【この吊り橋を渡れば「森のお店やさん」に行けるのかな?。】
※今回の記事に、上↑の橋は全く関係無いのですが、、。
「森のお店やさん」とは、1998年に初版が発行された
児童書のタイトルである。
児童書であるが実は、現代という時代を生きる、おとなに贈る
メッセージ集であると思うのである。
林原玉枝さんの詩的で美しい言葉が、
はらだたけひでさんの絵とぴったりである。
森には、いろいろな動物たちが住んでいる。
その動物たち、実は、いろいろな「お店やさん」を
営んでいるという内容である。
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きつつきの「おとや」、たぬきの「おみくじや」。
はりねずみの「ぽけっとや」、きつねの「かげ売り」。
もぐらの「おやおやや」、かみきりむしの「空のおふねや」。
ぎんめっきごみぐもの「伝言板」。
音を売るきつつきのアイディアがとても愉快だ。
ほかにもたぬきやきつねなどが、タイトルどおり
それぞれの特技(?)を生かした
楽しいお店を開いているのだ。
ひとつひとつの話は短いのだが、
それぞれに森での
季節の移ろいも織り込まれていて、
心温まる1冊である。
この本、静かな秋から冬の夜に読むと
人間本来の心が取り戻せそうなのである。
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あみのむこうは、青い深い空。
あたらしい、銀色のあみの上に、
金色の糸で落書き。
「おはよう」
「だいすきな、あなたへ」
「とどけよう森のうた」
「あいしてる」
最後の作品では、雪の森が出てくる。
そう、雪景色である情景が浮かんでくる。
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どれもこれも、生活に不可欠ではないけれど、
なんだか楽しいお店の数々。
みんなに楽しんでもらおうと、
森の中で動物たちが、
はりきって仕事している
様子が想像できる。
でも、現代社会で忘れられたこと、
実は生きていくうえで、忘れてはいけない
大切なことを、この本は再認識させてくれる。
そう、実は生活に不可欠なものばかりなのである。
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ある方が「眠くなる本」とブログで紹介しているが、
退屈で眠くなるのではなく、
この本のような世界が、人間の世界でも
築けたら、安心して眠ることができる。という
願いを込めて掲載しているのだと思った。
実に奥深い本である。
そして何度も読み返したい本である。
【動物たちは、森の中から人間の営みを観察してるんだよね。】