実に1ヶ月ぶり?ですけど、まだまだ続く「HUMANIA」全曲レビューその7「Endless roll」です。
7.Endless roll
ベースの坂倉心悟が作詞作曲を担当した一曲。多分作詞作曲まで任せるのは初だと思う。
前作で坂倉さんが作曲した「マトリョーシカ」の時も思ったんですけど
彼の曲っていうのは非常に真っ直ぐといいますか
光村龍哉の曲と比べるとひねりがなくストレートな楽曲を書くなあ、というイメージ。
それも、とても等身大な気がするんですよね。青臭い部分含めて曲にしてるなあっていうか
もっと端的に言えばすっごく素直に感じるんです。曲も詞も。光村曲より普遍性が強く感じて。
NICOとして名曲~って感じじゃなくて、それよりももっと大多数の人に受け入れてもらえそうなくらい
開かれていて、スケールも大きくて、じんわりと感動が伝わってくるような。
疾走感を含みつつも地に足の着いたサウンドの奥行きが素敵な一曲で。
これが何を意味するかっていうと
彼の作詞作曲をした楽曲を改めて聴く事で、
改めて光村龍哉がこと作詞作曲に関しては「ひねくれ坊や」って事が分かるっていう(笑)。
正に「極東ID」で本人が歌ってた通りに確かにひねくれてる部分強いな~、って
例えば同系統の「サドンデスゲーム」だったり「衝突」、「Broken Youth」とか取っても明らかに
目に見える形で坂倉さんの曲とは全然違うでしょう。
でも、それが面白いなっていうか
ここまで違いが個人的にですけどはっきり感じれるのって面白いなって。
坂倉曲が加わる事によってよりバンドらしくなってる感覚は間違いなくあると思う。人格が増えた感じ。
ひねりとストレートの対比って面でもこれからのアルバムにも坂倉曲があれば尚嬉しい。
「マトリョーシカ」も大好きな曲だしライブでも盛り上がりますけど
この「Endless roll」は更に洗練されてる気がして、
また一つバンドが面白くなる要素が増えたなー、と私的に嬉しくなった一曲です。
他のファンの方々の反応を読んでた時も評判の高い楽曲でした。
【「うるさい」と叫んだ声が今日も虚しく響いて
下手すりゃ 居心地がいいだなんて思ってしまう】
要するに、恵まれない環境だったり
何も変わらない毎日
自分でこれじゃダメだって思ってる生活であるにも関わらず、
そんな劣悪だったりジレンマを抱える自分自身に酔ってしまう
恵まれないけど頑張ってる自分云々~だとか言い訳のようなレッテルを貼り付けて
自分に対しても他人に対しても言い逃ればっか、っていう。
それじゃ何も変わらないし
螺旋階段の終わりなんて永遠に来やしない。
そんな傍目から観ると気持ちの悪いぬるま湯に浸かって自己満足してる状況に対して
「そうじゃねえだろ」って温ったかいパンチ(by岩崎慧)を食らわすような、
感じる所の多い反面教師的なワン・フレーズです。
同時に相応の哀愁なんかも感じられて。
【嘆く言葉もかき消され 晴れた空は遠く】
頑張って報われた?と思ったら
一瞬で消え去って
取り返しのつかない事になったりして、そうでなくとも
やればやるほど空回ったりして、結果も満足も得れないまま終わって
気付いたら空虚だけが残ってるなんてザラで。
人間平等な訳なんて絶対ないけれど
かと言って、全てを諦めるような覚悟も度量も持ち合わせてはいない自分がいて。
嘆いても嘆いても、同じ地点からの再スタートばっかりの人生
永遠に続くみたいな螺旋階段の途中で
一人寂しく
心の不安を吐露するようなシリアスな楽曲でもある。んですけど・・・。
【終わりなんてあるはずないな それはきっと僕が決める】
消え去る事や誰かに奪ってもらえる事を望んでしまう時もあるかもしれない
自ら終わりを強く望んでしまう時だって・・・。
でも、そう願えば願うほど本当の終わりなんて訪れなくて、結局螺旋階段があるって事実からは
そんな現実からは絶対に逃れられないし目を背ける事も出来ません。
ならば、、、
それを自ら定めに行こう、自分の意思でその終わりを迎えに行こう、と。
その状況に酔う必要もなく、
また喪失や空虚に対して嘆く時間も捨てて
全てを受け入れて進もう、どこまで進んでどこでピリオドを打つのは自分の自由なんだから
逆に言えば本当に諦めない限りはまだ可能性が残ってるという裏付けでもあって。
決して救われるとか
願えばって言葉は出てこない歌ですけど
散々悩んで、散々考えて、それでも現実を許容して「やれやれ」と言いながら歩いていくような。
正にタイトル通りの永遠に転がっていく様を描いた厳しくも温かい一曲。
螺旋階段を抜ける事が出来るのは、意思のある自分の足だけだから。
「螺旋階段を壊して今」