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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその7「Endless roll」

2012-03-09 22:25:26 | 音楽(全曲レビュー)






実に1ヶ月ぶり?ですけど、まだまだ続く「HUMANIA」全曲レビューその7「Endless roll」です。





7.Endless roll




ベースの坂倉心悟が作詞作曲を担当した一曲。多分作詞作曲まで任せるのは初だと思う。
前作で坂倉さんが作曲した「マトリョーシカ」の時も思ったんですけど
彼の曲っていうのは非常に真っ直ぐといいますか
光村龍哉の曲と比べるとひねりがなくストレートな楽曲を書くなあ、というイメージ。
それも、とても等身大な気がするんですよね。青臭い部分含めて曲にしてるなあっていうか
もっと端的に言えばすっごく素直に感じるんです。曲も詞も。光村曲より普遍性が強く感じて。
NICOとして名曲~って感じじゃなくて、それよりももっと大多数の人に受け入れてもらえそうなくらい
開かれていて、スケールも大きくて、じんわりと感動が伝わってくるような。
疾走感を含みつつも地に足の着いたサウンドの奥行きが素敵な一曲で。

これが何を意味するかっていうと
彼の作詞作曲をした楽曲を改めて聴く事で、
改めて光村龍哉がこと作詞作曲に関しては「ひねくれ坊や」って事が分かるっていう(笑)。
正に「極東ID」で本人が歌ってた通りに確かにひねくれてる部分強いな~、って
例えば同系統の「サドンデスゲーム」だったり「衝突」、「Broken Youth」とか取っても明らかに
目に見える形で坂倉さんの曲とは全然違うでしょう。
でも、それが面白いなっていうか
ここまで違いが個人的にですけどはっきり感じれるのって面白いなって。
坂倉曲が加わる事によってよりバンドらしくなってる感覚は間違いなくあると思う。人格が増えた感じ。
ひねりとストレートの対比って面でもこれからのアルバムにも坂倉曲があれば尚嬉しい。
「マトリョーシカ」も大好きな曲だしライブでも盛り上がりますけど
この「Endless roll」は更に洗練されてる気がして、
また一つバンドが面白くなる要素が増えたなー、と私的に嬉しくなった一曲です。
他のファンの方々の反応を読んでた時も評判の高い楽曲でした。




【「うるさい」と叫んだ声が今日も虚しく響いて
 下手すりゃ 居心地がいいだなんて思ってしまう】

要するに、恵まれない環境だったり
何も変わらない毎日
自分でこれじゃダメだって思ってる生活であるにも関わらず、
そんな劣悪だったりジレンマを抱える自分自身に酔ってしまう
恵まれないけど頑張ってる自分云々~だとか言い訳のようなレッテルを貼り付けて
自分に対しても他人に対しても言い逃ればっか、っていう。
それじゃ何も変わらないし
螺旋階段の終わりなんて永遠に来やしない。
そんな傍目から観ると気持ちの悪いぬるま湯に浸かって自己満足してる状況に対して
「そうじゃねえだろ」って温ったかいパンチ(by岩崎慧)を食らわすような、
感じる所の多い反面教師的なワン・フレーズです。
同時に相応の哀愁なんかも感じられて。


【嘆く言葉もかき消され 晴れた空は遠く】

頑張って報われた?と思ったら
一瞬で消え去って
取り返しのつかない事になったりして、そうでなくとも
やればやるほど空回ったりして、結果も満足も得れないまま終わって
気付いたら空虚だけが残ってるなんてザラで。
人間平等な訳なんて絶対ないけれど
かと言って、全てを諦めるような覚悟も度量も持ち合わせてはいない自分がいて。
嘆いても嘆いても、同じ地点からの再スタートばっかりの人生
永遠に続くみたいな螺旋階段の途中で
一人寂しく
心の不安を吐露するようなシリアスな楽曲でもある。んですけど・・・。


【終わりなんてあるはずないな それはきっと僕が決める】

消え去る事や誰かに奪ってもらえる事を望んでしまう時もあるかもしれない
自ら終わりを強く望んでしまう時だって・・・。
でも、そう願えば願うほど本当の終わりなんて訪れなくて、結局螺旋階段があるって事実からは
そんな現実からは絶対に逃れられないし目を背ける事も出来ません。
ならば、、、
それを自ら定めに行こう、自分の意思でその終わりを迎えに行こう、と。
その状況に酔う必要もなく、
また喪失や空虚に対して嘆く時間も捨てて
全てを受け入れて進もう、どこまで進んでどこでピリオドを打つのは自分の自由なんだから
逆に言えば本当に諦めない限りはまだ可能性が残ってるという裏付けでもあって。
決して救われるとか
願えばって言葉は出てこない歌ですけど
散々悩んで、散々考えて、それでも現実を許容して「やれやれ」と言いながら歩いていくような。
正にタイトル通りの永遠に転がっていく様を描いた厳しくも温かい一曲。
螺旋階段を抜ける事が出来るのは、意思のある自分の足だけだから。





「螺旋階段を壊して今」



NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその6「恋をしよう」

2012-02-14 11:42:39 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその6「恋をしよう」です。
まあ、今日の日付を意識した選曲ではありますね(笑)。狙ってこの日にしたっていうか。





6.恋をしよう





この曲は言うなれば「極上のポップス」。丁寧に作られた温かみのあるメロディに
J-POPさながらのベタなアレンジ、ポップシンガーに成り切ったように歌われるボーカルと、
ロックバンドとしてではなくポピュラーミュージックとしての良さが発揮されたこれまた際立った一曲で
このふり幅の広がりもまたNICOらしいなあ、と思えるパートの一つで。
等身大と言えば等身大の歌ですけど
その中にも光村龍哉なりのメッセージも入ってて何気に聴き応えはありますね。
もし自分に恋人が今いたならば、迷わず一緒に聴いてみたい曲の一つであります(笑)。
まあ今日はst.バレンタインって事でこういう気分になるのも悪かないですね。
甘酸っぱくも意志の強さが光るとっておきのラブソングです。




【都合のいい自分らしさなんて 見つかるわけはないんだから】

某バンドマンが言ってた言葉で
他人と違うことをしようって思ってること自体
その時点で他人と同じだよ、っていうのがあってこの歌詞を聴いた時
その発言をなんとなく思い出したのです。
自分らしくだとか
他人とは違っていたい、って
そう思えば思うほど自由に生きる気持ち良さが付随しなくなったりと
個性の追求っていう行為は、時として身軽なカタルシスを奪ってしまう危険性があります。


【別に誰かの真似をしていいじゃないか】

このフレーズが特に好きなんですよね。
人と違う自分でありたい、って思ってはいるけれど
そうやって色々なものを捻じ曲げて考えた結果、本来自分が掴むべき対象を見逃してるんだとしたら
こんなに損な事もないんじゃないかと。確かにありふれたものを嫌う気持ちもあるけれど
そもそも人間の欲求とか趣向に対してそんなに差異があるとは思えないので
たまには素直な気持ちで、
ありふれた喜びを追求するのも悪くはないんじゃないかな、っていう。
真似だろうがなんだろうが、それが自分が望んでる事の一つなら尚更ってね。


【忘れないで 僕らには今しかないこと】

これも前の曲に掛かってくると思いますが、今やるべきことやしたいことを
真っ直ぐな純度でやり切ることって案外大変で
でもだからこそ挑戦のし甲斐もあって。
ぼやぼやしてる内に、今って時間はすぐさま過ぎ去ってしまうのだからねちねちした自問自答よりも
たまには自分に素直に、フィーリングのまま行動するのも伝えるのも悪くはないよ、って。
そんな意固地だったり恥ずかしがりだったり、ひねくれからの解放。
素敵なラブソングであるとは思いますが
素敵なメッセージソングでもあるんじゃないか、
そんな風に感じる一曲でもあります。
自分らしさってものは作るようなもんじゃなく、滲み出て来るものだ、って解釈も出来るような。
ダブルミーニング的にも面白い一曲なんじゃないかな、って思います。





本来ならもう少し間隔を明けるつもりだったのですが
ふと気付いたので今日敢えてこの曲をレビューしてみました。
ささやかな一押しって事で(笑)。
レビュー後半戦も頑張ります。ここからは更にディープになるぞ~。



NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその5「極東ID」

2012-02-12 14:09:01 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその5「極東ID」です。





5.極東ID




この曲はロックバンドではなく昭和の歌謡曲に憧れたいちシンガーとして鳴らしてる気がしますね。
更に言うとそこに桑田さんのエッセンスも盛り込んでるのが何気に凄い部分なんですけど
最終的には光村っぽく終わる、っていうそのサジ加減も面白い楽曲で
オマージュとリスペクト、そして彼らしいぶっきらぼうな部分が合わさった秀逸な一曲だと感じる曲で。
アレンジもホーン等を取り入れたりしてジャズっぽくもある豪華な仕上がり
こういう曲もこなせるようになった、っていうのは本当に大きく
また光村ボーカルに合ってるとも思えるので
二重三重の意味で収穫のある非常に興味深く、また単純に気分が高揚する一曲にもなってるかと思います。

このアルバムを聴けばNICOの利点がすぐ分かると思うんですけど
若々しいギターロックも出来れば、打ち込みのダンスナンバーもこなせ歌謡曲もポップスもイケて
その全てが振り切れた出来って言うのが何よりの素晴らしい武器なんじゃないか、
そう確信出来たきっかけのナンバーでもありますね。この曲は。
光村龍哉のボーカルの芯が異様に強いので、その所為でどんな曲を歌っても声がブレないっていう
ボーカリストとしての才能も大いに感じられるアルバムなんじゃないかと。

この曲は詞も秀逸なのでどこを取り上げるか迷うのですが。




【その他大勢ってIDなんてない】

「SURVIVE」でも「万年バックじゃ永遠は辛い」って歌詞がありましたけど
要はこういうことですよね。埋もれるのが嫌だから、
他人と同じになるのが嫌だから
なんとか自分だけのものを見つけようと、探そうと努力する。その試行錯誤の繰り返し。
自分があるようで傍から見れば単なるそこら辺の石と変わんない、
特に気にされることもないような、っていう
そんな状態で生き続ける苦痛と、それに対するアジテーションが歌われている一曲。
現状を受け入れるのも大切だけど、
結局は受け入れてるだけじゃ何もしてないのと一緒ですし
散々何かに挑戦した後で「これでいいや」って思うのと
何もしてない今で「これでいいや」って思うのとじゃ全然別モノじゃないですか?
やんないのに後悔するのが一番最悪ですよね、って話で。


【人間バンピーかヤンキーって嘘だぜお嬢ちゃん オトナはそんなことドラマにするけど
 このオイラを忘れちゃいけないぜ 忘れちゃいけないぜ】

物語の主人公になるのはいつだって情熱溢れる真面目くんや
不良状態から這い上がる更正くんばっかだけど
現実じゃ真面目にも不良にもなれない人間ばっかっていうのが現状な訳で
そんな存在を忘れないでくれ、
中途半端な存在でも頑張ってるんだよ、っていう。
そう解釈すると切実ですけど
誰もが誰も分かりやすい人間なわけないですもんね。さり気に、どこにも当て嵌まれない人間に対しての
賛歌って言うか肯定しようとする歌っていうか・・・そういう要素が感じられるのがグッと来ますね。


【当たって砕けようが人生の成功者】

じゃあどういう行為で自分の人生に価値を見い出そう?ってなった時に
結局指針になるのはこういう事なんじゃないかと。
要するにやりたい事をやれたかどうか
少しでも自分の可能性を試せたかどうか。何もしないで嘆くことは簡単だし気持ちがいいけど
いっちゃえばそんなのは誰にだって出来る、ありふれた感情表現な訳ですから
その他大勢に分類される事に悲しみを覚えて終わるくらいなら
いっそ砕けた方がまだマシだよね、っていう。
最期の時を迎えるにあたって、「あの時こうすれば・・・」よりも
「あの時頑張ったな」って方がどう考えても良いに決まってますからね。
一見オシャレな歌謡曲オマージュに聴こえて
鳴らされてるテーマは正に真剣そのもので、そういう無意味なようで無意味じゃないっていう
そのバランス感覚にも唸らされる個人的には大好きな一曲ですね。さり気に彼自身のペーソスも漂わせてるのも
楽曲の説得力には貢献してると思います。ライブで聴くとシンプルなアレンジなので、
音源とはまた違った面白さがあるんじゃないかと。鉄板だと思います。





【善と悪のオールラウンダー】

こういうフレーズを紛れ込ませるセンスも好きだなあ。きれいにもきたなくもなれないっていう。
NICOの音楽って何気にペーソス要素も強いなあ、って感じます。そこもまたブルースっぽくて素敵だなと。



NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその4「カルーセル」

2012-02-08 00:08:43 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその4「カルーセル」です。





4.カルーセル





この曲はNICOでは珍しい打ち込み風味のムーディなダンスナンバーになっていて
歌詞のテーマも別れを中心に描いているので正に夜の情景にピッタリマッチするような大人っぽい曲になってて。
そもそもNICOで打ち込みっぽいサウンドって時点でイメージ的にはミスマッチなんですけど
これが案外違和感がないと言いますか、王道のロックバンドにも関わらずこういう曲も歌いこなせるのね的な、
そんな新鮮な発見に満ちた一曲で。これもまた新境地と言えば新境地なんですけど
実は音源の時点では変化球の一種、って印象も拭えなくて
他の曲と比べると評価は相対的に低くなってて。

けど、ライブで聴いて一気に好きになったといいますか、この曲の面白さを発見出来た気がして。
ライブでのアレンジが正にクラブど真ん中の妖艶で、でも情念も漂ってるから
そういうクラブミュージックと歌謡曲を合体させたような
奇妙な気持ち悪さ、それが気持ち良い曲なんだと。生で聴いて改めてこの曲の輪郭が分かったような気がしました。
そんな経緯もあって、今では他の曲と並ぶくらい大好きな一曲になりました。
生で聴くとそのダンサブルなテイストが2倍3倍にも広がりを見せるのが何より素晴らしい一曲です。
勿論音源でもその要素は十分に感じ取れると今は思ってますけど。
繰り返し聴いて味わって欲しい一曲ですね。クールさとムーディさがここまで融合してる曲もないかな、と。


この曲は、別れの歌って記述しましたけど
恋人とかじゃなくて友人や同志に向けての別れの歌だったんだ、って
何度も聴いてようやく分かったんです。
そこを自分なりに解釈して理解してからは正直ますますこの曲って面白いな、って思うようになりました。
恋人とか愛する人へ向けての情念を歌う曲なんてありふれてるってくらいありますけど
かつての友に、同志に向けての仲違いしてしまった悔しい気持ち、
そんな感情をここまで情念込めて歌われる曲って実はあんまりないんじゃないか、って。
友達とかとの別れって曲の中では美談っていうか、爽やかに歌われるパターンが多かったように思えるんですが
実際は本当に悔しくて、逆ギレしたいくらいに納得の行かない事が多くて
そんな感情をこうやって掬い上げてくれたこの曲って実は結構に記名性あるんじゃないかな~と。
あくまで私の経験上の印象ではありますけどね。
最後の方こそ、もう一度邂逅出来るように再び歩き出す流れになってるんですけど
歌詞の大体は本当に分かり合えなかった事に対しての後悔で
そんな「やりきれない気持ち」の表現が何よりも強烈で、胸に印象と余韻を残すしとやかなナンバーにもなっていて。


【同じような軌道をたどりながら きっと僕らすれ違ってた】

自分だけ想いが強くても
思い込みで一緒になれたような気がしても
裏に何かかを抱えてるのが人間の本質でもあって
一石一朝で分かり合えるなんていうものは幻想に過ぎなくて。
自分に都合の良い解釈をしても
相手は相手でその分相手なりに考えて動いてる訳ですからね。それが一致するだなんて奇跡の様な話でもある。

【思いがけないキセキが待ってるのなら】

ただ、この曲のいじらしいところはそんな逆ギレだとか打ちのめされてゲンナリしてても
それでも五里霧中の感覚で必死に前を見ている部分であって
だからこそ余計に切なくなる感じはあって。
その前に全力で分かり合えない事の空しさを描いてるだけあって、益々余裕のない言葉にも聞こえるけれど
それが何よりもリアルで、それでいて格好良くもあるよなあ、と。そんな風に思える一曲。
サビ部分をきれいに覆うコーラスワークもまた大きな聴きどころの一つ。
何かとその背景がよく浮かぶ素敵な曲って印象です。今は。



NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその3「バイシクル」

2012-01-31 19:14:59 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその3「バイシクル」です。





3.バイシクル





ドラマ主題歌になった事もあり、今作の中でも特にキャッチーに作られた節のある「バイシクル」。
若々しい疾走感に加えて雄大なメロディも光っている地に足のついたキラーチューン、と言った印象で
ただ単に勢い任せではなくしっかりとメロディを練り込んで制作されたんだな、って
そんな風に思えるのが何よりNICOらしいですね。
ただ爽やかなだけでは当然物足りないので
要所要所でそれだけでは済まされない奥深さが付随してるのがやはり光村マジック、と言った所でしょうか。
特にサビの解放感と声の太さとの調和は半端ではないくらい気持ちが良くて
初めから名曲にすることを見据えて作られたんじゃないのか、ってほど堂々とした芯の太いナンバーで。
新たな代表曲の一つになり得る曲だと思いますね。

人間は知識や経験を得る度に変な達観が付いたり、臆病になったり、慎重になり過ぎたり
悪い意味で素直さや純真さがどんどん欠けていく
賢くなるのは賢くなるのでいいんだけど
その分純粋に気持ち良い、って思える事もどんどん失っていく訳で、
そんな自分に対してのアンチソングにもなってて。
何もかも忘れて、何もかも外して、もう一度だけ頭の中を空っぽにして。遠い白に近づく作業の一環。
それは傍目から見れば滑稽かもしれませんが、滑稽って言うのは人間らしさの証拠でもある。
少なくともガチガチに鎖で縛るよりは全然人間らしい生き方だとも思う訳で。
そういう気持ちを思い起こさせてくれる新しい名曲、って感じで個人的にもお気に入りの一曲ですね。




【隣の芝生はいつだって青くて いったい何の罰が当たってこんな惨めな気分になるの】

自分らしさを貫いて生きてきたら
自分らしさによって逆に苦しい気持ちになっていた。
あくまで望んだ風に生きてる筈なのに
他人の方が正しく思えたり
他人の方が恵まれてるように感じたり
そんな不安や不満を数えたらキリがなくて、時々本気で他人を羨ましく思う時がある。
誰々のようになれたら、だとかね。でもそんな自分は結局捨てれない訳で
ますます隣の芝生が青くなるばかりの日々を悶々と過さざるを得ない。


【神様僕はここにいますが 僕の悲鳴に気づいてますか?】

誰の所為にも出来ない日々は
必然的に何かの祟りか誰かの呪いか
でも
頑張っても頑張っても大して報われないのであれば
そういったものの所為にしたくなる気も分かるよなあ、って。
それで何かがどうなるわけでもないけれど
誰にも伝わらない心の悲鳴として。
そんな切実な嘆きが伝わってくる改心のフレーズだと思います。


【ペダルを漕いでるうちは 倒れず前へ進むでしょう】

ただ、そうやってボロボロになってもブレーキが軋む音を上げてもチェーンが外れたとしても
ペダルを漕いでいる限り、少しでも頑張っている限り、倒れないのもまた事実で。
壊れた部分は直せば良い
風が強くても諦めなけば前に進む仕組みになっている。
経験を積んで臆病になったとしたなら
少しでもその仕組みを思い出して、その度にゼロになればいい。余計な知識なんて足かせになるだけ。
だから、生きることだけは、生活することだけは諦めないで、と。時計の針は止めずに、
一歩でもいいから前に進む方法を選択するだけ。
選択してる内は、倒れることはないから。という視点を変えた見方に一つ学ばされる一曲ですね。





余談ですけど、歌詞の内容を追って行く限り、青春時代特有の青臭さがあるというか
それこそ青春映画のワンシーンを彷彿させるような描写の妙があって。
初期は渋さや完成された格好良さを押し出してたけど
こうやってちょっと甘酸っぱい勢いのあるロックチューンを思いっきり奏でられるようになった辺り
またバンドとしての一つの成長を感じましたね。今までのこの系統の楽曲と比べても全然振り切れてるな、と。

ライブでも聴きましたが、これ丁寧なメロディーラインが肝な楽曲なのに
思った以上に盛り上がりが凄くてビックリしました(笑)。
楽曲のスケール感がそのままライブの爽快感に繋がってる印象で、
大きいハコで演奏するのがホント似合ってる曲だと感じましたね。声の広がり具合も流石でした。