いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

バンクシーの謎論。puzzle of Banksy

2022-12-06 20:43:30 | 日記
 (1)キーウ近郊の爆撃により一部破壊した建物の「正体不明の芸術家」バンクシー(Banksy)のものとみられる絵画が描かれた壁が何者かにはぎ取られて、複数の「容疑者が拘束」された。
 報道によると容疑者は「売却して利益をウクライナ軍に寄付したかった」と話しているというが、バンクシーの作品となれば世界各地で発見されて注目を集め、有名になり高値がつくことは理解できる。

 (2)こういう不当利益を得ることは放置できないが、報道では「絵を盗もうとした人たちによってはがされた」と書かれているが、街角の建物に書かれた絵は建物所有権者が画材として書くことを認め、一定の芸術的価値が守られているということならわかるが、知らない間に他の所有権者の壁に書かれた絵がバンクシーの作品だからといってそのまま著作権が法律で保護される対象なのか、もちろんそれで他人が利益を得るということになれば別問題だが、そうであるならそういう趣旨が周知され、保護するための措置がなされるものでなければならない。

 (3)バンクシーが誰にも悟られずに街角であのような絵を描けるのは、理解がむずかしい。著作権に関わる大事な問題だ。どんな名匠、芸術家の作品でも勝手に他人の建物に絵を描くという行為は法律上は器物損壊罪であり、それを「盗もうとした」容疑者というのはそれだけで犯罪性があるのかは判断、理解がむずかしい。

 (4)今回はバンクシーの絵が描かれた他人の建物の壁をはがして「盗もうとした」ということで、こちらも判断がむずかしい「盗もうとした」以前の器物損壊罪で違法性はある。バンクシーの作品となればさぞかし高値の取引きになることが想像されて、街角の作品といっても権利関係上何らかの保護、規制が必要になるだろう。
 
 (5)こういう不思議な芸術家がいてもいいが、仮にそうなら勝手に描かれて困る建物所有権者はいるだろうし、世界的に注目、話題性、芸術的価値のある作品を勝手に処分、措置することも気が引けるところもある。
 
 (6)これまで紹介されているバンクシーの街角作品内容は反戦、環境、社会問題に根差した、機知(esprit)に富む、訴える内容で芸術的価値にとどまらない社会的影響力のある表現主義(expressionism)にあふれている。
 

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