(1)北朝鮮の金正恩総書記の妹の金与正党副部長が15日に拉致問題は解決済みとして「両国関係の障害物として捨てるなら~岸田文雄首相が平壌を訪問する日が来るかもしれない」(報道)と述べたと朝鮮中央通信が報じた。
(2)新年には金正恩総書記名で能登地震の見舞い電報が発信されたとの報道もあり、日朝関係に変化の兆しが出てきたのかとの期待も持たれたが、冒頭の報道された金与正談話では従来の立場を主張しただけのことでそれでは北朝鮮が何のために岸田首相は平壌を訪れる日が来るかもしれないと、北朝鮮国家指導部が関係改善のためのいかなる構想も持っていないとしながらわざわざ「個人的見解」だとして述べたのか、何か含みのある発言のようにも聞こえる。
(3)表面的には北朝鮮は韓国との対立を強めており、憲法に韓国を「主敵」として記載して対決姿勢をエスカレートしており、正月の日本への金正恩名の見舞い電報が金与正談話で緊密性を強める日韓関係に横ヤリ、クサビを入れるものであることを示すものとなった。
金正恩名の能登地震見舞い電報発信では自然災害被害への見舞いということで、日朝関係への何らかのそれは拉致問題へのアプローチにもなるのではとの期待、進展、変化がみられるのではとの憶測も考えられた。
(4)一般的には「接触に何の関心もない」個人的見解という金与正談話で関係改善を否定しておいて、日韓関係への横ヤリ、クサビが主目的であったと思わせる意図もみえる。日本政府は拉致問題解決に向けて最近になって岸田首相が前提条件なしに金正恩総書記との話し合いに応じる発言が聞かれて日朝間で何らかの接触があるとの見方もあり、進展が期待されたが、それへの北朝鮮側の「ひとつ」の見解、回答、シグナルともいえる金与正談話の内容だった。
(5)ただし、これは「第1幕」と解釈すべきこととも考えられて、北朝鮮側としてもいきなり日本側の意向に沿った対応を示すわけにもいかずに個人的見解とする金与正談話の原則論で一旦突き放しておいて、日本政府側の反応を見守るあるべき方策ともいえる。
要するに北朝鮮側は従来からの方針を超えた見舞い電報、判断、談話で日本側のさらなる反応を探る腹積もりに見えて、これからみえるのは日朝間で何らかの接触が潜行して進んでいるとも考えらえるものだ。北朝鮮がシグナルを送った(north korea transmit signal)。