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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその3「NO CONTROL」

2011-09-25 18:08:01 | 音楽(全曲レビュー)






MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその3「NO CONTROL」です。





3.NO CONTROL




【知らずに離れてく世の中と 誰にも言えないまま】

歌詞の内容的には非常に際どい歌です。
いいように親におもちゃにされる娘のお話。
昨今のご時世を反映しているかのよう・・・とはいいつつ
そこまで私も詳しい訳ではないですけど。だからこそ、こんな現実の歌が
一つの救いになることもあるんじゃないですかねえ。
こういう状況じゃなくても
誰にも知られない想いだとか
気が付けば世の中の流れから隔離されてた自分だとか
そんな心境のまま生きている現実だとか。
抱えてる苦しさとは裏腹に
世の中を見渡すと、みんなが自由に生きているように見える
それは大きな勘違いだって事を知ってても
辛さが先に来てしまう。
それもまた人間らしいと言えば人間らしい。そんな心情を吐き出すような歌です。

アレンジがほぼパンクに近いんですけど
これが実に本格的で
ダークな雰囲気とも合さって正しく新境地と呼べる楽曲の出来になっています。
安易に救いを与えない世界観だからこそ
じっくりと浸れて
ちょっとした反面教師にも出来る。救いのない表現が逆に救いを与える事だってあるのです。
誰もが前向きに生きれる訳じゃないけど
誰もがその想いを吐き出すことは出来る。
それに触れて、少しでも心にある刺が柔らかくなればいい
想いの共有で少しでも痛みが引けばいい。
ヘビーな曲調に
ヘビーな詞ですけど、
その分残るものも大きい曲ですね。アレンジが派手な分、歌詞とのギャップも大きく
そんな気持ちの良い違和感に関しても上手く使えてるなって印象があります。





タイトルは色々な意味に捉える事が出来ますけど、
個人的には
抑制の効かない気持ちだとか
制御できない苦しみや悲しみだとか。そういう意味合いに捉えてたりしますね。




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその2「DANCING BABE」

2011-09-22 13:28:12 | 音楽(全曲レビュー)






どんどん行きますよー、って事でMONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその2は「DANCING BABE」です。


元々、ツアーが始まる前に終わらす予定だったんですけど
始めたのが先日、っていう。
いやもうね、どんだけ時期外してんだよ、って感じなんですけど
丁度桃野くんのソロツアーも始まるようだし有る意味では丁度いいんじゃないでしょうか。
まあ、それはともかく、





2.DANCING BABE




シングルにもなった曲。
この曲は、一つのプレイボーイ的な名曲です。
昔から日本には気になるあの娘とヘヘイヘイみたいな、
軽いノリのロックンロールがあったと思うんですけど、それを南国風のアレンジと
特徴的なリズムで正に和洋折衷というか、ノリの良さってポイントを中途半端ではなく
洗練された形で押し出したような真剣なアプローチ・ソング。
恋をした時のウキウキ感と
軽すぎないノリの良さが相俟って相応に踊れるし、嬉しい気分にもなる
ある種決定打とも呼べる楽曲になってます。
繊細なアレンジよりも
肉体的な、身体がすぐに反応できるアレンジを求めたっていうか
その狙い通りに体も動くし
気分も良くなるし
いう事ないな、っていうくらい無条件でノレる曲。・・・ですが、


【本当の私が消えてます】

こんな歌詞を紛れ込ますのが桃野流、ですか(笑)。
要は目の前の誘惑に溺れて
軽く入り口をくぐった恋の果てに見たのがこれ、っていう
ある種の反面教師的な楽曲にもなってるんですね。
刹那的だし
破滅的だし
自虐的だし、でも行くとこまでいってしまって戻れなくなって・・・、それでも先へって
単純に頭を空っぽにして聴くには重い部分も見受けられますけど
それが彼の流儀っていうか
ただ単に明るいだけの曲は作れない性格なんでしょうね。
んで私もその方向性には賛成って言うか、現実の中で最大限に踊ってる感じがしてとても好きですね。
自分が消えても壊れても、それでも手にしたい物って何?っていうか。
そう考えると深みも同時に感じられる曲になっていると思います。
大好きな曲です。





見た目は軽く、切り口は濃く・・・そんな桃野流の美学が垣間見れるような、侮れない一曲。



MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその1「淫ピーDANCE」

2011-09-17 22:51:41 | 音楽(全曲レビュー)





ずっとやろうやろうと思ってたのですが、タイミングがえらくズレました。
MONOBRIGHTの「ACME」の全曲レビューをやりたいと思います。
まずは一曲目からです。
興味がある方は是非お付き合い下さい。カテゴリーはNICO「PASSENGER」と同じく全曲レビューのカテで。





1.淫ピーDANCE



一曲目から酷いタイトル(笑)。
でもこれ意外・・・と言っちゃなんですが非常に爽やかなインストで
相応に聴きやすいんですよね。
スーッと耳に入ってくる感じ。と、思いきや何気に盛り上がりの箇所も用意されていて
2分半チョイの曲の中で
様々な表情を見せてくれるので割と飽きずに何度も聴けます。
南国風味のアレンジと端正に弾かれるギターの音色が非常に心地の良い曲。
アルバムの入り口としては申し分のない一曲ですね。
ライブではSEとして使用されてました。


そんなライブでは何気に各メンバーがSEを作ってきて
それをMC中に流したりもしてたんですが
誰の曲もそれなりに特徴あったりして
こりゃ本当に全員作曲バンドになるかもな~とか
それじゃなくても他メンの作曲でリリース来るかもな、とか
この曲を聴いてると
そういうこれからの展望も想像なんかしたりもして。
最早何でもアリになってくるのかも、ですね。
そんな風な事を
この曲の解放感を受けて思ったりもする、そんな曲です。




では、引き続きよろしくお願いします。




NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその11 「Passenger」

2011-07-31 20:24:38 | 音楽(全曲レビュー)






NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビュー、その11。最終回「Passenger」です。

紆余曲折あった後の、決意表明のような。そんな曲です。





11.Passenger




【明日僕が消えたとして 
 君は泣くだろうか? 僕を想うだろうか?】

自分がどう想われてるかなんて
自分では知りえない事柄の一つですけど
例えば自分がふと消えたときに
その人が見せる表情だったり、反応だったりが一つの解答な気はします。
その時に平気な反応だったら寂しいし
かといって動揺しまくってても慌てるし、
でも本音は誰もが寂しがって欲しいんだと思うし。

人生は積み重ね、っていうのは個人的によく聞く言葉なんですけど
些細な事でもなんでもいいから
少しずつ少しずつ前に先に進んで行く、誰かに何かを残していく
それで最後に残ったものが、今まで自分がやってきた総て、というか価値って云えるものなんじゃないかと。
その為に壁だったり坂があるんだとすれば
それも一つの糧として
自分の中で受け入れられるかもしれない、消化できるかもしれない。
よく先も見えないし、後にも戻れないって云うけれど
その実種だけは蒔けてるのかもしれない。
だとしたら
ここからもう少し頑張ってみるのも一つの選択としては十分ありなんじゃないか、って。
そういう意志が込められているような、そんな歌にも感じます。


【ありがとうも ごめんねも 呆れるほど歌にするよ】

で、個人的なハイライトはここなんですけど。
こういう言葉を歌えるようになった、っていうのは強いですよね。
これから先を感じさせると同時に
絶対に辞めない、って意志も感じさせてくれて
更に面白いと思うのは楽曲の中で迷いや不満もきっちり言葉にしてて
でも、それでも手探りで進むのは悪い事じゃない
形のない表現って媒体は不安も尽きないけれど
それでも一人にでも届けば
誰か一人にでもこの声が届けば。それだけでもやった甲斐があるように思える。
それを一人でも多くの人に伝わるように、歩む事だけは止めない、と。
旅路の果てに見る景色が美しいものでありますように。

最後の最後に、真正面からのブルースを叩きつけて
このアルバムは万感の想いで閉じられます。
結構今までのアルバムと比べても自由度の高い作品ですが、締めはきちんと締まってて
この辺は中堅としての貫禄が出てきた、っていえるんじゃないでしょうか。
少なくとも自分は一番好きな締めだったりします。

という訳で、この全曲レビューシリーズもこれにて終了。一度でも読んで下さった方、どうもありがとうございました。




今までは聴かせるポイントを考えて
ミニでもフルでも作って来た印象だったんですが
このアルバムは結構四方八方に印象が散らばってるアルバムって感じで
それでも全体的なまとまりや流れは押さえられてて、
バンドとしての確かな成長、
手ごたえを大いに感じることの出来るアルバムでした。こういうのを正しく「飛躍」っていうんでしょうね。
ちゃんと楽曲をコントロール出来てる感じ。しっかりと手綱を握れている感じ。
8月には早くもライブでも聴いた新曲が発売。下半期のライブにも期待ですね。



NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその10 「サドンデスゲーム」

2011-07-29 22:10:37 | 音楽(全曲レビュー)






NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビュー、その10は「サドンデスゲーム」です。

この曲は去年のシングル時に一回レビューしたのですが
1年経って印象も変わってるので改めて。
これを含めて残り2回。最終回まで頑張ります。





10.サドンデスゲーム




【突然終わりの通告で 鳴り止まない深夜の非常ベル】

なんでもそうなんですけど
終わりって言うのはあらかじめ決まった中で訪れる訳じゃなくて
ある日突然何の前触れもなく起こってしまうもので
例え自分がそれを意識してなかったとしても
水面下では色々な情報が動いていて
気付いた時には終わりの合図はとっくに鳴っていて、その時点では為す術がない訳ですよね。
それに対して何一つの対策も出来なかったし
何一つのリアクションも起こせなかった。
のはきっと
いつ何が突然終わっても不思議じゃないってのを意識できなかった所為であって
本来ならばもっと頑張れたはずとか
何とか出来た筈、とか
残るのはやっぱり後悔だらけで、でもそれもある意味では仕方のない話なんですけど。

【後悔はもう 流行ってないぜ】

そんなこんなを繰り返していく内にですね
気付けば後悔だらけだった事に気づきます。
人生後悔だらけ
後悔のバーゲンセール
空っぽの自分に残ったのは後悔だけ。そればっか繰り返して生きている
自分の中で「後悔」ってジャンルが非常に流行っていると。
で、それを廃らせる必要があるっていうか
達成感とか
到達感
充実感で、それを消さなければ、自らを満たす必要がある訳で
そのせめぎ会いこそが人生っていうか
それこそStereo Fabrication of Youthの歌詞にもありましたけど「終わらないゲーム」だと。
どっちか片方が勝つまで決して終わる事のないゲーム。
後悔が勝つか
満足が勝つか。
どっちを勝たせたい?
どっちを負けさせたい?
それを決めるのは、実行するのは、他でもない自分自身で。


【死んでもまた 再起動です】

しかも、そのゲームは降りる事を許されない。
途中で止めるって選択が出来ない。
コンピューターゲームが例えGAME OVERになっても何度もコンティニュー出来てしまう様に
人生も何度負けても強制的にコンティニュー、再起動を余儀なくされる。
勝つか負けるか
引き分けは許されていない。
だからこそ、また同じ種類の扉を開いて
コンディションも精神力も整えて
後悔以外の何かを手にするまで
想像力も行動力も実行力も何もかも養って、悪夢のようなサドンデスゲームに勝てるように。
後悔ばっかが残らないように。
相手を喜ばせないように。
何度も再起動できるって事実に、逆に救われる事だってある。そんな揺ぎない事実を抱えて今日もまた―。





楽曲自体はシンプルでキレのあるNICO流ロックンロール
丁度「泥んこドビー」とかその辺に近い印象。
和製ロックを感じさせつつ、サビ直前ではオールディーズの匂いも感じさせるフレーズが出てきたり
そんな微調整もまた上手いって思える曲ですね。では次回最終回で。