NICO Touches the Walls「PASSENGER」全曲レビューその4、「ページ1」です。
春らしい陽気に満ち溢れたポップ・ソングです。
割と重い曲が多かったりするので、その中じゃ結構に貴重な曲ですね。
4.ページ1
【脱皮する蛇のように】
人間何かに破れたり
失敗したり
間違いを犯したり、そんな事の繰り返しですが
その度に気持ちを切り替えて、歌詞の中では「無理矢理」って言葉も出てきますが
例え切り替わんなかったとしても
それでもこれが最初のページのつもりで
思い出を書き足していく要領で
また素直に生きてみる、っていう
ポジティブだけど、どこか痛みも微かに匂ってくるようなそんなナンバー。
この曲は初聴きでどうこうよりも
時間差で沁みてくる曲かもしれません。
個人的にはそうだった。
多分、また白紙に戻して時を刻んだとしても、絶対にまた痛みは襲い来る
それを示唆したような詞にもなってるんですけど
同時にその中で成長出来たら、って願いも込められています。
脱皮する度に、大きくなって、垢抜けたい。
ページ1に戻ったとしても
前のページとはどっか違う自分でいたい。その為に、必死で今を紡いで。
一つ一つを大切してまたページを刻んでいきたい。
そんな純粋でかつ切実な祈りが込められたこの曲。
普通に聴けば結構にシンプルで爽やかなポップ・ソングですけど
それでも曲中に込められてるものは中々に深いなあ、と個人的に思うのです。
【また君に会いたいよ】
この曲で描かれている「君」っていうのは
そのままの意味じゃなくて
あの日輝いていた自分自身、って意味だと思うんです。
要は今は輝けてない、鈍く光ってるだけっていうこと。
だからこそ
また自分で素敵だって思える
信じられる
そんな自分にまた出会う為に、何度でもしがらみの中に飛び込んで
喧騒の中で大きくなって。
もしまた再会出来たのなら
その時はまた笑顔で出会えますように。
アレンジもキラキラしてて、キーボードの音色の温さもこの曲にはとてもあってる気がする。
そんな音ほど気楽な曲でもないんですが
気持ちのリセットには丁度良い曲、とも思います。同時に一つの決意の歌、でもあると思う。
さりげないが染み入る良曲ですね。