そろそろ終盤。THE NOVEMBERS「To(melt into)」全曲レビューその6「二ールの灰に」です。
6.二ールの灰に
全9曲とは言っても約50分のアルバムな訳で
なんとなくTheピーズの「とどめをハデにくれ」を思い出しますね。
或いはブッチャーズの「yamane」か。
そんな後半の始めの一曲がこの「二ールの灰に」、です。
【正しい国で苦しいわ】
多分、生きてる内に出せる本音ってほんのちょっとしかなくて
それを出すか出さないか
言うか言わないか。
とは言っても、結局保身やなんのかんのありますから、そんな本音なんて
隠しながら
我慢しながら生きるのが常って言うか業って言うか。
ただ・・・だからといってそれが全く出せないのもそれはそれでストレスが溜まりますし
大人になったとはいっても
本当の意味で大人になったとは言えないですから。
そこはもう何かで発散するしかないんですけど。
そういう時に
音楽の中でこういう本音が出てくると、何か嬉しいって言うか
ウソつかれて気分良くなるよりも
本当の事を歌って
そこでリスナーとしてちゃんと会話したいっていうか、そういう欲求があるんです。
そういう観点から聴くと、この曲は合格も合格で
聴いてて色々考えるし
普段その色々は中々口に出せない分、その・・・快感みたいな作用はありますよね。
いってしまえば単なるわがままに過ぎないんですけど
でもそれで救われる気持ちっていうか
無理に本音を隠す必要もないって、個人的には思っているので。そりゃあ気持ちも楽になりますよね。
楽になるっていうよりかは、ある種の鬱屈が解放されるって事なのかな。
それは言いたい放題であればあるほどいいんですけど
その観点から聴いてもこの曲は相当ですね。
入り口は出口で
出口は入り口で。
何かを止めても、放棄しても何も変わらずに
抜けたら入り口が
くぐったら出口が待っているだけ。そんな苦悩だとか戸惑いだとか
そんな感情の渦から回避するのは不可能に近いけど
その中でどう動くか
そんな自分の気持ちの折り合いをどう付けるか。その一つの方法がこういう共鳴による安らぎっていうか
シンパシーの獲得っていうか。何もかも仮初で嫌になったとしても
出てもまた仮初なんだから
もう少しそこで頑張ってみるのもまた一つの手だとか、そんな考えも浮かんだり
感受性に大きく作用してくれる楽曲の一つですね。
アレンジも不穏で
ボーカルもシャウト気味、と、この中では盛り上がりの部分を担うような楽曲です。
まあ歌詞は当然シビアなんですけど、それがもたらす効果も相応なので。
【選ぶか選ばないかだけ】
何気にこのフレーズが一曲目の「リセットボタン押す馬鹿が~」って部分に繋がってるような気がして
そこで出口選んでも、次はまた入り口なんだからしょうがねえじゃねえか、みたいな。
そういう楽曲同士のリンクを探すのも楽しい作品群ですね。