(1)何か、何か日本が「うわついて」(unsettled japan)いる印象を持つ「日」になった。「ひとつ」は、衆院選に合わせて実施される最高裁裁判官の国民審査で裁判官の氏名を印刷した投票用紙を投票日までに各国に送付できない理由で在外邦人が投票できないことが違憲か争われた裁判で、最高裁は憲法15条(公務員の選定、ひ免を保障)に違反すると初の違憲判断を示した。
(2)在外邦人も衆院選と同じく投票する国民審査で国民審査だけは投票できない国民の権利の不釣り合いがあってはならずに、衆院選挙は国政運営で結果が遅れる不利益は回避すべき理由はあっても、最高裁裁判官の審査は少々後になっても国政ほどに不利益はなく、投票用紙の送付が間に合わないは理由にならない。
こんなことが今頃争われて、最高裁で違憲の判決が今更でること自体理解できない国民固有の権利保障の問題だ。真面目にニュースのトップを飾るほどのインパクトはない。
(3)「次」が大阪地裁で森友決裁文書改ざんに関与して自決した職員の妻が当時の佐川理財局長に損害賠償を求めた訴訟で、佐川氏本人の尋問の申請を「採用しなくても判断は可能で、不必要」(判決要旨)として他の4人の財務省幹部ともども全員の証人尋問が認められなかった。
(4)海外に比較して長いといわれる日本の裁判事情に司法は裁判の迅速化を目指しており、そうした一環とも受け取られるが森友問題は当時首相として妻の関与が疑われて安倍元首相が国会で121回に及ぶ虚偽答弁をしたことがわかっており、佐川氏も国会で証言を拒否して「具体的な指示内容はわかっていない」状況で、指示を受けて改ざんに関与して自決したとみられる元財務省職員の妻からの損害賠償では「具体的な指示内容」の解明が争点でもあり、しかし大阪地裁は本件訴訟で関係者はすべて無罪の判決を受けており今回訴訟では「(尋問は)不必要」との判断をした。
(5)安倍元首相の国会での虚偽答弁に佐川氏の証言拒否で何もわからない中での尋問不必要の決定だ。冒頭「ひとつ」めの問題(最高裁裁判官の国民審査)につながるが、近年の裁判の判断、判決が政府に配慮した判決が多くみられてあってはならない権威主義におもねる司法、裁判官の姿勢が問題だ。
(6)最後はうわついた「きわめつき」で、沖縄の玉城知事が県庁での基地問題の有識者会議で何を思ったかいきなり「ゼレンスキーです」(報道)と発言して、すぐに「冗談です」と打ち消した問題だ。
公務会議の中で露の不条理な攻撃にさらされているウクライナのゼレンスキー大統領の窮地をかえりみずに意味、理由不明の会議冒頭の「ゼレンスキーです」発言は、沖縄とウクライナの置かれている同じ立場を強調したかったようだが、本人がいうように「冗談」ではすまずに日本の「うわつき」を象徴する結果だけになった。