いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

ぎこちない日独関係。 clumsy relation between japan and germany

2015-03-10 19:39:21 | 日記
 (1)ドイツのメルケル首相が来日している。7年ぶりの来日でその前回もG7洞爺湖サミットでの来日だったから、日独2か国関係での来日は極めて少ないといわれている。逆にいえば日本の首相のドイツ訪問というのもあまり聞いたことがない。

 今回の来日も6月にドイツで開催されるG7サミットでの議題確認、説明の主旨の強い来日といわれている。昨日の来日後、メルケル首相は精力的に都内の先端的産業施設をひとりで視察したが、メルケル首相の意向なのか夜の首脳会談を控えての儀礼的なものなのか、先日の英国ウィリアムズ王子来日の時には東日本大震災被災地訪問に安倍首相が同行したのとは違いがあきらかだった。

 (2)メルケル首相は中国との経済関係強化を重視してこれまで度々中国は公式訪問しており、日本との対応の違いが明らかとなっている。日本もEUとのつながりでは仏、英とは結び付きも強く知日派首脳との協力関係もあり良好だが、同じ西側主要国同士のドイツとなるとなにか距離感を感じさせる印象がある。

 ドイツと日本は第2次世界大戦ではイタリアを含めて3か国軍事同盟として、米英ほかの連合国側を相手に戦争状態となりともに敗戦を迎えた歴史がある。その後経済成長を果たしてドイツはEUの主要主導国として存在感を示し、日本はアジアを代表するG7主要国として米国の重要なパートナーとなってともに似たような伝統観(a view of tradition)、歴史観(a view of history)を歩んできた。

 (3)似た者同士でしかも過去の苦い戦争歴史を共有し抱える国柄から、両国が接近することが国際的注目、警戒感を喚起する自制力が働いているのか国民性なのか、どことなく日独関係はぎこちなさ(clumsiness)がつきまとう。

 原発政策でもメルケル首相のドイツは東日本大震災による福島第一原発事故を受けていち早く「脱原発」(withdraw from atomic power plant)を宣言して、再生可能エネルギー政策に転換をしている。
 福島第一原発の事故収束もままならない中で経済界寄りの「原発再稼働」(reoperation of atomic power plant)を将来エネルギー政策のベースロード電源として位置付ける安倍首相とは考え方の違いがあきらかだ。

 (4)今回のメルケル首相の来日が6月のG7議長国としてのドイツの立場の理解、説明が中心ということもあり、昨日の首脳会談で「原発政策に関する議論はなかった」(報道)といわれており、中国経済市場に接近するメルケル首相、ドイツの政策上の立場から中国に配慮して日中韓の歴史認識問題に関する言及もなかったといわれている。

 日本が抱える政治的懸案事項に関して言及しない西側主要国同士の首脳会談としては極めて儀礼的で中身の乏しいものに終わったようだ。

 (5)首脳同士の立ち居振る舞いは衆目を集めて注目度も高く、昨年11月の日中首脳会談前の安倍首相と習主席とのあいさつでの現状関係を示す不自然な態度のとおりあらわれて、メルケル首相と安倍首相の間にも儀礼優先的なものを感じてしまうものだ。

 こちらが受け取るそれぞれ(似た者同士)の国民性のあらわれでもあるのだろうが、少なくともメルケル首相と安倍首相の理念の間には「脱原発」と「原発再稼働」の違いが根本的に横たわることは否めずによそよそしく、当面は国連安保理常任理事国入りを目指して協力、競争することになる。

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