心と神経の哲学/あるいは/脳と精神の哲学

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大地震について思うこと

2020-03-01 11:00:50 | 日記

今年の1月17日は阪神淡路大震災が起こってから21年目の日であった。

その日の夜にCATVを観ていたら3時間に渡って今後起こる大地震について分析する番組をやっていた。

日本はもともと世界有数の地震国であり、断続的に数々の大地震に見舞われてきた。

これついては、寒川旭著『地震の日本史』(中公新書)が的確な概観を示してくれる。

江戸時代や明治期にも大きな地震が多数あったが、日本人の誰もが知っている国内の大地震となると、やはり大正期の末に起った関東大震災である。

これは死者10万人超の国内最大最悪の災害であり、これを凌ぐものは未だ現れず、また過去にもない。

ただし、1923年の関東大震災を直接体験したり、その報道をリアルタイムで聞いた人は、もはやほとんどいない。

それゆえ、近年起こったものからいくつか挙げるとすると、まず1995年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災の二つが突出している。

昭和期以後でそれ以外の目立つものとしては1948年の福井地震とか2004年の中越地震などが挙げられる。

また、2011年の大震災における津波の被害地区、つまり岩手と宮城の太平洋岸は大正期から数十年おきに20m超の大津波に襲われている。

ところが、この地区の住民は「天災は忘れたころにやってくる」という教訓を忘れ、繰り返し津波の犠牲になってきた。

現在の東京とその周辺の住民も同じである。

神戸の大震災の惨状を目の当たりにしてビビりはしたものの、それから19年経っても起こらないとなると、みんな何食わぬ顔である。

私などは小学生のときに大地震を経験し、死にかけたので、地震の怖さは体で知っている。

これは1968年の十勝沖地震であり、公表された震度が5の縦揺れであった。

しかし、実際は震度6あったと思う。

とにかく縦揺れはこわい。

関東大震災も阪神大震災もすさまじい縦揺れであった。

そして、福井地震もそうである。

この三つに共通するのは、どれも震度7ということである。

実は福井地震のときには震度は6までしか想定されてはおらず、福井地震は最初震度6と発表されたのである。

その後、地震学的見地から再検討して福井地震は震度7であった、と修正され、新たに「震度7」が設定されたのである。

阪神大震災の惨状は有名なので、ここではあまり知られていない福井地震の一場面を寒川氏の前掲書から引用しつつ紹介しよう。

 

 「1948年6月28日。福井平野はどんよりした雲に覆われ、蒸し暑くて息苦しい日だった。午後4時13分、地鳴りとともに大地が激しく揺れ始めた。道を歩く人は地面に倒れて這いつくばり、屋内の人は壁にたたきつけられ、家並みは土煙とともに倒れ落ちた。福井市の中心にあった鉄筋7階建ての大和デパートは、真ん中の柱が折れて東半分が20度近く傾いた。・・・・家の下敷きになったままで炎が迫り、助けを求めながら焼死する人が相次ぎ、梁にはさまれた腕を鋸や鉈で切断して助け出された人もいた。火の勢いが強くて近寄れない肉親や知人に避難を勧め、「さようなら」の言葉を遺して炎に包まれるなど、市内の建物の8割が全壊して2000棟近くが焼失した。福井・石川両県の死者は3769人に達した」(p.233-234)。

 

もはや理屈はいらない。

ただ次のくだりを何度も読み、心に刻み、肝に銘じ、絶対忘れず、死んでも忘れず・・・・・・・

うっ、涙がこみ上げてきた。

とにかく、次のくだりだよ。

 

「梁にはさまれた腕を鋸(のこぎり)や鉈(なた)で切断して助け出された人もいた」。

 

腕を鋸や鉈で切断するんだよ・・・・麻酔もしないで。

それと、

 

「火の勢いが強くて近寄れない肉親や知人に避難を勧め、「さようなら」の言葉を遺して炎に包まれるなど」・・・

 

「さようなら」の言葉を遺して火に包まれるなんて・・・・・

あまりに悲しく切ないじゃないか。

とにかく、近いうちに首都圏でこれに類した惨状が再現される可能性は極めて高いのだ。

それを肝に銘じるためにも福井地震の惨状を画像で観ておこう。

まず、大きく壊れた大和デパート。

これは福井地震のシンボルとなっている画像であるが、復旧期のものなので、リアルタイムのものも観ておこう。

とにかく、都市型大地震は火災が怖い。

こんなふうに倒壊した木造家屋の中から腕を鋸や鉈で切断されて助けられた人がいるんだ・・・・・・・・・・・・

 

東京大地震は差し迫ってるぞ!!

  

 

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