新著『人生哲学的短編小説集』をAmazonのKindle版として今日、出版しました。
この本『人生哲学的短編小説集』は、人生の意味への問いかけを臨床哲学の観点から短編小説化した作品から成っている。それは猫も興味をもつ生命への深い関心によって裏打ちされている。カバーの画像の猫の眼差しは一見、怒っているように見えるが、実は人生(猫の一生)についての深刻な感慨を表しているのである。それゆえ、この短編小説集は人間と猫のどちらにとっても非常に興味深い内容となっている。
この本に収録された10篇の短編小説のタイトルと、それが示唆する人生哲学的問題は次の通りである。
1 「昔はよかったなー」を馬鹿にする「常に前向きな阿保」(人生は積み重ねだ)
2 幸福の否定と自然への還帰(幸福主義は偽装した快楽主義だ)
3 哲学とは「無我の境地」を軽蔑することである(無我の境地は滅私奉公に導くための方便だ)
4 人生論と精神医学(精神医学には人生哲学が必要だ)
5 恋のために捧げるのは「儚い命」か「果てない命」か(野暮と粋の違い)
6 生命の尊厳を偏屈に尊重した自殺者の話(向上心のない自尊心の歪んだ生命観)
7 或る阿呆の必勝(芥川龍之介は人生の勝利者だ)
8 ニヒリズムだとか何とか言って(ニーチェ崇拝者の下衆な心)
9 「末期がんの苦痛から36歳で自殺した自称・人間合格者」と「健康長寿を満喫した『人間失格』の愛読者」(人間合格者の哀れで悲惨な末路)
10 不死鳥よ、君自身にではなく自然に還れ(不老不死の否定による究極の人生哲学)
この10編の短編小説は非常に読みやすい。読者はこの小説集を一気に読み終えるであろう。人生の意味へとの問いは限りなく難しいが、短編小説によって象徴的に表現されると、意外と分かりやすくなる。死の問題もまた然り。読者は生と死の葛藤、人生の不可解な意味を考えるための貴重なヒントをこの短編小説群から得るであろう。
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