goo blog サービス終了のお知らせ 

超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその8「夜明けのバル」

2011-10-24 07:00:03 | 音楽(全曲レビュー)





MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその8「夜明けのバル」です。






8.夜明けのバル





【まるで夢の様 何も無かったかの様な】

人生そこそこの年月生きてると
「あれっ これで終わり?」みたいな出来事もいくつかある訳で・・・
あんなに頑張って
あんなに思いを重ねたのに
終わる時だけは一瞬なんですね、っていう。そんなんはザラだと思うんですけど。
それが厄介な事に一瞬なのにも関わらず
それを引きずる期間は一瞬では到底済まされない、って事実。それもそれでまた難儀な話なんですがね。

そういう感情をめちゃめちゃ情感込めて
聴き手が感情移入出来るくらいに深く虚ろに歌ってるのがこの曲です。
お陰で
聴いてる間色々な経験を思い出して・・・
っていうか無理矢理引きずり出される感覚なんですけど(笑)。
でもまあ
そういう経験は簡単に忘れてもいけないよな、とも思うので。良い意味での防備録ソングっていうか。
悲しみが消えないなら
いっそ深く焼き付けてしまえばいい、っていう。
そんな感傷に浸ってる時だけは、ある程度は救われると思うから。


不思議なものでさっきまでそこにいた、と思ったら
いつのまに離れてたり
自分だけ別の場所にいってたり、
あれは夢か何かだったのかな?俺のせいなの?とか
考え出したらキリがないけれど、

【眠ったまま生きている】

結局の所は納得も理解も出来てない訳ですから
後悔も当然ある訳ですから
そんな思いを引っさげたまま、大事な部品を失くした感覚で生き続けてしまう。
人生って言うのは
ある種そんな部品を集めては埋めて、失くしては探して、って
そんな事の繰り返しだと思うんですけど。
それに対して、いやまだまだ頑張ろう、とか前向きな気持ちでって気分を保つのもいいけれど
たまにはそんな虚しさの中に自分を思いっきり落とし込む時間があってもいいじゃないか、って。
誰にも話す事や
本音が言えないのなら
表現の中で自分の本心と会話するのも一つの手ですよね。そこからまた考えて歩ければいいって話です。
たまには膿みを出せ、と。そんな効力は相当にある曲じゃないでしょうか。大好きな曲ですね。





前のアルバムから
桃野くんはこういった憂鬱な感情だったり
虚ろな思いを吐き出すのが上手くなったんだな、って分かりやすく感じます。
そういう変化は個人的に好きな変化の一つなので
大きな収穫でもありましたね。
こういう系統の曲は。




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその7「Pet」

2011-10-17 02:11:54 | 音楽(全曲レビュー)






【互いの答えを知った所ですべてを許したい】




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその7は「Pet」です。




この曲は、正直聴く前は割とインタールード的な楽曲なのかな?って期待はしてなかったんです。
というか
桃野くんは何気に変態ですから、シモの歌なんじゃないか?ってちょっと疑ってしまったんですけど(笑)。
したらば、思った以上にシリアスな歌詞でビックリした、っていう。
歌詞カードのセルフライナーノーツ読むと
本当にペットの歌なんだな、って思うんですけど私の見解は少し違ったんですよね。
それをちょっと記述したいなと思います。この曲は相当良いですよ。



人間の心の中には複数の人がいると思うんです。
もっと言うと
心の形って一つじゃないっていうか、それこそ漫画の中でよく使われる「天使と悪魔」的な、
元々の自分がまず居るとして
それを俯瞰する心がいくつか散らばってると思うんですけど。
こうやって
今は人生のうのうと気楽に生きているけど、それはとっても楽しいし嬉しい事なんだけれども
そこでまた別の心が「それは違うんじゃないか?」って問いかけるんですね。
だから楽しい事をやってても
あなたの過去はこうだったでしょ、とか
置き去りにして来た人も想いもあるでしょ、だとか
本当にやらなきゃいけない事は何?、っていう。
そういった自問自答を繰り返したり、文字通り「一人相撲」、って感じで。

そうやって
心と心がせめぎあって、最終的に出した結論で今が動いて
でもそれって
一旦終わったと同時に、また次の疑問が生まれて宿題は溜まるしまた次も来ちゃうし
そこでいくつか妥協をしたり
問題から思考を停止させて生きている訳ですけど。
でもこの曲を聞くと、そんなに自分を責めないでいいじゃないか、そんな過ちを過ちのまま受け入れようよ、って。
そんな風に思えてくるんですね。
最終的には自分の存在を許す為に向かっているのだから
一つずつ一つずつでいい
全部が全部完璧じゃなくても、人より劣ってたとしても、それはそれでいいんだって。大切なのはそこではないから。
受け入れて進む事が一番重要なのだから。



【淋しくなんかないよ 僕がいるんだよ
 べコベコにへっこんでても 灰になっても】

で、そうやって
自分の中の大元の心がダメージを受けたり迷ったとしても
また別の心が励ましてくれたり
「そうじゃないんだよ」って思いもどこかにあったり・・・。これはRADWIMPSの「有心論」にも通じるかもですが
誰かに支えられて生きているのも確かに事実ですけど
自分が自分を支えて生きているのも、また紛れもない事実なんだって。
この曲を聴いてると
個人的にはそんな事を感じてしまいます。勿論自分と他者との関係にも当てはめる事も可能だし
桃野くんの書いてる通りに人間とペットの歌って受け取るのも当然正しいし。

でも、私個人の聴き方はこんな風なんですよね。
受け取り方は自由だし
制限されるものでもないよな、って事で今は自分なりに納得はしていますが。まあ、参考までに。





サウンドに関しては、打ち込みっぽさを前面に押し出してるけど
サビ部分のひねくれたギターリフもさり気に印象に残る感じで、聴いてて真っ当に気持ちが良いです。
そんな気持ち良い歌詞と気持ち良い音が合さって、好きな人は中毒的にハマるかな?と。




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその6「踊りませんか」

2011-10-13 23:46:38 | 音楽(全曲レビュー)






MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその6「踊りませんか」です。






6.踊りませんか




この曲は相当ささくれだった歌詞なんですけど・・・(笑)。
非常に荒々しいアンサンブル
だけどメロや全員で盛り上がれるようなテンションこそポップなんですけど
本当に自暴自棄っていうか
ストレス発散ナンバーっていいますか、優等生はまず作らないタイプの楽曲で。
わがままだし
自分勝手だし
自意識過剰なんだけど、それって非常に人間っぽいんですよね。大体悟れるはずがないからこそ
必死にあがいている訳で
逆にこの詞の中で歌われてるような事こそある種の本音なのでは?と思います。
桃野の歌詞センスも大分ブラッシュアップされてきたような感覚です。


【お前の武勇は知らない 教えてくれるな】

これとか、
本当に人間として小さい歌詞なんですけど
実際ドラマみたいに立派で頑張ってる人間ばかりかっていったら
絶対に違うと思うんですよ。
むしろその逆だと思う。だからこそ、フィクションに夢を見てそこを一つの捌け口にします。
でも現実はね、そんなドラマみたいに上手くは行かない、立派な人間にもなれない
本音も隠して
楽しくないのに笑ってるけど、本当は悔しい気持ちの方が先に立つと思うんですよね。
そんな人間の惨めな感情を思いっきり拾い上げてくれるのがこの曲です。
一回聴いてテンションが高い曲だな~って思うかもしれない
けど歌詞をよく読んでみると・・・?的な。
そう考えるとこれもある種のフェイクに近い楽曲なのかもしれません。
御機嫌だから踊るのではなく
不機嫌だから踊るんです、っていう。それもまた一つの発想としては、正しい。
それを持ち帰る事が出来れば
拠り所に出来れば。それだけでも意識が少しでも変わるかもしれないし。踊り方もまた自由で。


【人間やめたい それも出来ない】

まあ・・・要するに
出口は入り口
入り口は出口。逃げ道だけは絶対に用意されてないんです。
だからこそ続けるか続けないか
選ぶか選ばないかの間で延々と悩んで繰り返すだけ、なんですけどね。
そんな閉鎖された感情をバーッとある意味鮮やかにも描き出すこの曲は
前述の通り
一つの発散口としては秀逸な楽曲なのでは。そして特にライブ向けの楽曲でもあります。
同時にCMソングにも使えそうだなー、とも思います。




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその5「Timeless Melody」

2011-09-30 22:56:12 | 音楽(全曲レビュー)






MONOBRIGHT「ACME」全曲レビュー、その5「Timeless Melody」です。





5.Timeless Melody




この曲は、めちゃめちゃポップで、そのバランスも良くて
抜けの良いキラーチューンなんですけど
元々ライブで先に聴いてて
「いかにも桃野っぽいメロディだな~王道って感じやな。」って思ってたら
クレジット見たらヒダカトオル作曲だったっていう。
まずこの時点でニヤリ(笑)。
音楽的なツボが似てるっていうのは本当そうなんでしょうね。
何気に桃野くんのこと研究でもしたのかな・・・と思えるくらい彼っぽいメロディに
キラキラで、でも切なさも漂うアレンジ。
その仕上がりは抜群、
踊るのにも最適だし、でも浸るのにも似合ってるし。キュートさもあったりしますね。
何よりこの曲は凄くシングルっぽいですね。
最近のシングル曲よりもシングル曲っぽいので、その意味でもニヤリっていうか
そこはかとないお得感がしていて良いですね。
間奏のギターソロや、オールディーズの匂いも感じさせるアレンジも凝ってるし
けど一聴して気に入れるキャッチーさもあるしで、この中では最もバランスの良い曲なのでは。

歌詞に関しても
さり気に本音が散りばめられています。
誰かに声を掛けたり
親切にするのは、実は自分が寂しいから、心細いから。
それは良い事の様で全然違う、総ては自分の為でしかないんだよっていう
これ以上ないくらい身も蓋もない曲なんですけど
でもそれでいいじゃないか、っていうか
それも仕方ないよな、って。
でも、その根本だけは変わらない、その部分は忘れちゃいけない。
そこを押し売りしてはいけないっていいますか。
そんな寂しくも
温かさも感じられる一曲です。
その描き方がたまらなく人間くさくて感情移入出来る歌。メロは素直でポップなのにね。面白いな。




MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその4「宇宙のロック」

2011-09-26 23:57:11 | 音楽(全曲レビュー)






MONOBRIGHT「ACME」全曲レビューその4は「宇宙のロック」です。去年アナログ限定で出した曲。






4.宇宙のロック





これは非常に盛りあがる
部屋で一人で聴いてても盛り上がる曲なんですけど、
だからといって「盛り上がろうぜ」って曲では全然なくて
日々の鬱屈が降り積もってしまった結果
こうなっちゃったというか
感情が爆発してしまったというか。だからはじめからってよりは結果論的な楽曲だなあって
個人的に聴いてて思います。歌詞を読んでてもそんな感じですもんね。


【世界は汚れてるみたい
 悲しい色はわかるのに】

捻じ曲がってるように見える世の中と
分かりあえない誰かとの想いと
そんなモヤモヤした自分自身と。きっと本当は誰も悪くない、
だけど周りを見渡せば悲しみばかりが転がっている。そんな現実の歌。
だからこそもがいて
苦しんで
掴み取れるように頑張って、時には鬱屈した精神を吐き出して。
その吐き出す行為なんていうのは
コンスタントなレベルで襲ってきたり、気の休まる暇もないんですけど
そんな衝突を繰り返して自らの形が出来上がっていく事も事実であり
そこから逃げても
そこから身を遠ざけても、問題を避ける事は出来ない
出来ない代わりに、一時的な爆発で、感情の放出でそれを発散させようじゃないかと。
それでまた次に向かえるのなら、それも正しい方法の一つの筈だから。





激情タイプの楽曲ですけど
アレンジが派手で空気感も洗練されてたりするので、気持ち良くは聴ける曲だと思います。
この時期にも何気に合うかも。激しくも感傷的な一曲です。