(1)寅年は縁起担ぎの相場では「寅千里を走る」といわれて、上昇に期待が集まる。近年の株式市場は大企業、富裕層に恩恵が集まり、中小企業、国民にはあまりありがたくない格言で、今年1月1日からは日本や中国、ASEANなど15か国が加盟する地域的な包括的経済連携協定(RCEP)が発効した。
(2)経済安全保障時代にTPPなど相互関税撤廃による自由貿易(free trade)協定が続くが、RCEPは域内人口が世界の30%を占め、日本の輸出は19年比5.5%伸びて域内貿易額は約5兆円弱増えると試算(報道)されて、日本のGDPを2.7%押し上げると見込まれている巨大経済圏の誕生だ。
自由な経済活動の中でデジタル社会に必要なデータが自由に流通できるようにするとともに「域内進出した企業にその国の政府が技術移転を求めるのを禁じ」(同)て知的財産権の保護にも配慮した。
(3)日本が主導したTPPは本来RCEPに加盟しない米国との自由貿易協定を目指したものだが米国が参加を見送り、しかし英国、中国、台湾、南米国まで世界的な加入、申請、関心の拡がりを見せており、新自由貿易時代を迎えている。
輸出産業を中心に相互関税ゼロによる輸出拡大が期待される一方、安価な輸入商品が日本市場に参入して国民生活には恩恵、利益をもたらすが、競争市場の日本企業、事業、産業にとっては厳しい競争関係に対抗しなければならない。
(4)その影響は日本の農業生産により厳しいとみられているが、昨年の日本の農業輸出額が政府目標の年間1兆円を初めて超えて、日本農業の高い品質、味覚、生産、栽培、管理の潜在能力(potentiality)を示して、海外市場の競争開拓に向けての取り組みも進む効果も生み出している。
(5)新自由貿易時代を日本の本来の高い技術、開発、生産、販売力で好機ととらえたいところだが、近年の日本企業の安全性無視の長年の不正、不適合が大企業中心に次々と露呈、発覚して低下しており、国際的信用を落としているのは残念だ。
(6)米トランプ前大統領の保護主義からバイデン大統領に代わって国際協調、規律維持の期待もみられて、今年は新自由貿易時代(new era of free trade)の幕開けの新年のスタートだ。