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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその6「NEVERLAND」

2011-08-23 00:36:09 | LOSTAGE 全曲レビュー






LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその6、最終回は「NEVERLAND」です。PVも制作されています。






6.NEVERLAND




間違いなくこの中では最もポップな楽曲で
過去作品と比べても「PURE HONEY」以来の超ポジティブ楽曲です。
取り合えずロストエイジで明るい曲ないの?って思ったらこの曲と「PURE HONEY」を聴けば良いのでは。
それにしても両方とも中々に分かりやすいタイトルですね。多分地元のハコからも取ってると思うが。

この曲を作った意図って言うのは
雑誌等のインタビューを読む限り、震災以降の楽曲として出すべきって意識があったっていうのが
まずは個人的な解釈としてあります。ロックミュージックは昔から時代性を反映させてきた
ならば震災って事実に対する答えのようなものを・・・
って感じで自分は聴いているのですが、本当の想いは本人にしか分からない
けれど、どれだけ形を失っても、街自体は、その本質は決して消えない
またいつか迎え入れてくれる、
そういう考え方は個人的に凄く好きです。それが自分の心を濡らす事もあるでしょうけど
それでも最終的に笑えれば、少しでも喜びを見出していければ。
何も震災抜きにしても
私たちの日常に於いてもね。苦しくても笑おうとするのは
それだけ喜びに対する意識が強いから・・・って考えると、無理に笑ってみるのも
それはそれで美しい事なのかもしれません。人として。


何度言葉を失っても
何度地図を買いなおす事になっても
人間はそこからもう一度言葉を手に入れて、地図を作り直す力がある。
それは事実ではなく、そう思いたい
思わなければ生きれない。
だから歌う。
だからこの曲を聴く。また笑える事を信じて。

序盤のような激しい曲も最高ですけど、この曲も別ベクトルで最高です。
言い方は悪いですが、巷のポップスよりも全然ポップに聴こえてしまうのが不思議。
ロストエイジのファンでなくとも沁みる可能性は高いので、是非聴いて感じみて欲しい楽曲です。





やっぱりミニアルバムだと曲数が少ないので結構早く終わってしまいました。
その分、一曲一曲の解釈に力を入れて書いてみましたが、これが中々気持ち良く書けましたね。
機会があればお手にとってこの曲たちを味わってみて貰えれば幸いです。
次の全曲レビュー企画も決まってますけど
是非一曲を掘り下げて聴いてみる、って行為をしてみると音楽って更に面白くなるかもしれません。
ではまた次の全曲レビューでお会いしましょう。

全体のレビュー
http://blog.goo.ne.jp/nijigen-complex/e/a36659c8596516f8e55826b75a642b3c


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LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその5「言う」

2011-08-21 21:20:58 | LOSTAGE 全曲レビュー






LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビュー、その5は「言う」です。この中でもオルタナ色の強い曲ですね。






5.言う





この曲の良いところ、っていうと
ロストエイジは昔から英語に聴こえるけど実は日本語の歌詞っていう
そんなエッセンスを持っていたバンドなんですが
その極みっていうか
「イエーイ」って言ってるように見せかけて、実は普通に「言う」って言ってるっていう。
元々ライブで聴いたのが最初だったんで
歌詞カードを眺めてた時はビックリしたんですけど、これもまた面白いっていうかオルタナティブだなあ、と。
少なくともイエーイを日本語詞で表現するってアイディアは初めて聴いた気がするので
その意味でもざん新な楽曲の一つ、って言える気もします。
もちろん詞だけじゃなくて重厚感たっぷりのギターの音色も素晴らしいし、
最後の方には過度にポップになるパートもあったりして
一曲の中で様々な表情を見せてくれるので
飽きが来ないし、多彩な楽曲とも形容出来ると思います。硬派な曲とポップな曲で分かれてるこの作品の中では
その間を担うような楽曲になっている、のかな。ともかく面白い曲なのは間違いないですね。


この曲の表現したい事って
いくらボロボロの状態になっても
言いたい事くらい言わせてくれ、って事だと思うんですけど
それで何かを失ったにせよ
逆に得ているものもあって、それで笑えるなら良いじゃないか、と。はっきりとした歌詞ではないので
断定は出来ませんけど
個人的にはそう受け取っています。
この曲もまた「12」あたりと比べると違いが如実で面白いのかも。

後は、世間的に不必要とされてる人々の声だって
それぞれに価値がある、
価値があるはず。
そんな事もまたこの歌詞を眺めてると感じる事が出来ます。
そういう声が集まれれば、それもまた力なのかなあ、と。






ロストエイジのオルタナティヴな一面が色濃く出た楽曲です。単純に新鮮です、とも言える楽曲になってます。


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LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその4「私」

2011-08-19 22:16:41 | LOSTAGE 全曲レビュー






LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその4「私」です。後半戦に突入です。





4.私





この「私」って曲は構成含めて変わり種なんですよ。
サビが一回しか来ないし
サビ後も結構演奏は続くしで、中々形容しづらい曲にはなってるんですけど
勢いのあるイントロからメロディアスなサビ、王道とも言えるギターフレーズの気持ち良さで
一曲としては非常に小気味良く
気負いなく聴けて
オルタナっぽい雰囲気も楽しめる、良ポップ・ソングになってると思います。割と「私」って一人称を
全面的に押し出すって事自体も珍しいので、その意味でも面白い曲です。
楽曲の曲調的には「MIND JIVE」に近いかもしれません。
あれをポップにしたバージョン、っていうか。




【悲しい夜の向こう側へ】

もはやポジティブなのかネガティブなのかも分からない詞世界なんですけど
これって対人関係の歌だと思っていて
何かを知る事は
喜びでもあるけれど、
同時に悲しみでもある。知ったからこそ付いた傷もあって。
だからこそもっと違う道を、誰かとは違う道を追い求めて彷徨う姿
そこにはおおよそ答えなんてものはないけれど
それでも、

【アスファルトの君の知らない道をゆくよ】

誰も通った事のない道を
誰の助けも借りずに行く、と。
それって相当に辛くて、誰かと一緒の方が絶対安心出来ると思うんですけど
それを捨て去る事によって生まれる気持ち良さもあるっていうか
茨の道の方が逆に安心できる部分もあるというか。
誰の手も加えられてないのでね。
知った事による弊害と
知った事による安心。
ならば、私は別の道を行こう、と。そんな歌だと個人的には思っています。
安全パイよりも暴投覚悟っていうか。
それもまたロマン、なのかな。





全体的に流れる王道ロックの雰囲気が堪らない一曲、
DMBQとかKING BROTHERSとかその辺を好きな方にも是非って感じの曲ですね。


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LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその3「楽園」

2011-08-16 18:41:09 | LOSTAGE 全曲レビュー






LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビュー、その3は「楽園」です。間に挟まってるバラード曲。





3.楽園





この曲は過去の曲で言うと「風を抱いている」とかその辺に近いエッセンスなんですけど
加えてキーボードの電子音が入っていたり、
全体的な音も柔らかめで
その点では過去のバラードより更にポップになった印象の楽曲です。次に「私」と「言う」が待機してるので
流れに於けるワンクッションとしては中々良い役割を果たしているのではないでしょうか。
実際この曲でしんみりした後に「私」のイントロが流れるとグッと勢いが増すので
正しく緩急の為の一曲、といった所です。


でも、この曲は単体でもちゃんと聴けるクオリティの楽曲ですね。
流れを考えて配置された事も、
個人的な感触としてはあるんですけど
それ以上に実直に日々のやるせなさを綴った詞が印象に残る部分もあったり。


【何度も後悔してイライラを繰り返すよ】

人間って学んで育つ生物のようであって
実際は何度も同じ過ちを繰り返しているものなんですね。
その中で少しでも進んでいければ、って考えるんですけど
でも結局同じ失敗を繰り返すって事実からは逃れられてない訳ですから、
それを考えると
気が滅入ったり
これ以上先に進む事に怖れなんかも出てくると思うんですけど。
目の前に見える景色に疑問を抱いて。


【明日になればまた僕ら愛し合えるのかな】

後半の歌詞にも出てきますけど
誰もが繰り返した過ちに対する答えを出さなければいけない日が時が来る
その時まで逃げても
隠れても
それはその人の自由なんですけど
それでもどこかで明日とか未来に対する希望や期待は捨てきれないものなんですよね。
どんなに自暴自棄になっても
どっかでまだ自分は大丈夫だって思ってる
その大丈夫には確信も無い上に、自分で動かさなきゃ始まらないとも思う

でも、それでも、まだ明日ってやつを見ていたい
何もなかった今日から明日を確かめに行きたい
そこに何もなかったとしても
まだ生きて、明日の景色を観に行きたい。そこで何かが変わるまで、生きる事は続けてみたい。
自分が犯してきたいくつもの失敗や過ちを
一つでもいいから清算したい。
そんな気分の歌。
楽園の歌です。





【殺された君の歌があった】

結果だけが全てじゃない、とか軽く言い切ることは出来ませんけど
その代わり覚えている事は出来るな、とは思う。



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LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその2「12」

2011-08-08 23:45:50 | LOSTAGE 全曲レビュー








LOSTAGE「CONTEXT」全曲レビューその2、「12」です。この作品の中だと一番激しめの曲かな。








2.12








この曲はですね
昔から存在するロックモデルをなぞったような曲というか
それも日本の、ガレージロックバンドの系譜にある楽曲だと思ってるんですけど
ただそんな中でも歌詞だけはそことは違うというか
思いっきり憂鬱な内容なんですよね。
ある種の捌け口というか
今感じてるモヤモヤを一気に吐き出したような。そんなシャウトが印象的な楽曲で
一聴して勢いがあるなあ、って思ってたら
意外とメンタル的に弱さを感じる歌とフレーズもあったりして
その点では非常に人間くさくて、
音こそ硬質で硬派なテイストのド直球のロックンロールになっているんですが
歌詞の面から考えると逆に無力感を煽るような
人間の弱さが前面に出ている詞になってるので
そういった相反する部分、鬱屈を抱えつつもそれを放出出来ない人間の苦しみが表現されてて
聴き手によっては結構自らに重ねて聴けるのではないでしょうか。
比喩も使わずに
とてもストレートな表現になっているのも
逆に潔くて、この曲で発散してくれと言わんばかりの楽曲に仕上がっていて
これはこれで素敵且つ格好の良い曲だと思います。
一切ごまかしてない、っていうか。
弱さから逃げてない感じ。


【話はもうしない】

人間誰かと分かり合えるかどうかだとか
努力こそすれど
結果分かり合えない事も多くて、誰とも話したくない時もあったりして
そこには自らの劣等感も付随してると思うんですけど
ある種の自暴自棄ですよね。
でもそこに陥ったからこそ見えることもあるし
そういう状態に陥るのは何も悪い事ばかりじゃない
むしろそんな時にはとことんまで落ちてしまえば良い、中途半端にへコむとそれが持続しちゃうから。
それで取り返しの付かない事になるよりかは
何度も落とし落とされ
その度に這い上がって。というのは個人的な持論なんで
そんな意志が込められてます~って訳では全然ないんですけど
時には抉る事が救いになる事もある、と。
そういう曲だと感じてます。





単純に歌詞云々の前に、ロックンロールとして抑揚が良い具合に付いた刺激的な楽曲として鳴ってるので
一人で部屋で気分を盛り上げるのにも適しているかもしれません。
取り合えずサビの畳みかけは何時聴いてもグッときますね。