して作ったカルバドスなんて酒も、日本では余り知られていない。

シャンパーニュ地方はいわずとしれたシャンパンだが、ランスあたりではシャンパンの会社の地下がカーヴになっていて、ツアーできるし、もちろん試飲もできる。東フランスはドイツに近いこともあり、シュークルートという塩漬けキャベツや、ベーコンをのせたキシュ・ロレーヌというタルトなんかも美味しい。私はブダンというソーセージだけはどうしてもなじめないが。

ワインで有名なブルゴーニュでは赤ワインで牛肉を煮込んだブール・ブルギニョンという料理がある。リヨンは美食の町として有名で、旧市街にあるレストラン街なら、どこでも美味しい料理が楽しめるから便利だ。

南フランスではなんといってもブイヤベースだろう。なんでも最低でも4種類の魚を丸ごと煮るとか。私はまだプロヴァンスでブイヤベースを食べたことはないので、一度味わってみたい。知り合いがカトーズ・ジュイエにブイヤベースを食べに、パリからわざわざマルセイユまでTGVで出かけて、入ったレストランでぼったくられたという話を聞いたことがあるので、まぁ評判のいいところに入るほうが賢明かも。

西のほうではボルドーのワイン。カベルネ・ソーヴィニョンという葡萄の種類を使っているので、滓が多く、それをグラスに流れ出さないようにするために、いかり型のボトルになっているのがボルドー・ワインの特徴らしい。このあたりはフォワグラとかトリュフという珍味の産地でもある。フォワグラは、味付けをしてパテのようにしたものをトーストに塗ってワインといただくだけでもけっこういける。

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