(1)今年の春闘は大企業の集中回答日に昨年の5%超を上回る満額回答続出(報道)となった。円安と異次元物価高が続いて大企業中心に企業利益が好調となり、さらなる賃上げに向かっている。企業が高い賃上げができるのは企業従業員への投資効果になるが、国民、消費者からすれば高い賃上げができるぐらいなら物価を抑えてほしいというのが本音だ。
(2)政府、日銀も賃上げと物価高の好循環でデフレ脱却、利上げに転換する機運とみており、政府が異次元物価高に有効な対策を打ち出さないでいるのではないのかと思いたくなる。昨年、今年と春闘での5%を超える高い賃上げ情勢だ。
企業も少子化対策で人材確保が課題となっており、賃上げをしない企業には人材は集まらないという意見も聞かれる労働者にとってはいい傾向だが、エネルギー、コメ、野菜、卵と軒並み品不足に物価高で高令者にとっては厳しい生活環境にあり、政府、日銀には円安、物価高解消に向けて有効な経済、金融政策を求めたいところだ。
(3)企業は内部留保も数百兆円とさらに増え続けて将来投資、設備投資に向けてのものであっても、円安、物価高による経済効果、自然利益(為替利益)をあまりにため込み過ぎている話だ。賃上げも必要だが企業としても異次元物価高を抑える対策をして物価高に苦しむ国民、消費者に応えることも必要だ。
賃上げは人材に対する累積的投資で負担が続くが、物価高抑制は時限的、限定的な対応で負担はいつまでも続かない。企業も社会的責任を自覚すべきだ。
(4)コメは需要増を見込んでの国内外の投機筋が買い占めをしていることが、異次元のコメ不足、物価高騰を招いているとみられており、政府、JAとしても流通経路、投機事情を把握していないことが異次元のコメ不足、価格高騰を招いている。
政府としても世界的な日本食ブームで農産物の輸出が目標を超えて数兆円となりさらなる輸出増産を目指す方針だが、米国トランプ政権からは日本のコメ高関税の指摘もあり相互関税でコメ不足の中で価格高騰をさらに押し上げる懸念も考えられる。
(5)高い賃上げ率も物価高騰でマイナス成長となっては社会的効果、国民生活への負担軽減にはならず、企業としても異次元の物価高を抑える限定的な対策の必要性は高い。