いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

「新しい資本主義」の変容。 mutation of `new capitalism'

2024-02-01 20:32:57 | 日記
 (1)岸田首相が3年前の首相就任で岸田理念としてブチ上げたのが、それまでの大企業、富裕層優遇の経済政策から転換としての「新しい資本主義」の「成長と分配の好循環」で厚い中間層をつくり出すことだった。

 (2)今年の岸田首相の施政方針演説では『賃上げと投資がけん引する「新しい資本主義」を実現し』だけの表現にとどまって、これまでの「成長と分配の好循環」から踏み外して変容し、むしろ安倍元首相の成長論のアベノミクスに傾倒した姿勢、方向転換がにじむものに変わっていた。「新しい資本主義」は残して中身は3年前の「新しい資本主義」とは異質の「賃上げと投資」の成長論だ。

 (3)同じ「新しい資本主義」はそのまま使って岸田理念の変わらない継続性を認識させながら、中身は「成長と分配」ではなく成長論主体の「賃上げと投資」に変えられていた。「成長と分配の好循環」は経済学者トマ・ピケティが「21世紀の資本論」で格差社会を変えるためには世界的な富裕層への一斉の課税強化が必要だと説いて、バイデン大統領も富裕層への課税強化に意欲を示して厚い中間層を生み出す経済政策の必要性を主張していた。

 (4)岸田首相も当初は金融所得資産の課税強化を打ち出しながら、経済界、市場から反発を受けるとすぐに取りやめるという主体性のないものだった。今回の岸田首相の施政方針演説では「新しい資本主義」が変容して、わずか20文字程度ですませて、岸田首相の前政権との基本方針、政策の違い、岸田色、理念、政治を打ち出したはずのものが、これでは岸田首相が国民に政治、社会が変わる、動くとみせかけてこれまで何をやってきて、これから何をやろうとしているのかわからない、ただ教科書的な考えられる問題、課題の「ら列」でしかないいつものことといえばいつもの施政方針演説だった。

 (5)岸田首相としては場当たり的にその場の場で懸命に対応、取り組んでいるのだろうが、岸田政権としての一体性、総合力、複合性が見られずにこれで新年早々からの能登地震復旧、復興、派閥裏金問題の解決のパラレルな進行の大きな問題、課題に国家、社会、国民の期待に応えられるのか考えなければならない。
 

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