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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその4 「ページ1」

2011-06-26 14:43:14 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその4、「ページ1」です。

春らしい陽気に満ち溢れたポップ・ソングです。
割と重い曲が多かったりするので、その中じゃ結構に貴重な曲ですね。





4.ページ1




【脱皮する蛇のように】

人間何かに破れたり
失敗したり
間違いを犯したり、そんな事の繰り返しですが
その度に気持ちを切り替えて、歌詞の中では「無理矢理」って言葉も出てきますが
例え切り替わんなかったとしても
それでもこれが最初のページのつもりで
思い出を書き足していく要領で
また素直に生きてみる、っていう
ポジティブだけど、どこか痛みも微かに匂ってくるようなそんなナンバー。
この曲は初聴きでどうこうよりも
時間差で沁みてくる曲かもしれません。
個人的にはそうだった。
 多分、また白紙に戻して時を刻んだとしても、絶対にまた痛みは襲い来る
それを示唆したような詞にもなってるんですけど
同時にその中で成長出来たら、って願いも込められています。
脱皮する度に、大きくなって、垢抜けたい。
ページ1に戻ったとしても
前のページとはどっか違う自分でいたい。その為に、必死で今を紡いで。
一つ一つを大切してまたページを刻んでいきたい。
 そんな純粋でかつ切実な祈りが込められたこの曲。
普通に聴けば結構にシンプルで爽やかなポップ・ソングですけど
それでも曲中に込められてるものは中々に深いなあ、と個人的に思うのです。


【また君に会いたいよ】

この曲で描かれている「君」っていうのは
そのままの意味じゃなくて
あの日輝いていた自分自身、って意味だと思うんです。
要は今は輝けてない、鈍く光ってるだけっていうこと。
だからこそ
また自分で素敵だって思える
信じられる
そんな自分にまた出会う為に、何度でもしがらみの中に飛び込んで
喧騒の中で大きくなって。
もしまた再会出来たのなら
その時はまた笑顔で出会えますように。





アレンジもキラキラしてて、キーボードの音色の温さもこの曲にはとてもあってる気がする。
そんな音ほど気楽な曲でもないんですが
気持ちのリセットには丁度良い曲、とも思います。同時に一つの決意の歌、でもあると思う。
さりげないが染み入る良曲ですね。


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NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその3 「Diver」

2011-06-25 01:24:51 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその3「Diver」です。

シングルにもなった曲ですね。
当時レビューも書いたと思います。






3.Diver



なんて暗い曲をシングルにするんだろう・・・ってのが第一印象で
あからさまにテンション下がってるような曲なんですけど。
音だけ聞けばアグレッシヴですけど
その分歌詞は本当に沈んでいくような無気力なものになっていて
でもこの曲が何気にスマッシュヒットしたって事実は正直凄いと思いますね。
やはり濃ければ濃いほどNICOはいいのだろうか。

単純に普通に生活をして
普通に何かを成し遂げて
普通に誰かと分かち合って。
そんな世間一般で言うその普通にすら届かない人間もいて
ていうかそんな人間ばっかの気もして
何かをしたくても何も出来ず
何かを言いたくても何も言えず
ただ目の前の壁を眺めているだけで、本当に為す術なく日々は続いて行ってしまう。
それに対して
「ああだめか」と思うか
「いやでもな」って思うかどうかの違い。
例え現在精神的に呼吸困難でも
周りの空気に馴染めなくも
絶対に息を出来る場所はあって、それを目指して
不恰好でも呼吸を続ける事は間違いではないんじゃないか、と。
そんな事を訴えかけるかのような歌。

だから抉られるといえば抉られるし
響く人には思いっきり響く曲だと思います。
個人的に声にウソがないと思うんですね。
それでいて馴れなれしくもない。
自問自答、葛藤がストレートに伝わる声なので
そのお陰でのめり込んで聴ける、っていうのもあると思います。
そんな声自体もえらい迫力があって
一気にガッツリ掴まれる感じで。

その沈んでる感は非常に出ている曲だと思います。


そもそもがですね
この曲みたいに無力感を受けることなんて日常茶飯事な訳ですね
それを吐き出す場所は絶対に必要だと思うんです。
励ましだけが音楽じゃないと思うんです。
時には徹底的に叩き落とす事も必要。
自身の無力感に浸っても
絶対に立ち上がらなければいけない時は来るのだから
まずは余計な幻想を振り切って
そこからまた再起を目指して。

沈んだら沈みっぱなしっていうパターンもあるかもだけど
基本人間ですから
浮上するのが必然なんですよね。
だからダイバーってタイトルだと思うんです。
また息を大きく吸って、もう一度戻れるその時まで。
その悔しさは
そのやりきれなさは
良い経験になるはずだから。そう信じたいから。その為のダイブだって話で。




そう考えると、
これも一つの希望の歌なのかもしれませんね。
その名の通り、強く望んで進もうとする、弱くて不恰好だけどその実力強くもあって。名シングルです。



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NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその2 「妄想隊員A」

2011-06-23 21:41:19 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビュー2曲目、「妄想隊員A」です。

初期を思わせるタイトルです。





2.妄想隊員A



【奇跡はもう信じちゃいないけど】


誰にも夢見がちな時期はありますよね・・・。
バカみたいに夢抱えて
理想ばっか追いかけて
足元に巣食う罠にも気づかずに
その実振り回されただけであっさりと終わり。
何度も何度も現実を知っても、知ったとしても
それって実はただ知ったフリをしてるだけで、その壁は何度も立ちふさがるものなんです。
だからこそ辛くて、出口もないんですけど
でも、やっぱりだからこそ何度もノックしなきゃいけないんですけど。

たまには自らの愚かさを認める事も大事なんです。
これはそういう曲だと思います。


この曲を形容するときに「女々しくもダンサブル」っていう表現を使ったんですけど
歌詞だけ読んでれば結構に女々しいというか
男の小ささを描いた詞なんですけど
音自体はガツガツと攻め入るようなサウンドで、それでいて踊れるくらい
全体的に弾けたメロとアレンジになってます。
プチパンクというか
ややディスコ仕様っていうか。
別に打ち込みじゃないんですけどね。
その歌詞とのギャップがいいな、とそう思える楽曲で。

それはやっぱりこういう男の哀愁的な歌詞って大体おセンチ仕様になる事が多いと思ってて
しかしこの曲は逆にそれを振り切るように
必死に忘れようとしているかのように
再び現実に戻るかのように
ジタバタと暴れてるような曲で、これはこれでリアルだな、って思うんです。
確かにそういう気分の時にホロリともくるけど、心がささくれだって畜生って気持ちになる時もある
そんな時にこそピッタリとも言えるナンバー。
女々しい、けどダンサブル。
そんな相反する世界観を是非、ってところですね。ライブでも抜群に気持ちが良いです。


【君は知ってる 愚かな僕のかわし方を】

望めば望むほど
辛いとか苦しいとか
そういう気持ちも沸きあがってきますが
そんな中で踊らされるのは上手、
避けられるのは上手、
空回るのだけは上手。
手に入れるよりも、失うほうが上手。
結局のところ、ただそれだけの生き物です。
それでもやっぱり、自らを引き立てる妄想だけは止められない。
自分が主人公って意識は消えない。
それが間違ってても。
間違ってる生き物なんです。でも、それが少し人間クサくてほっとする。
いつの日か伝わる事を信じて
それまでチープでインスタントな理想を描いて。
そこでまた何かを掴めたら。
妄想を現実にする日まで。




割と色々なものに置き換えても面白い曲だと思います。ただ単に恋愛の歌でなく。
そういう風にレビューも書いたので。


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NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその1 「ロデオ」

2011-06-14 16:17:38 | 音楽(全曲レビュー)






ひっそりと、NICO Touches the Walls「PASSENGER」の全曲レビューを始めます。
これ以上カテゴリ増やせないので、全曲レビューの所に配置しておきます。
一曲目は「ロデオ」で。
ジャングル風味のイントロがこの世界の混沌を現しているようで早速惹かれる曲ですね。
何気に最後の曲とも対になってると思うんですけど。





1.ロデオ


【結果じゃないんだって 才能じゃないんだって 
 何が言いたいのか
 他人の言葉は 危険】

エキゾチックな雰囲気が印象的な躍動感のあるロックチューン。
芯の太いサウンドも暴れまわるボーカルも魅力的なんですが
それ以上に自暴自棄というか
かなりの割合でヤケクソ感が漂う曲です。
その分自己を投影してシンパシーに浸るもよし
モヤモヤした感情を吹っ飛ばしてもらうもよし・・・何気にこのアルバムの中の人物
主人公たちは誰も救われなくて、報われなくて。
それは光村くん自身を表しているのかもしれないけど
やっぱりギリギリの状態からカウンター的に歌われる曲ってこんなに美しくて
グッと掴まれるんだなあ・・・ってのを実感させられます。
自身がギリギリであるだけに。


【目が回ってんだ こんがらがって毎晩Cry Again】

【どこにいる? わかんないよ 教えてくれ】

世界との折り合い
誰かとの折り合い
大事な自分自身を失い、前を見ようとしても何も分かんなくて
分かってても進めなくて
自分の本心すら分かんなくて
心は震えるし
身体はガタがくるしで
精神の八方塞状態。どんなに頑張っても到達出来ない部分があって
だからこそ必死にもがいて
もがくフリかもしんないけど。
誰かに追い抜かされていくだけの日々って、そんなに頑張ってしがみつくほどのものなのか。
それとも自分はそのフィールドで身を削って行くべきなのか。
自分が本当に歩むべき道って何なのか。
サビの実直な問いかけも
もう、それを吐き出さなきゃどうしようもないくらい
追いつめられて、苦しいのが伝わって来て思わず感情移入してしまいます。


【ロデオみたいなデイズ これこそ 我が一生】

誰かが言う言葉も
自分で選ぶ言葉も響かず
霧の中で、迷いながら送る人生。
それでも、その中で何か一つでも掴み取れたら。
それが出来たのなら。
思うように進む事は無く
思っても見ない方向から槍も飛んでくる
でもその中で必死に考えて、自問自答して。頑張って本当の自分自身を見つけるべく奮闘する。
その歪んだ形を、その形こそが初めて人生って形容出来るのかもしれません。




【神のご加護を】



コメント (2)
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つしまみれ「GIVING BLOOD」 全曲レビュー

2011-05-07 02:15:48 | 音楽(全曲レビュー)






毎度御馴染みの全曲レビュー、今回はつしまみれの「GIVING BLOOD」です。この間ツアーレポも書きました。




このアルバムは、ここ数作がきっちりコンセプトを決めてカチッと作りこまれたものだとすると
逆にノー・コンセプトだと感じる作品でして。
「献血ソング」というでっかい幹があって、その上でふり幅広くロックしてるアルバムって印象で
自由度も高けりゃ、いつも以上にポップだったり、いつも以上に自棄的だったり
ラフなロックンロールをガッツリ楽しめるアルバムで。
だからある意味素に近いのかなって思いますけど
ギャルバンだとかそういう前印象抜きに、本当に素晴らしいバンドなので
是非今作からでも良いんで少しでも広まれば、爪痕を残せれば。むっちゃ格好良いアルバムですね。では以下。





1.うつ病

一曲目から「うつ病」って・・・。その名の通り曲も普通に暗い。
側に誰もいないし
話も通じないし
だったらもうどうでもいいや、って感じの。超ヤケクソ気味。でもこういう音嫌いじゃない。



2.ソナタ・ド・アラーム

途中まではこれも同じくヤケクソ気味で、意味不明なテイストも含んでるんですけど
曲の終わり際に急にマジになるんですよね。
それまでボケーッと適当な感じの、でも鋭い音だったのに
急にポップで、グッと掴まれるメロディに変貌する、っていう。
それが泣ける気持ちに繋がる曲です。



3.フレンチトーストランデブー


「行くあてのない日々」

「油断したらセンチメンタルが 襲いくる」

息の詰まるような日常。
とにかく何をするにも苦しいし、不要な感情が付きまとう。
そんな中で、少しでも夢見たっていいじゃない的な・・・そんな雰囲気を感じます。
基本的にはポップな曲ですが、途中でいきなりアグレッシヴになるのも見逃せない所です。



4.Doing Nothing


「しくまれてるのは知ってる
 たくさんレールが敷かれてるもん」

「本当に大事なことは見えないし
 本当に好きなこと 知らないまんま」

「何もないことに飽きちゃった」


改めて見ても酷い歌詞・・・酷いと言うか惨めというか
でもこれが一つの現実でもある。所詮は誰かの手の平で踊らされてるだけ。
そんな生活を過ごしてる内に
本当は何がしたかったのか、とか
本当に大切なものはなに?だとか
自分の存在すら分からなくなっていく。だったらもう何もしねえ。と。

でも、これも一種の「吐き出し」なんでしょうね。陰鬱な感情は全部吐き出せ吐き出せ。なくなるまで。



5.グレープフルーツガール

でも、そんな何もない状態でも
好きな人が幸せでいれば
誰かが笑ってくれれば、それだけでいい。そんな曲。多分一番ポップで甘い曲ですね。



6.ラムシープ

どんよりした音像に加え、中々に意味不明でかつ情念的な歌詞。
前の曲がすっごく爽やかだったのに対し、一気にドロドロ感が噴出しちゃった。
でもこれも、こういう面もアルバムには必要です。
不気味な曲始まりが素敵。



7.Bryan

アメリカツアーの思い出を歌った曲。テンポも良くサクサクと聴けるロック。
ピクニックみたいなウキウキ感もあってひたすらに楽しいんだけど
この曲も2曲目同様に、最後に大サビが挿入されて
その熱量にまたもぐっと来てしまう。
ポジティブなエネルギーに満ちた曲ですね。



8.ソラタカク

勢いの良い、ポップパンク。ライブでも当然盛り上がる盛り上がる。
運動会に使っても良さそうなくらい天井知らずに明るい曲だが
それに反するように歌詞の方は切なくて。
その合致してない感じが面白い曲ですね。多少ネガなのにアガるっていう。



9.なmellow

まさか「なめろう」がロックバンドの歌詞に使われるとは・・・
流石千葉バンドですな。
地元を大切にしてるぅ!と思いきや
歌詞の方は全くの意味不明だし、サウンドも歪みまくり(笑)。
奇妙な曲だが中毒性はやたら高い。



10.猫は本当はやさしい生き物じゃない

バンドとして初めて作った曲らしい。率直に言うと、面白い!実は一度ライブで聴いてたけど
軽快なリフやセリフ調の一言で聴かせるサビやタイトルセンスも含めて
色々とアイディアに感心させられる曲。
意外にこういう曲って少ない気がする。



11.献血ソング

名曲です。
自身がバンドをやってる理由や、それで伝えたいこと
ロックバンドとしての生々しさやつしまみれの個性、色々なものが一緒くたに詰まっていて
そのどうしようもない位のむき出しの熱量に圧倒されます。いつ聴いても。
広く浅くなんて表現がクソバカバカしくなるくらい
聴いた人の心に焼きつく位の立派な一撃で
これくらいはやってくれないとな、とつくづく思った。そのくらい太くて逞しい曲ですね。
この曲も音源になる前に一度ライブで聴いていて
その時から大好きな曲でした。

自分も、文章で誰かの「血」になれたらな、と切実に思う。その為に立ち止まっている暇はないですね。
なんて、柄にもない事を思わせてくれる
改めて名曲だと思います。







表現、といっても色々な形があると思いますが
このアルバムは伝えたいことが明確で、やりたいことも明確で
そこに一切手加減は生じないんですが、だからこそ心に残る感じが凄くしていて
やっぱり振り切れてこそ表現なんだな、ってつくづく思いました。
同時にラフさとポップさも同居しているので
いつも通りのヘンテコ感だけじゃない作品、って風にきっちり進化もしてると思います。
モジャーデビュー一発目、は成功と言っていいでしょう。
これからも濃ゆい作品頼みます!ということで。 ツアーも再開されるという事で、そちらも個人的に楽しみ。


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