JOHN SMITH / MAP OR DIRECTION
「ルーツな日記」的2010年の新人賞、第1位。これはもう迷うこと無くジョン・スミスです! まずはアルバム「MAP OR DIRECTION」(写真)が素晴らしい! 自らの臨死体験を元に作ったという1曲目の「Invisible Boy」。素朴に爪弾かれるギターの音色が揺れるように滲みる。静かに歌われるジョンの歌声は暖かくふくよかで、そのふくらみに徐々に包み込まれていくような錯覚を覚える。耳を澄ませば虫の鳴き声のようなノイズ、そして風が吹き抜ける。このアルバムはジョンがアメリカ南部を旅しながら、浴室、酒場、森の中、橋の下、バイユーなど、思い思いの場所で録音して完成されたそうです。しかしそんなジョン・スミスは英国人。ジョン・レンボーンやデイヴィ・グレアムなど、英国フォークの系譜を受け継ぐ逸材なのです。彼のギターは巧みなフィンガリングによって楽曲各々の風景を繊細に紡ぎ出し、英国らしい何処か幻想的な世界を描きます。
「Invisible Boy」が静かに終わり、風音と交差するように「Hands」の力強くパーカッジヴな弦裁きが聴こえてくる。この曲での卓越したリズム表現には引き込まれますね。続く「Axe Mountain」は夫と友人を殺した殺人鬼に復習する女性の歌だとか。激しくも緊迫感溢れる歌の説得力もすごいですが、速いテンポでもアルペジオを中心に組み立てるクールなバッキングがさらに素晴らしい!鳥の鳴き声が聴こえるフィールド録音という背景もまた秀逸。(途中で銃声が鳴っているらしい。)
優しく陽性なメロディが印象的な「Another Country」、途中で鉄道が通り過ぎていくような音が聞こえる何処かノスタルジックな「The Fear, The Horror」、美しいラヴ・ソング「Swords」など、情緒豊かな曲が並びます。その一方でバンジョーがリードするマウンテン・ソング調の「Watch Her Die」や、大陸的なスライド・ギターが響く「Oliver」など、直接的にアメリカン・ルーツを感じさせてくれる曲も印象的。イングランドのトラッドという「Death And The Lady」なんかでもやたらブルージーなフレーズが顔を覗かせたり。米南部を旅しながら音に込めたその臭いと、英国らしい内省的表現とが混ざり合い、独特な雰囲気が生まれています。
死と旅立ち、恐れと希望、そういったものが表裏一体に存在するかのような神秘的な世界を感じさせてくれるアルバムです。聴けば聴く程、深みを増していきます。
で、このジョン・スミス、ライヴも素晴らしいんです! 昨年、プロモ来日を果たし、インストア・ライヴや、吉祥寺Star Pine's Cafeなどで、その深遠な世界を披露してくれました。その時の様子はこちら↓
ジョン・スミス@吉祥寺Star Pine's Cafe
ジョン・スミス@渋谷タワーレコード&六本木スターバックス
ジョン・スミスについて詳しくはこちら↓
http://www.mplant.com/johnsmith/
さて、第1位に熱くなりすぎたので、2位以降はさくっと行きます。
第2位
ZAZ / ZAZ
09年のフジロックに出演していたフランスのシンガー、ZAZです。再奥のカフェ・ド・パリで3日間歌ってたんですけど、私は2日目に観に行き、衝撃を受けて最終日にまた観に行っちゃいました。そのZAZが2010年にアルバム・デビュー。雰囲気的にはシャンソン+ジプシーのような感じでしょうか。とにかくハスキーながら突き抜けるような歌声に痺れます。スウィンギー且つ情熱的なライヴはもっと凄い!
第3位
ROX / MEMOIRS
来日公演は行きそびれましたが、個人的にはかなりツボに入ってます。今時のバキバキとした商業的なR&Bとは明らかに違う質感が良いですね。レゲエなんかとのクロスオーヴァー振りが、独特な“濃さ”を生んでて格好良いです。そしてなにより良い声してるんですよ!
第4位
Tess Henley / Easy to Love
シアトル在住のテス・ヘンリー。1曲目の短い「Intro To Pompi's Song」からガッツリと心を持っていかれました。全体的には「Easy To Love」に代表されるちょっぴりジャジーでポップなR&Bといった印象ですが、「Disguise」のような陰影の濃いスローも相当良い! 歌い回しに絶妙な“揺れ”があるんですよね。そんな天性のフィーリングにやられます。
第5位
最後はこの人、「アフリカン・フォーク界の新しい宝石」と賞されるヴィクター・デメ。キャリア30年と言いますから全然新人じゃないですが、一応このアルバムがデビュー・アルバムだそうなので。日本発売は2010年2月。しかしこの声と、このキャラ、インパクトありました!
「ルーツな日記」的2010年の新人賞、第1位。これはもう迷うこと無くジョン・スミスです! まずはアルバム「MAP OR DIRECTION」(写真)が素晴らしい! 自らの臨死体験を元に作ったという1曲目の「Invisible Boy」。素朴に爪弾かれるギターの音色が揺れるように滲みる。静かに歌われるジョンの歌声は暖かくふくよかで、そのふくらみに徐々に包み込まれていくような錯覚を覚える。耳を澄ませば虫の鳴き声のようなノイズ、そして風が吹き抜ける。このアルバムはジョンがアメリカ南部を旅しながら、浴室、酒場、森の中、橋の下、バイユーなど、思い思いの場所で録音して完成されたそうです。しかしそんなジョン・スミスは英国人。ジョン・レンボーンやデイヴィ・グレアムなど、英国フォークの系譜を受け継ぐ逸材なのです。彼のギターは巧みなフィンガリングによって楽曲各々の風景を繊細に紡ぎ出し、英国らしい何処か幻想的な世界を描きます。
「Invisible Boy」が静かに終わり、風音と交差するように「Hands」の力強くパーカッジヴな弦裁きが聴こえてくる。この曲での卓越したリズム表現には引き込まれますね。続く「Axe Mountain」は夫と友人を殺した殺人鬼に復習する女性の歌だとか。激しくも緊迫感溢れる歌の説得力もすごいですが、速いテンポでもアルペジオを中心に組み立てるクールなバッキングがさらに素晴らしい!鳥の鳴き声が聴こえるフィールド録音という背景もまた秀逸。(途中で銃声が鳴っているらしい。)
優しく陽性なメロディが印象的な「Another Country」、途中で鉄道が通り過ぎていくような音が聞こえる何処かノスタルジックな「The Fear, The Horror」、美しいラヴ・ソング「Swords」など、情緒豊かな曲が並びます。その一方でバンジョーがリードするマウンテン・ソング調の「Watch Her Die」や、大陸的なスライド・ギターが響く「Oliver」など、直接的にアメリカン・ルーツを感じさせてくれる曲も印象的。イングランドのトラッドという「Death And The Lady」なんかでもやたらブルージーなフレーズが顔を覗かせたり。米南部を旅しながら音に込めたその臭いと、英国らしい内省的表現とが混ざり合い、独特な雰囲気が生まれています。
死と旅立ち、恐れと希望、そういったものが表裏一体に存在するかのような神秘的な世界を感じさせてくれるアルバムです。聴けば聴く程、深みを増していきます。
で、このジョン・スミス、ライヴも素晴らしいんです! 昨年、プロモ来日を果たし、インストア・ライヴや、吉祥寺Star Pine's Cafeなどで、その深遠な世界を披露してくれました。その時の様子はこちら↓
ジョン・スミス@吉祥寺Star Pine's Cafe
ジョン・スミス@渋谷タワーレコード&六本木スターバックス
ジョン・スミスについて詳しくはこちら↓
http://www.mplant.com/johnsmith/
さて、第1位に熱くなりすぎたので、2位以降はさくっと行きます。
第2位
ZAZ / ZAZ
09年のフジロックに出演していたフランスのシンガー、ZAZです。再奥のカフェ・ド・パリで3日間歌ってたんですけど、私は2日目に観に行き、衝撃を受けて最終日にまた観に行っちゃいました。そのZAZが2010年にアルバム・デビュー。雰囲気的にはシャンソン+ジプシーのような感じでしょうか。とにかくハスキーながら突き抜けるような歌声に痺れます。スウィンギー且つ情熱的なライヴはもっと凄い!
第3位
ROX / MEMOIRS
来日公演は行きそびれましたが、個人的にはかなりツボに入ってます。今時のバキバキとした商業的なR&Bとは明らかに違う質感が良いですね。レゲエなんかとのクロスオーヴァー振りが、独特な“濃さ”を生んでて格好良いです。そしてなにより良い声してるんですよ!
第4位
Tess Henley / Easy to Love
シアトル在住のテス・ヘンリー。1曲目の短い「Intro To Pompi's Song」からガッツリと心を持っていかれました。全体的には「Easy To Love」に代表されるちょっぴりジャジーでポップなR&Bといった印象ですが、「Disguise」のような陰影の濃いスローも相当良い! 歌い回しに絶妙な“揺れ”があるんですよね。そんな天性のフィーリングにやられます。
第5位
最後はこの人、「アフリカン・フォーク界の新しい宝石」と賞されるヴィクター・デメ。キャリア30年と言いますから全然新人じゃないですが、一応このアルバムがデビュー・アルバムだそうなので。日本発売は2010年2月。しかしこの声と、このキャラ、インパクトありました!