いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

カストロの本心。 Castro's true mind

2016-11-28 20:00:13 | 日記
 (1)政治にさして関心のない人でもキューバのフィデル・カストロ前議長(90)の名前ぐらいは知っているという「カリスマ」(charisma)が25日に亡くなった。
 キューバ革命は歴史上の出来事としてしか知らない世代では、革命運動とその後の国内独裁統治の実態については詳しくはわからないが、反体制派が弾圧されて米国に亡命する数が多くて相当の荒治療をしたことだけはわかる。

 親米派の前政権を民衆ゲリラ革命を指導して打倒してキューバに社会主義国家を樹立したのだから、国内統治作用として相当の覚悟、荒治療は必要だったことはうかがえるところだ。

 (2)米国とは海を隔てて150キロしか離れていない「のど元」キューバに社会主義革命を起こして米国に対峙するということ自体が相当の荒治療だった。
 米国もその後ケネディ大統領時代にキューバ侵攻作戦を実施して失敗に終わっているが、「本気」でキューバ攻略を考えたならば、当時の圧倒的な軍事力からして可能だったと思えるが、そうはしなかった。

 米国ののど元の社会主義革命国家とはいえ、小国で資源も豊富というわけでもなく、米国が「本気」で握りつぶすほどの国ではないとの見下し、見放した認識でもあったのではないのか。

 (3)結局、米国はキューバ経済制裁を長く続けて、しかしキューバは当時の共産、社会主義のリーダー国であるソ連の援助、支援を受けながら米国とは両雄並び立つような奇妙な対立、両立関係を築いてきた。

 米国からすれば150キロ目の前の小国であり、経済制裁で身動きとれなくなって何とでもなるという打算と、キューバからすれば音楽とスポーツを好む陽気な国民性が奇妙な対立、両立関係を可能にしているように思う。
 
 (4)その奇妙な対立、両立の米国、キューバ関係(米国の経済制裁にも破たんしないキューバ)が微妙な政治バランス、関心、興味を演出してカストロ前議長をさらにカリスマに押し立てていると考える。

 国内的には米国による経済制裁の中で医療、教育の無料化を推し進め、社会主義理論を実践して医師の数は日本の数倍はいると報じられている。経済、生活は苦しくても国民的支持、人気、信頼を得る要因ではある。

 (5)強烈な演説で反米主義を唱えながら、目の前の米国に対しては表立って実力行動に出るわけでもなく社会主義国家を指導、維持してきたカストロ前議長のドグマ性(dogmatics)が国際的には反米思想の象徴として高い人気、カリスマ性を維持してきた。

 (6)08年には病気になったこともあり、権力、権限を弟のラウル・カストロ氏に委譲して社会主義革命国家キューバの将来に道筋をつけたことは、社会主義独裁者としてだけでない統治、政治指導者としての卓越した先見性(foresight)、能力を示したものだ。

 その後キューバは集団指導体制に移行して、15年7月にはオバマ大統領の米国と国交正常化を進めてカストロ前議長はそれを見届けるように25日に亡くなった。

 (7)米国との国交正常化はカストロ前議長の意向、意志なしにはあり得ずに、米国の長年の経済制裁に屈しなかった意志、革命精神の勝利としての米国との国交正常化だったのか、他の共産、社会主義独裁者とは違った統治、政治指導者としてキューバの将来を見越しての現実的な置き土産、遺産だったのか、革命家の本心(Castro's true mind)が聞きたかった。
 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高年令者の運転事故。 a traf... | トップ | トライアングル(三つ巴)裁... »

日記」カテゴリの最新記事