(1)黒田東彦日銀総裁が年度末としては過去最大の国債保有残高581兆円を「置き土産」に8日退任した。日銀の超低金利策により政府の増え続ける借金財政を日銀が大量の国債買い入れで支えるだけ支え続けて、「さまざまな効果を上げた。政策運営は適切だった」(退任会見)と総括した。
(2)やはり黒田日銀総裁の「10年」は長すぎた。当初は円安株高効果で大企業、富裕層に恩恵をもたらして格差社会のなか経済回復効果はみられたが、徐々に円安は物価高を招いて対応、対策に追われる政府の借金財政を増大させて国民生活を圧迫し、負担増を招いた。
(3)黒田総裁が主導した大規模な金融緩和策は副作用(harmful aftereffects)が顕在化しだして、黒田日銀10年の間には見直しの時期もあったが当初の政府と日銀の共同声明による物価目標2%達成にこだわり続けて機会を失い、黒田総裁10年の遺産は急激な円安、大規模な物価高、国債581兆円の大規模な「副作用」だ。
(4)それを引き継ぐ植田和男新総裁は金融市場の混乱を防ぐため金融緩和策は継続する意向を示しているが、日銀の過去最大となった国債保有残高の解消に取り組まなければならない重い課題がある。
安倍元首相がいなくなり、黒田総裁も退任して大規模金融緩和策の推進責任者がいなくなって、残された「副作用」の賃上げが物価高に追いつかない国民投資(税負担)者への重さだ。
(5)その最中、国会では参院法務委員会での政府提出法案(裁判所職員定員法改正案)に対して、立憲党は衆院で反対して参院でも反対のところ同法務委員会採決で立憲2名(筆頭理事)と社民1名(党首)の議員が与党議員らとともに「賛成」に挙手(報道)してしまい、同法案は賛成多数で可決されたという。
(6)立憲など野党議員は「反射的に手を挙げてしまった」(報道)と勘違いをしたと詫びた。国会委員会の議論に集中していない議員の集中力を欠いたいいかげんさがみられて、よりによって与党議員に合わせて本来反対すべき野党議員が何も考えずに「反射的に」賛成に手を挙げるとは国民投資(税負担)者、有権者としては税金を返せと言いたいところだ。
(7)国会はすでに解散総選挙モードの「副作用」に入っており、心ここにあらずということか心もとない。