JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

素をもって絢となす apres la pluie / DANIEL MILLE

2011-08-07 17:23:45 | 聞いてますCDおすすめ


このアルバムつい最近ひろいました。2005年録音ですから、随分前にでていたものですが、ずっと会わずにでも出会えたわけです。
ダニエル・ミレというアコーディオンの人はもうベテランと呼ばれる人だそうですが、どうもほとんど聴いていない。Jean-Piere Masの素晴らしいアルバム「(H)ombre」で出会っていますが、その後さがしてもアルバムの記憶がありません。残念だけど結構でているのでこれから少しづつ探していきます。
この季節、アコーディオンは暑苦しいかと思うのですが、それが実にさっぱりと美しい。
聴いていて思い浮かんだ言葉が“絢”、今日は格調高くいきます。
1曲目のアコーデオンの前奏のあと、2曲目のベースの音にまずゾクッとします。Remi VignoloのベースはAldo RomanoやBOJAN Zのところで会っている人です。
コルネットのStefano Belmondoがヒューマンなフレーズです。
“絢”と一言でいっても意味は模様でしょうか。
3曲目、素敵なベースソロにレニーニのピアノの音が涼やかで気持ちよい。
絢といえば続く言葉はなす「絢となす」化粧を美しくするということになります。
4曲目はピアソラの曲、これがとてもモダンな感じで、キリッとしたところがあります。
絢となすでたどり着いたのが「素をもって絢となす」、ここからは調べたことですが孔子の問答です。

書き写しますと、
ある日弟子の一人が孔子に訊ねます。
「古い詩の中の言葉で、美しい女性をして、
『巧笑倩たり(笑顔のえくぼが愛らしく)
 美目盻たり(目元がはっきりしている)
 素を以て絢を為す』
とありますが、素を以て絢(あや)を為すとはどういう意味でしょうか?」

孔子は答えます。
「絵の事は素より後る。
(絵を描くときは真っ白の上に描いていくものだよ。
紙が汚れていては絵にならないからね)」

その言葉を聞いた弟子は彼なりに解釈してこんな風に答えました。
「美しさの所以は素地となっている元々のものの中にこそある…。
形は後からついてくるということですか?」

弟子のその言葉を聞いて孔子はとても喜んだそうです。
「古の詩のことも君となら話すことができるね」と。

メロディはどれも哀愁あるもので、これをアコーディオンですから、華美に泣きフレーズを入れようとすれば入れられるのに、全くそれがありません。
7曲目アコーディオンは余計なフレーズがない。そこに上手く弦のカルテットやトランペット、ピアノなどが加わるのです。
「素をもって絢となす」の解釈で、簡略で機能的であるものや、余分な装飾を削ぎ落としたもののほうが、かえって美しく見える、という意味にするものがあります。
でも、もう一つ進めて、飾り(刺繍)をする前に素がある。その素が美しさをしっかり磨くことで美しく輝くということのようです。

このアルバム、無理して高尚にしてしまったために、何だか解らなくなりましたが、とても美しいアルバムなのですが、飾っっているというテクニックをさし引いて、そこに素の美しさがあるからこそと思うのでした。

格調高く 「素をもって絢となす」 です。


DANIEL MILLE / APRES LA PLUIE (abacaba/Universal Music France 983 321-1)

DANIEL MILLE (accordion, vo, accordina)
STEPHANE BELMONDO (flh, cor, tp)
REMI VIGNOLO (b)
SYLVAIN ROMANO (b)
ERIC LEGNINI (p)
PASCAL REY (ds, perc)
String Quartet
MARC AIDINIAN (vn)
VERONIQUE RAGU (vn)
CATHERINE PACHEU (va)
ISABELLE CORDIER (vc)

1&2 apres la pluie
3 Juste avant
4 Oblivion
5 La valse des adieux
6 Ouro preto
7 As rosas nao falam
8&9 Les soirs de pleine lune
10 L'ultimo giorno

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« LAからのカード3 | トップ | 現役ピアニスト100人選定... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

聞いてますCDおすすめ」カテゴリの最新記事