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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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オバマ政権の8年。 8 years of obama political power

2015-10-19 19:46:10 | 日記
 (1)17年1月に退任することが決まっているオバマ大統領がここへきてあたふたとしている。米国の良心(conscience)と威信(prestige)をかけたイラク、シリア、アフガンでの外交、軍事戦略、当事国にまかせた戦争終結を大きく変更、転換する決定を行った。

 IS攻撃のために再びイラク空爆再開に踏み切ったオバマ大統領だが1年経過しても成果はみられずに、最近ではNGO病院の誤爆が明るみに出て標的無差別攻撃が国際的非難を受けている。
 シリアではアサド政権反体制派への軍事訓練を効果疑問で断念して、アフガンでは17年1月オバマ大統領退任までの米軍撤退計画を断念して任期後の17年以降も5500人が駐留する決定を下した。

 (2)ここ1年はキューバとの歴史的国交回復に日本、中国、韓国の指導者、ローマ法王を相次いで米国に招いて(訪米要請を受けてか)オバマ外交政治の締めくくりを目指していたが、自ら撤退を宣言したイラク、シリア、アフガンでの軍事戦略、任期中の戦争終結を断念せざるを得ない結果を導いた。

 オバマ大統領としては、覇権国家米国の絶大な外交交渉能力、軍事戦略能力の構想力、調整力、決断力の欠如を内外に示すもので、現在IS攻撃目的でシリア空爆に参加しているロシアの外交、軍事影響力の増大を助長し、アジアではAIIB主導の中国の経済力、軍事力増強をさらに強くする米国の外交政治の主体性のない決断だった。

 (3)イスラム過激派、IS、国際テロ組織の戦闘行動をもさらに活発化させることも懸念される。
 本来なら来年11月の次期米国大統領決定を受けて米国の政治、外交、軍事、経済戦略が大きく変わる可能性もある中で、あわてふためいたオバマ大統領の任期後も含めた戦略なき方針転換決定の印象が強い。

 オバマ民主党政権の国内財政基盤が共和党優位の議会の影響力で主体性を奪われており、オバマ大統領の政治、外交、軍事戦略(strategy)の主体的構想を大きく共和党主導に変更転換させているのではないのか。

 (4)米国内経済が堅調を取り戻している中でオバマ大統領はTPP交渉の最終合意を取り付けて世界経済のスタンダード化(standardization)の実現に近づけたが、中東、アフガン内戦、紛争調停、関与、調整ではすっかり存在感を失っているのが現状だ。

 米国のジレンマでもあり、次期米国大統領の政治的判断の重要課題でもある。イランとの核問題合意による政治、経済関係改善が米国の中東政策では重要になってくる。
 米国がイランとの関係改善を目に見えるように進展させれないと中東への影響力はロシアに移行して足場を失うことになる。

 (5)ただしイランと対立するイスラエルとの米国の立場もあり、道のりは平坦ではない。オバマ大統領が2期8年間の任期で「yes, we can」でスタートして中東、アフガンからの軍事撤退を宣言しながら、最後は再び空爆参加、撤退断念に回帰したことが、米国の失われた8年として記憶されることになるだろう。

 オバマ大統領としては高い理想主義は掲げたけれども、共和党優位の議会対策に力をそがれて、米国としても政治的、外交的、軍事的どっちつかずの主体性を失って米国の良心、威信を失墜する結果につながっている。

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