MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその8「夜明けのバル」です。
8.夜明けのバル
【まるで夢の様 何も無かったかの様な】
人生そこそこの年月生きてると
「あれっ これで終わり?」みたいな出来事もいくつかある訳で・・・
あんなに頑張って
あんなに思いを重ねたのに
終わる時だけは一瞬なんですね、っていう。そんなんはザラだと思うんですけど。
それが厄介な事に一瞬なのにも関わらず
それを引きずる期間は一瞬では到底済まされない、って事実。それもそれでまた難儀な話なんですがね。
そういう感情をめちゃめちゃ情感込めて
聴き手が感情移入出来るくらいに深く虚ろに歌ってるのがこの曲です。
お陰で
聴いてる間色々な経験を思い出して・・・
っていうか無理矢理引きずり出される感覚なんですけど(笑)。
でもまあ
そういう経験は簡単に忘れてもいけないよな、とも思うので。良い意味での防備録ソングっていうか。
悲しみが消えないなら
いっそ深く焼き付けてしまえばいい、っていう。
そんな感傷に浸ってる時だけは、ある程度は救われると思うから。
不思議なものでさっきまでそこにいた、と思ったら
いつのまに離れてたり
自分だけ別の場所にいってたり、
あれは夢か何かだったのかな?俺のせいなの?とか
考え出したらキリがないけれど、
【眠ったまま生きている】
結局の所は納得も理解も出来てない訳ですから
後悔も当然ある訳ですから
そんな思いを引っさげたまま、大事な部品を失くした感覚で生き続けてしまう。
人生って言うのは
ある種そんな部品を集めては埋めて、失くしては探して、って
そんな事の繰り返しだと思うんですけど。
それに対して、いやまだまだ頑張ろう、とか前向きな気持ちでって気分を保つのもいいけれど
たまにはそんな虚しさの中に自分を思いっきり落とし込む時間があってもいいじゃないか、って。
誰にも話す事や
本音が言えないのなら
表現の中で自分の本心と会話するのも一つの手ですよね。そこからまた考えて歩ければいいって話です。
たまには膿みを出せ、と。そんな効力は相当にある曲じゃないでしょうか。大好きな曲ですね。
前のアルバムから
桃野くんはこういった憂鬱な感情だったり
虚ろな思いを吐き出すのが上手くなったんだな、って分かりやすく感じます。
そういう変化は個人的に好きな変化の一つなので
大きな収穫でもありましたね。
こういう系統の曲は。