いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

船長人質問題(その2)と風のたより。 hostage,reliance of wind

2010-09-26 19:33:44 | 日記
 (1)国内問題と国際問題の基本的な違いは、「利益」、「不利益」の価値観の識別、区別、
共有性の判別だ。国内問題では国民の「利益」、「不利益」の価値観は相互に「共通」して
矛盾はしない。
 国際問題になると、国の「利益」、「不利益」は相互に「共有」してパラドックス(paradox)
として利益は「不利益」に、不利益は「利益」になることが前提だ。利益、不利益のインター
セクション(intersection)化だ。
 見誤ると双方引くに引けない共有主張のエスカレートで、全面対峙となるのは必至だ。

 (2)尖閣諸島近海の中国漁船と日本巡視船の衝突事件で、日本の排他的領海内事件と
して中国人船長を逮捕勾留して日本は国内法にもとづいて対処する方針を重ねて表明して
きた。
 これは、国際紛争を解決するための戦力を保持しない日本が、世界でも有数の軍事国家
を敵に回して、法的対応という「人質(hostage)」をとって対抗する国際構図だ。

 法律解釈上、人道上、真実があるとすれば主権国家として当然の正義、公正、公平観に
もとづく政治行動であることには異論はない。国内問題をことさらに強調して、上述のとおり
外国人の国内での不法行為という国内問題だけの事件事例であれば、これで済む問題だ
った。

 (3)しかし、事件事例は領土問題を双方が主張し抱える海域での、世界有数の経済成長
国で軍事国家の中国を巻き込んだ国際問題なのだ。
 国際問題は「利益」、「不利益」を相互に共有し、当初事件の対応、取り扱いには相互の
「利益」の一致点に向けて外交交渉が不可欠である。

 特に、日本の政治風土、理念から、国際紛争を解決する方法として、「外交交渉」しか持
ち得ず、初期対応の分析、解析力、解決シナリオが重要だった。
 世界有数の経済成長、軍事国家を相手に「人質(hostage)」をとってまして時間をかける
やり方は、相手を謝罪や賠償要求までエスカレートしての過度に刺激する以外のものでは
なかった。
 たとえ国内法にもとづく不法行為としても、法的対応という「人質」以外に制裁選択の方法
はある。

 真実、原理とはかけ離れている事実との矛盾は抱えつつも、国際関係というのはそういう
ポーズ「空虚」の中に「現実」が浮遊しているものでもある。
 この問題の日本政府と中国政府の対応には、ともに失望する。

 (4)無罪判決を受けて厚労省に再登庁する元局長の「はじける笑顔」には、本当によかった
と思える。そのことに何も異論はないが、特にメディアに登場するこの問題に対する厚労省と
元局長の「よかった、よかった」一辺倒には、随分大人げなくて、事実認識の甘さばかりが映
る。

 それでは事件はどうして起きたのか。事件の発生を組織としてチェックできなかった非機能
性についての社会的責任は、厚労省と現場責任者の元局長にはあり、事件は公判中とはい
えその説明責任(accountability)、情報開示(disclosure)がまったくなされていないからだ。

 (5)米大リーガー、マリナーズのイチローさんが10年連続200本安打の大リーグ新記録を
24日(日本時間)に達成した。折しも国連総会がニューヨークで開催されて、日本、中国他
世界の政治リーダーが集まっていた米国での日本人大リーガー、イチローさんの記録達成だ。

 少しは日本人の能力も世界にアピールできたはずだ。10月にはノーベル賞発表も控える。
そういうところからでも、すこしづづ、政治の貧困を回復していくしかない。

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