(1)トヨタの系列複数企業のデータ操作認証不正で国交省から形式取り消し、出荷停止を指示され、トヨタの豊田章男会長(前社長)がおわび会見をした後日のトヨタの24年3月営業利益が4兆9千億円でこれまでの最高利益2兆3千億円(22年)をはるかに大幅に塗り替えたのは皮肉なニュースだった。
(2)豊田会長のおわび会見ではこれからは実権を現場に戻すと述べたように、本社主導により系列、下請け企業に部品開発、製造ノルマを課して「現場」では大きな課題を抱えて対応できずにデータ操作による認証不正を重ねたとみられて、本社指示の系列、下請け企業の「能力を超えたノルマ」指定によるへい害が出たものとみられる。
(3)トヨタには以前、米国自動車産業との世界市場競争に対抗するために下請け企業に対する部品価格統制、締め付けが厳しいとの評価があり、下請け泣かせによる世界販売戦力でもあった。
今回の系列企業の認証不正もトヨタ本社主導による能力を超えたノルマ指定が原因(豊田会長が現場に実権を戻す発言)とみられて、躍進する中国の経済、自動車製造販売を意識してのものだろう。中国は23年実績での新車輸出台数で日本を抜いて初めて世界一を達成し、プラグインハイブリッド車は80%増という産業成長をみせている。EVも25%増と堅調を維持している。EVで大きく中国に遅れをとる日本、トヨタとしては環境時代、次世代に向けて巻き返しが命題でもある。
(4)日本の政治も自民党派閥パーティ券裏金問題で議員逮捕者を出して自民党の派閥解消の動きにつながっており、議員のパーティ券販売ノルマの超過分を当該議員にキックバックして収支報告書に記載せずに裏金として活用していたもので数年間で総額数億円の裏金蓄財とみられる。
こちらは議員の政治活動よりパーティ券収入ノルマを超える「集金能力」の高さをみせて報奨としてのキックバック裏金操作だ。
(5)能力を超えたノルマ(自動車産業)とノルマを超えた能力(政治)の経済と政治のアベコベの実態だ。